仲介業者が自社物件を勧めるが印鑑を押してもよいか

 Aさんが中古マンションを捜していたところ、ある不動産仲介業者が「買取り方式で自社物件になっているマンションがある」と話をもちかけてきました。Aさんとしては、これを買いたいと思っているのですが、この業者を売り主とする売買契約書に印鑑を押しても大丈夫でしょうか。

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 買取り方式というのは、ふつうの仲介手数料ではあきたらない業者が、一握千金をねらってするコロガシ商法とでもいうべき方法です。
いま、ある物件を一〇〇〇万円で売りたいと いうBさんがいるとします。業者が買い主を見つけても、仲介手数料は代金の三パーセント程度しかもらえません。それよりも業者自身がBさんから一〇〇〇万円で買い取ることにして、すぐ別の買い主に一三〇〇万円で売れば、差額の三〇〇万円が自分のふところに入る勘定になります。これが買取り方式です。
 そこでそういう業者は、まずBさんとの間で売買契約書を作り、手付金を払ってその物件が他に売られてしまわないように押えてしまいます。そして残代金の支払いは数か月後という約束にしておいて、その間に一三〇〇万円で買う人を捜すのです。買い主を見つけられなければ手付金を失うことになりますが、このやりかたがうまくいけば、ふつうの手数料の一〇倍もの利益を得ることができるわけです。
 民法の原則では、売買契約のときに所有権が移転しますから、業者が自社物件だというのもあながち嘘ではありません。そして一般の人は仲介物件よりもむしろ安心して取引きしようとする傾向があります。しかし実際は、あとに述べるように、仲介物件よりはるかに危険がつきまといます。
 このように、買取り方式とい与のは、実際に買い取る資金がなくても転売利益を収められるという投機的性格の強いものですから、そういうやり方をしようとする業者はあまり堅実な業者とはいえません。信用のおける業者は買取り方式を厳に戒めているようです。したがってAさんも、業者との間で契約書に印鑑を押すには、それなりの危険を覚悟しなければなりません。
 なによりも、業者は元の所有者に手付金程度しか払っていませんし、それ以上の自己資金は用意していません。支払いはすべてAさんから入ってくるお金をあてていくつもりです。その程度の資金力しかない業者ですから、Aさんがいくら約束どおり代金を払っても、業者がそのお金を元の所有者への支払いにあてるかどうかという心配がつきまといます。
 もし業者が代金の支払いを怠るとすれば、たちまち元の所有者が業者との契約を解除してくるでしょう。そうなるとAさんはマンションを取得できなくなり、それまでに払ったお金を業者から取り戻すという厄介な問題をかかえ込むことになります。
 また登記の点でも元の所有者と業者の間の登記移転の約束が、どうなっているかによって、Aさんが登記を取得できる時期も異なってきます。そしてその間、マンションが第三者に二重に売却され登記もそちらに移されてしまう危険もあるわけです。
 このように、仲介業者が自分の所有している自社物件だと説明するときには、実際には所有者でない者から他人の物を買うにも似た危険があり、十分な注意が必要です。

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