契約解除権の時効

不動産をAに売る契約をしたのですが、Aは約束の日にも、またその後の催促にも代金を支払わないので、私はAにあてて最後的な催告を内容証明郵便で出しました。それには、本状が到達してから10日以内に代金を支払わないときには契約を解除することがある。と書いておきましたが、とうとうその期限にも支払がありませんでした。私もいささか匙をなげた形でそのまま放ってありますが、このような文書を出した手前、解除しなければならないものでしょうか。また解除は、いつまでにしなければならないものでしょうか。後日、Aから解除するのかしないのかを10日以内に明確にして欲しいといってきました。これに返事をしなければならないものでしょうか。
催告期間内の代金不払を条件とする売買契約の解除の意思表示が有効でありますが、その場合、買主に送る文書には、○○から何日以内に代金を支払わないときは契約を解除する。と書くのが普通です。これに対して、本問のように、○○から何日内に代金を支払わないときは契約を解除することがある。と書いた場合は、契約解除の可能性を表示しただけで、解除の意思を表示したものとみることは困難です。このような催告文言は、解除権の行使という強い手段を予告しながら、できるだけ代金を支払わせるために用いられます。当面のねらいは、あくまでも売買契約を履行させて代金を受け取りたいというところにあるのです。
このような催告をおこなったにもかかわらず買主が代金の支払をしないときは、解除権が発生することになりますが、この解除権を行使して契約関係を遡って消滅させ、原状回復を求めるか否かは、さしあたり解除権者の自由に委ねられます。したがって、解除することがあると言いたからといって、必ず解除 権を行使しなければならないということはありません。

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ここで、さしあたり解除権者の自由に委ねられる。といったのは、解除するかしないかの自由がいつまでもあるというのではないからです。解除権は、解除権者の一方的な意思表示によって権利義務関係の変動が生ずるという強い 効果をもつ権利ですから、それを行使するかしないか未定のままで長く存続させると相手方の地位を長いあいだ不安定な状態にとどめることになって不当です。そのため民法は、三つの制度を設けて解除権の行使を制限しています。
第一に、解除権者が契約の目的物を自己の行為または過失によって壊したり、第三者に譲渡して取り戻せなくなったり、加工、改造して他の物に変えてしまった場合には、解除権は消滅します。
第二は、解除権行使の相手方から逆に、期間を定めて 解除権者はその期間中に解除するかしないか明確に答えよと迫ることが認められている、ということです。これを、解除の相手方の催告権といいます。この催告がなされると、解除権行使の意思表示がその期間中に相手方にとどかないかぎり、解除権そのものが消滅するのです。
本間の場合は、解除をするのかしないのかを10日以内に明確にして欲しい、と言ってきたのですから、相手方Aの催告権の行使があったものといわなければなりません。この場合、解除するとか、解除しないとかを10日以内に必ず答えなければならないということはありません。しかし、答えないかぎりこの期間の経過によって解除権は消滅しますから、それ以後は、未払代金の請求はできても、契約を解除することはできないことになります。
第三は、解除権の時効消滅です。現在の通説、判例によれば、解除権は、10年の 時効期間の満了によって消滅します。もっとも、法定解除権の場合は、本来の債務もまた10年の時効にかかりますから、それとは別に解除権の消滅を主張する実益は、あまりないともいえそうです。
このほか、売買契約に固有の解除権については、民法によって1年の行使期間が定められている場合があります。

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