道路予定地の売買

所有地の一部が高速道路建設予定地に入っていますが、このような土地でも、処分することができるでしょうか。また、このような事情を話さないで売却した場合に責任を負わされることになるでしょうか。
道路は、その種類、つまり、高速自動車国道であるか、一般国道、都道府県道、市町村道であるか、によって、開設に 至るまでの過程に多少の差異がありますが、道路法の定めるところによると路線の指定、認定、道路の区域の決定、土地などについての権原の取得、工事の施行、供用の開始、という過程を経ることになっており、供用開始があってはじめて道路ということになります。したがって、道路区域の決定があっても供用開始があるまでは、道路でなく、道路予定地にすぎないわけですが、しかし、道路予定地であっても、これを無制限に私人の利用に任せますと、道路建設事業遂行の妨げになりますので、道路法九一条は、次のような土地利用制限を課しています。つまり、道路区域の決定があると、その土地については、道路管理者の許可がなければ、土地の形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築、増築、大修繕、物件の付加、増置ができませんし、道路管理者による土地についての権原の取得があった後は、供用開始前であっても、供用開始後の道路と全く同一の制限が課せられますから、私人は、道路予定地について、所有権その他の権利を有していても、それにもとづく使用、収益が許されないことになります。また、道路のうちでも、都市計画として決定、建設される道路の予定地については、土地利用制限があります。

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土地

道路予定地には、前に述べたように、様々な法律上の制限がありますが、しかし、これは、あくまでも、利用上の制限、つまり、使用、収益に関する制限であって、そのみなもとである所有権その他の権利そのものを否定する趣旨ではありません。したがって、道路予定地になっている土地について、売買により、その所有権を譲渡し登記名義を移すことができることは、もちろんです。
しかし、売買契約の目的物である土地が道路予定地であるため、各種の利用制限があって、買主としては、せっかく買いうけた土地に計画どおりの建物を建築できないとか、建築しても早晩その建物の全部または一部を撤去しなければならないとかいう事情が、後になって判明した、というような場合には、判例は、民法五七〇条の売買の目的物に隠れたる瑕疵ありたるときに該当する、とされます。したがって、買主は、五七〇条に基づいて、売買契約を解除し、売主に損害賠償を請求することができることになります。もちろん、この場合、買主は目的物である土地を売主に返還し、売主はすでに受け取った売買代金を買主に払い戻さなければなりません。しかし、目的物に瑕疵があっても、買主が所期の目的を達成することができないわけではないという場合には、売買契約の解除は許されません。売主に対し損害賠償の請求ができるだけです。
契約の解除にしても、損害賠償の請求にしても、買主が、契約締結当時、目的物の瑕疵の存在について善意、無過失であったことが必要ですが、隠れたる瑕疵である以上、つまり、瑕疵が一見して判る状態ではなかったのですから、買主の善意、無過失が法律上推定されます。したがって、売主の方で、買主が悪意であったことまたは過失があったことを主張、立証しないかぎり、売主は、民法五七〇条の責任をまぬがれることはできません。また、買主が売買契約によって達成しようとした所期の目的は、目的物の種類、性質その他契約締結当時の事情から客観的に理解されるものであればよいのですから、その目的が契約の内容として表示されていたかどうかとか、売主の方で知っていたかどうかというようなことは、買主が売主に前述の責任を追及するうえでなんら影響を与えるものではありません。
以上の責任追及は、買主が瑕疵あることを知ったときから一年内にしないと、その後は、理由のいかんにかかわらずできなくなります。このような期間のことを除斥期間といいます。
また、売主が故意に道路予定地であることを隠し、買主を騙して売買契約を締結させた、というのであれば、買主は、民法九六条により売買契約を取り消し、売主に目的物たる土地を返還するとともに、すでに支払った代金の払戻を請求することができます。九六条の詐欺による取消権には、民法一二六条で五年間または二〇年間という期間の制限が付されており、近時の学説の多くは、両方とも除斥期間、つまり、権利打切期間と解しています。
このほか、売買契約締結当時、買主のみならず、普通一般人も、目的物たる土地が道路予定地に指定されている土地であることを知っていたならば当然買わなかったであろう、というような事情がみとめられる場合には、買主は、民法九五条により、売買契約に要素の錯誤があるということで、契約の無効を主張し、目的物を返還して、代金の払戻を売主に請求することもできる、 と考えられます。

土地
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