貸家を買ったら借家人は家賃を前払いの印鑑を押した領収書を示すが

 Aさんは、BがCに賃借している建物を買い取りました。AさんがCに家賃を請求したところ、Cはすでに向こう二年分をBに前払いしてあるといって、Bの印鑑を押した領収書を見せました。Aさんはどうすればよいでしょうか。

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 Aさんはこの建物を買い取ったことにより、所有権移転登記を経たうえで、Cに対して家主としての権利を主張することができます。Cの借家権は借家法によって保護されていますから、建物の所有者が変わったからという理由で明渡しを求めることはできません。
 結局、Aさんの権利として主なものは、賃料請求権だといえます。AさんがBからこの建物を買い取ったのも賃料収入を期待してのことでしょう。それなのに、すでに賃料は前所有者Bに前払い済みで、Aさんは支払いを受けられないというのでは、Aさんに思いがけない不利益が及ぶことになります。
 そこで、借家人が賃料前払いの事実を知らなかった新家主に対して、前払い済みを理由に重ねての賃料支払いを拒否するには、その事実を登記しておかなければならないとする見解が有力です。当事者の公平にかなっており正当だと思います。Cがたとえ本当に賃料をBに前払いしているとしても、その事実を登記(賃借権の登記をし、その内容として賃料前払済みの事実を記載する)していないかぎり、AさんはCに賃料支払いを請求できます。その場合は、一般原則に従って、毎月末に当月分を請求することになります。
 Aさんが請求しても、Cがあくまで前払いの事実を主張して支払いに応じないときは、Aさんは借家契約を解除することができます。Aさんとしては、Cに対し、賃料前払いの事実は承知していないし登記もされていないから、賃料支払い拒否の正当な理由にならないことを述べて、相当期間内に支払わなければ借家契約を解除する旨を予告する内容証明郵便を出すことです。それと同時に、Bに対しても、本当に賃料前払いの事実があるのかどうか内容証明郵便で問い合わせるべきです。
 賃料前払いなどということは実際上ほとんど考えられず、BとCが通じ合って偽りの領収書を作ったとも考えられないではありません。なお、本問は賃料の前払いですから、Aさんはこれを無視できるのですが、仮にBCが通じ合って、多額の敷金が授受されていると言い出したとしたら、Aさんはその返還義務を負わされかねませんので十分注意が必要です。
 そのような窮地に立たされないためには、建物の売買契約書に印鑑を押す前に、つぎのような注意をするべきです。
 Bに賃貸借関係について文書による報告をさせること。借家人の氏名、職業、家賃支払い状況、賃料およびその支払い時期、敷金の有無および額、契約期間等についてなるべくくわしく報告を求めることです。
 直接Cのところに行き、各事実を確認すること。
 Aさんがこのように機敏に行動すれば、BとCが通謀することはもちろん、Aさん自身が、後になって予想外の事実に困惑させられることを未然に防ぐことができるでしょう。

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