土地の一部分の売買

売買によって目的物の所有権を取得するためには、その目的物が特定していることが必要です。しかし、売買契約成立のときに目的物が特定していなければならないというわけではありません。一筆の土地500平方メートルのうちの200平方メートルだけとか、あるいは3分の1だけというように、売買の目的物を計数的割合単位で示す程度でもよいわけです。しかし、このような売買契約の場合は、おそくとも契約の履行の時までに、一筆の土地のうちのどの部分かを特定させることが必要です。
契約当事者の意思が、一筆の土地のうちのどの部分でもよいという場合には、売主の方でどの部分かを確定して弁済提供するか、または、売主が買主の同意を得てどの部分かを確定したときに、その部分が売買の目的物として特定したことになりますが、そうでなく、一筆のうちのどの部分にするかが重要な意味をもつ売買契約の場合は、どの部分を給付するかの選択決定があったときに、その部分が契約成立のときから売買の目的物として特定していたことになります。この場合の選択決定権は売主にありますが、売主が履行期までに選択決定しなければ買主の方で催告でき、それでもなお売主が応じなければ、買主の方で選択決定することができます。第三者に選択決定権がある場合もありますが、この場合、第三者がこれを行使しないときは、売主に選択決定権が移ることになります。なお、選択決定の意思表示は相手方に対する一方的意思表示で、いったん選択決定をすると、相手方の承諾がなければ撤回できません。

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土地

売買によって買主が所有権を取得するためには、目的物が特定しうべきものであることのほか、さらに、それが独立の一個の物であることが必要で、これを一物一所有権主義といいます。というのは、独立の物でないもの、つまり、物の一部ないし構成部分は、そのままでは、一般に所有権取得をみとめるに適さないからです。したがって、例えば、ある土地の土砂とかそこに築造されている石垣を売買することもできますが、この場合、買主は、採掘したりまたは取り壊して引き渡せという債権を取得するにとどまり、土地から分離されて独立の物とならない間は、所有権を取得することはできません。しかし、例外的に、物の一部であっても、外観上他の部分と区別することができ、しかも、それに独立別個の所有権の取得をみとめる社会経済的必要と実益がある場合があり、そのような物の一部は、売買によってそれだけの所有権を取得することができます。一筆の土地のうちの特定部分とか中高層ビルの特定階層部分などは、物の一部についての所有権取得がみとめられる適例です。
土地は無限に連続するものですが、便宜上、人為的に区分し、登記簿上一登記用紙に記載されているものをもって一個の土地とします。この一個の土地をさらに細分して数個の土地とするには、登記簿上、分筆手続をして、はじめて数個の土地になるわけで、それまでは、境界線を設けたり、標識を設けたりなどして、事実上、数個に区分しても、法律上は、数個の土地でなく、全体をもって一個の土地とみるわけです。したがって、事実上区分された各個の土地は、それぞれ、一個の土地の一部分ということになります。
判例は、かつて、一物一所有権の原則上、一個の土地を事実上区分しその区分された土地部分についての売買による所有権取得を認めることはできない、としていました。しかし、その後これを改め、一筆の土地の一部であっても、それと他の部分との境界を識別できるように標識などを設けた場合には、分筆しないでも、それを売買などにより譲渡することができる、とするに至りました。というのは、民法では、譲渡は意思表示のみででき、登記は対抗要件にすぎない、と定めているからです。しかし、譲渡を第三者に対抗するためには、分筆して登記することが必要です。

土地
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