借地上の建物を買う契約書に印鑑を押すときの注意

 Aさんは、Bが借地上に所有している建物を買うつもりですが、この場合、契約書に印鑑を押す前に、Aさんがとくに注意することは何でしょうか。
 このような借地上の建物を買えば、それと同時にその敷地の借地権も買い取ったことになります。借地権というものには、地上権である場合と賃借権である場合の二つがあります。
 地上権については自由に譲渡することが認められていますので、とくに問題はありませんが、賃借権については、逆に譲渡が制限されています。そこで以下では、本問の借地権が「賃借権」であるという前提で考えていくことにします。

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 民法は、賃貸人の承諾がなければ賃借権を譲渡することはできないこととし、無断で譲渡された場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除できると定めています。もっとも無断譲渡として解除できるのは、譲受人が建物の引渡しを受けて借地の利用を始めた場合で、単に賃借権を譲渡する契約を結んだだけではまだ解除される心配はありません。
 そこでAさんとしては、建物の引渡しを受ける前に地主(賃貸人)の承諾を得られるよう、その手順、方法を、契約書できちんと取り決めておかねばなりません。まず期限を定めて、その日までに地主の承諾を得る義務がBにあることを、はっきり契約書にうたっておくことが必要です。その日までに地主の承諾が得られない場合には、借地法によって、地主の承諾に代わるものとして裁判所の許可を受ける手続きが認められていますから、Bにその許可の申立てをする義務を課しておくことも忘れてはなりません。
 また地主が承諾する場合も、裁判所の許可を受ける場合も、だいたいその土地の時価の七パーセント前後の「対価」を地主に払わなければなりませんから、その対価を誰が負担するのかも取り決めておかねばなりません。さらに裁判所の許可を求めるについての諸費用(とくに弁護士に依頼する場合の弁護士費用)についても同様です。このような手続きに要する費用や時間を考えて売買代金の額および支払方法、目的物の引渡時期などを取り決めるのがもっとも望ましいでしょう。
 Aさんがこのような手順をふまないで建物の引渡しを受けてしまうと、先に述べたように地主から契約解除されてしまいます。
 最近の判例では、賃借権が無断譲渡されても、それによって賃貸人がなんら不利益を受けるおそれがないなどの特別事情があるときは、解除は許されないとして、解除権を制限する傾向にありますが、借地権の場合は、地主の承諾に代えて裁判所の許可を求める(その場合、ほとんど例外なく許可が出ます)という手段があるのに、それすらせずに、いきなり譲渡して引き渡してしまうと、比較的解除が認められやすくなるでしょう。
 借地上の建物を買うときは、このように地主の承諾、あるいはそれに代わる裁判所の許可を求める手続きに関する事項を定めたうえで、契約書に印鑑を押し、かつ、その取決めを実践することが不可欠です。

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