売買の支払後に二重売買されたときの処置

 Aさんは、知人から土地を買うことにして代金を支払いました。知人は、権利証を預けておくから登記はちょっと待ってほしいというので、Aさんも権利証さえ預っておけば大丈夫と思い、登記を待つことにしました。ところが、その後半年もたつのになかなか登記をしてくれない。そこで、これはおかしいと思い、登記所にいって登記簿をみて、びっくりしました。この土地は、Aさんが買った日より後ですが、Bさんのものになっています。

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 Aさんの知人の行為は、いわゆる二重売買といわれるものです。この場合、Aさんの立場はどうなるのでしょうか。結論から先にいえば、Aさんが、この土地を取得することは、ほとんどできません。
 というのは、法律上、同一の不動産を二重に売買した場合、前に買いうけたAさんが登記をしない間に、その後に買受けたBさんが登記をしてしまえば、Bさんは、その不動産の所有権の取得をAさんはもちろん他の誰に対しても主張することができることになっているからです。
 この場合、Bさんが、すでにAさんが買ったものであることを知っていて、なお登記をしたのであっても結論に変わりはありません。
 極端にいえば、二重売買の場合、Aさん、Bさん、二人のうち誰が所有権を取得できるかは、両者が登記所まで早く着いたものが勝ちともいえるのです。
 とかく一般に、権利証というものをあまりに重要視するために、権利証さえ預かれば、登記までしなくとも大丈夫と考えがちです。
 ところが、権利証では、その名称にかかわらず、手形、小切手と異なり、その権利を表わしているものではなく、単に登記がなされたということを証明する書類にすぎません。
 したがって、権利証がなくとも、その所有者は保証書によって、比較的簡単にどんな登記の申請でもすることができるのです。
 不動産の売買では、何はともあれ、まず登記をすることです、絶対に必要であるということを、ここであらためて認識すべきです。
 そこで、Aさんとしては、Cさんと話し合って自分名義の登記にしてもらう以外に、その土地を取得する方法はなく、それができなければ、土地はあきらめて、知人に対して損害の賠償を請求して、金銭的に事を解決する以外に方法はありません。
 要するに、土地を買うことは登記を買うということです。だから、ふつう土地売買は、登記所で代金の授受がなされています。登記と引きかえでなしに代金を払うほど危ないことはないわけです。
 だから、たとえ一部代金を前払いするときにも、仮登記と引きかえに支払うべきであり、いわんや金額を一時に支払うときは、本登記と引きかえに払うのが土地売買の常道といえます。

土地
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