子供が生まれたら立退く特約の契約書に印鑑を押した

 Aさん夫婦は、「子供が生まれたら立ち退く」という特約付の借家契約書に印鑑を押して、アパートの一室に入居しました。近く子供が生まれる子定なのですが、立ち退かなければいけないのでしょうか。

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 最近の市販の借家契約書などには、このような特約が印刷されていることが多いようです。家主としては、子供の泣き声がうるさかったり、子供が部屋を汚したり、傷つけたり、あるいはアパート内を走り回ったりすることを嫌って、このような特約を契約書に織り込もうとするのです。しかし、いくら特約があるからといって、なんでも有効というわけにはいきません。
 そうでなければ家主側は契約の際に、入居したいという賃借人の弱みにつけこんで、特約を承諾させ、思いのままに賃貸借関係を牛耳れることになってしまいます。
 そこで借家法は、借家人が特約のあることを理由に、不当に不利益を強いられることを防ぐため「更新、解約、賃借期間などについて、借家法の定める一般基準を借家人に不利益な方向に変更する特約を結んでも無効である」という内容の規定を置いています。
 そして本問の特約も、この借家法の条文に照らして無効ではないかどうかが問題となるのです。
 なお民法九〇条に「公序良俗に反する内容の契約は無効だ」という趣旨の規定がありますが、本問の特約は公序良俗に反するとまではいえないでしょう。
 さて借家法六条によれば、賃借期間を一年未満としたり、家主側の自由な解約ないし更新拒絶を許すような特約は無効となります。そして本問の「子供が生まれたら立ち退く」という 特約は、形式的にみると借家法六条による制限にふれないかのようですが、この問題については借家法の精神を考えて、もう少し実質的な検討をしなければなりません。というのは、借家法の六条は要するに、社会的にみて不合理な理由によって、借家人が立退きを迫られるようなことのないようにしようという趣旨の規定だからです。
 もともと夫婦の問に子供が生まれるのはごく自然のことですし、子供のほしい夫婦が立退き要求を恐れて子供をあきらめるというのでは、人道上の問題ともいえるでしょう。それと比べれば、騒々しいだのアパートが汚れるだのというのは、家主側の身勝手な言い分といわれても仕方がありません。
 独身者だけ入居しているアパートならいざ知らず、夫婦者に貸す以上は、子供ができるとかできないとかの問題は、借家契約が口をはさむべきことではありません。
 このように考えてくると、本問の特約は、結局において不合理な理由にもとづいて、否応なく借家人を立ち退かせることを目的としたものといわねばならず、借家法が、家主からの解約申入れに正当事由を要求したことを無意味にするものです。
 したがって、この特約は借家法一条の二に反し、同法六条によって無効とされるでしょう。つまりAさんは、立ち退かなくともよいということになります。

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