建売住宅の代金三割を払ったのに登記に応じない

 Aさんは、念願がかなって今度ある業者から建売住宅を買い、申込金一〇万円と売買代金の三割を支払いました。ところが、業者は建物の登記をしてくれません。
 このような場合に、Aさんから建売業者に対し、登記をしてくれと請求することができるでしょうか。

スポンサーリンク

 売買契約は、当事者の一方(売主)がある財産権を相手方(買主)に与えることを約し、相手方がこれに代金を払うことを約することによって成立する契約ですが、建物も売買契約の目的物となることは当然です。
 建物を売る者からすれば、建物を買主の名義に登記すると共に、建物を買主に引き渡さなければなりませんが、特別の約束がないかぎりは、代金の支払いとこれらの義務が引換えの関係に立ち、法律上は、これを「同時履行の抗弁権」といっています。
 したがって、買主からみれば、建物の登記と引渡しがあるまでは、売買代金の支払いを拒否できるし、売主からみれば、代金の支払いがあるまでは、建物の登記と引渡しを拒否できることになっています。
 Aさんの場合には、申込証拠金一〇万円を支払い、その後売買代金を三割支払ったというのですが、特別の約束がないかぎり、買主としては売買代金全額を支払うまでは、建物の登記も引渡しも受けられないことは、すでに述べたとおりです。
 そこで、買主と建売業者との売買契約の内容がどのようになっているかが問題になりますが、もし、売買代金の三割を支払った段階で登記をしてくれるという約束があったのであれば、売主たる建売業者は、買主の登記請求の有無に関係なく建物の所有権移転登記(最近は、建売業者は自己名義の保存登記をしないで、いきなり買主名義の保存登記をする場合が多い)をしなければなりません。
 もし、建売業者の義務不履行があれば、買主は裁判所に対し訴訟を提起し、建売業者が登記義務を履行する旨の裁判を受けることができ、その判決によって登記をすることができます。
 ただし、ローンを利用して、長期の分割払いによって不動産を購入する契約の場合、いつまでも所有権移転が得られないのは、購入者にとっては、きわめて不利なので、昭和四六年の宅地建物取引業法の改正により、頭金にせよ、分割金にせよ、代金の三〇パーセントをこえる金額を受領したときには、必ず所有権を移転し、その登記申請をしなければならなくなりました。
 だから、Aさんの建売住宅を買ったのがローンによるものであるならば、業者に対して、今すぐ所有権移転を請求できます。
 したがって、すぐ裁判にもちこむこともできますが、業者の監督機関である都道府県の担当者に事情を訴えれば、指導してくれることになっています。

土地
不動産の権利など/ 住宅ローンの種類にはどのようなものがあるか/ 住宅ローンの返済ができないときはどうするか/ 住宅ローンの内容が広告と違うときは/ 建売住宅の代金三割を払ったのに登記に応じない/ 売買の支払後に二重売買されたときの処置/ 代理人が勝手に売ったような場合には/ 無権利者から買い受けたときはどうするか/ 一度定めた値段は変えられないか/ 誇大広告で損害を受けたときの賠償請求は/ 頼んだ仲介業者を抜きにしてした取引は/ 引渡前に建物が焼失したときは/ 移転登記前に売主が死亡したときは/ 移転の本登記前に仮登記があるときは/ 売主が登記を拒絶するときの処置は/ 借地権の存続期間は何年まで有効か/ 家屋買取の請求をされたときは/ 借地権の譲渡を地主が承諾しないとき/ 借地上の建物の増改築は無断でできるか/ 借地契約の法定更新で更新料の支払は/ 家が焼けると借地権は消滅するか/ 地上権と賃借権の違い/ 間貸しにも借家法が適用されるか/ 家主の交代で新契約をしなければならないか/ 値上げに対抗する供託家賃の額はいくらがよいか/ 即決和解による借家契約の更新は許されるか/ 賃料不払いでも契約解除にならないとき/ 訴訟中の家屋の転貸を禁止するには/ アパートの更新料を要求されたが/ 借家権や居住権は相続で引き継がれるか/ 立ち退くときには必ず立退料が貰えるか/ 近隣や居住者に迷惑をかけた賃借人はどうなるか/ ビル賃借保証金の返還債務者は誰か/ 境界に無断で打たれた杭を勝手に抜くと/ 隣家から公図と境界が違うといわれたとき/ 毎日通勤する道を柵でふさがれたら/ 境界に作った塀の代金は誰が負担するか/ 隣りの庭から雨水が流れこんだときは/ 不動産を抵当にとるときの注意/ 家屋や敷地の抵当権はどこまで及ぶか/ 担保にとった土地にある木を切られた時は/ 権利証を紛失したときの担保差入は/ 代物弁済の仮登記をして金を借りると/ 借地権の補償価格はどのくらいか/ 借家権の補償はしてもらえないか/ 補償金に代え替地を要求できないか/ 収用の際の移転料はいくらもらえるか/ 残地の価値が減少した場合の補償請求/ 得意先が減った場合の営業補償/ 景観が悪くなった迷惑料は/ 裁決されても立退かないとどうなるか/ 収用裁決に不服のときの救済方法/ 区画整理中の土地売買と登記請求は/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー