分譲現地で申込金を支払って仮契約書に印鑑を押した

 Aさんは、ある分譲住宅の売出し現地に、なに気なく立ち寄って係員の説明を聞いているうちに、衝動的に欲しくなり、係員が仮契約だからというので、契約書に印鑑を押して申込金として一〇万円を払ってしまいました。あとでよく考えて気が変わったのですが、この契約を白紙に戻すことができるでしょうか。また申込金はどうなるでしょうか。

スポンサーリンク

 本問の場合「仮契約」だというのですが、いったい、この仮契約というのはどういう意味なのでしょうか。
 契約は本契約と、まだ本契約にまで至らない予約とに大別できますが、仮契約というのは、必ずしも法律上の正式な呼称とはいえないようです。そこで仮契約ということばが用いられる場合、その意味や効力については、事情に応じて解釈を加えていかねばなりません。そして仮契約についてはつぎの三通りの場合が考えられます。
 契約そのものは本契約だが、書類が仮のもで、後日、正式書類を整えるという意味。
 やはり本契約だが、一定期間内であれば自由に解約できるという意味。
 契約そのものが本契約でなく予約であり、本契約を結ぶかどうかは、その後一定期間内に決められるという意味。
 このうち仮契約ということばで表現されるも のとしては、最後の例が多いと思われます。そして、本問のケースもその一例と見てよいでしょう。
 Aさんは売出し現地で、一〇万円の申込金を払って売買の予約をし(おそらく一定期間内に)、本契約をするまでは、他の希望者にその物件を売却されないという利益を確保したことになります。そのAさんが思い直して、この物件を買わずに済ませることは可能でしょうか。
 つぎのような三つの方法によって、それは可能であると考えます。
 第一の方法は、この契約を予約のまま放置して、自動的に消滅させることです。予約は、予約完結権といって、本契約するかどうか最終決定する権利を持っている方の当事者から、相手方に対して本契約するという意思表示がされるまでは本契約になりません。
 本問の場合は、契約の内容からみて、Aさんに予約完結するかどうかの決定権限があると考えられますので、Aさんが予約のまま放置すれば、いつまでも本契約は成立しません。一方、売出業者の方も、いつまで待っているわけにはいきませんから、この仮契約では、何日以内に本契約しなければ仮契約は失効すると決められているはずです。したがって、その期間Aさんがなにもしないでいれば、予約も解消されるといえましょう。
 第二の方法は、手付の効力として、解約を申し入れることです。このケースの場合の申込金は、法律的には手付と解されます。このように予約の段階でも手付が交付されることがあり、その場合は予約自体を手付を放棄(手付を受け取った方からは倍返し)して、解約することができるのです。
 いずれにしても、Aさんの支払った一〇万円は戻ってはきません。第三の方法として、この分譲住宅が宅建取引業者自らが売り主となっているもの(仲介ではない)のであれば、クーリングオフという無条件解約が認められます。最近の法改正によって、テレビやミシンを買ったときの割賦販売法、訪問販売法と同じ制度が、宅地、建物についても認められたのです。Aさんは五日以内に、売り主である宅建取引業者にあてて文書で解約通告をすればよく、この場合は申込金一〇万円も返還されます。

土地
仲介業者が自社物件を勧めるが印鑑を押してもよいか/ 図面売りで建物売買契約書に印鑑を押してもよいか/ 借家明渡しを約束する念書に印鑑を押させたが/ ブローカーに騙されて売買契約書に印鑑を押した/ 子供が生まれたら立退く特約の契約書に印鑑を押した/ 手付を払って土地の売買契約書に印鑑を押した/ 実印と権利証を持ち出され担保書類に印鑑を押された/ 土地を買ったら業者から土地の移転登記用の委任状と印鑑証明書を要求された/ 借地上の建物を買う契約書に印鑑を押すときの注意/ 夫の土地を担保に借金したい妻が印鑑を押すと/ 分譲現地で申込金を支払って仮契約書に印鑑を押した/ 家を新築するための農地を買う契約書に印鑑を押した/ ローンが残っているマンションを買う契約書に印鑑を押すと/ 私道通行権を確保するにはどのような書類に印鑑を押せばよいか/ 住宅購入契約書に印鑑を押した後でローンを断られた/ 貸家を買ったら借家人は家賃を前払いの印鑑を押した領収書を示すが/ 一ヵ月でも滞納すれば無催告解除の特約に印鑑を押したが/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー