買った土地の通路が他人のものの場合

土地を買いましたが、公道への通路として使用してよいと指定された土地が売主のものではなく、まったくの他人のものであることが判りました。この場合はどういうことになるでしょうか。
買った土地から公道に出るためには他人の土地を通らねばならない状態にあるというわけですが、このように他人の土地を通行しう る権利に関する規定としてまず問題となるのは、いわゆる相隣関係の規定です。相隣関係とは、隣接する不動産所有権相互の権利関係を定めるもので、隣接する不動産のすべてがそれぞれ完全に利用されるようにするため、各所有権の内容が一定範囲において制限し、各所有者を協力させるものです。本問で公道に面した土地が売主の土地であれば、民法二百一条の「分割に因り公路に通せざる土地を生じたるときは其土地の所有者は公路に至る為め他の分割者の所有地のみを通行することを得」「前項の規定は土地の所有者が其土地の一部を譲渡したる場合に之を準用す」という規定により、当然に売主の土地のみを通行しうるわけで、この場合には売主に償金を払う必要はありません。しかし、他人の土地であっても二一〇条によりその他人の土地を通行する権利がありますが、通行の場所、方法は、通行権を有する者のために必要であり、他人のために最も損害が少ないものを選び、他人の損害に対しては償金を払わねばなりません。したがって、本問のように公道への通路として使用してよいと指定された部分を通行することができるとは限りません。このように相隣関係は、隣接する土地間の最少限度の利用調節をはかるもので、それは法律上当然に認められるのです。

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土地

上述に対して地役権は、その作用の点で相隣関係と同様ですが、この最少限の調節をこえて、当事者の契約によって生ずる独自の物権です。公道に通じない土地(要役地)の所有者が、土地の利用価値を増加させるため、契約によって、隣接する他人の土地(承役地)を利用して公道への通行権を取得する湯合などが、それにあたります。地役権は契約によって生ずる独自の物権ですから、本問の売買契約によって売主から通路として使用することができると指定された部分の通行が、相隣関係からは許されないとしても、地役権としては認められることが考えられます。しかしその内容も、地役権の目的を達するのに必要であり、承役地利用者に最も害の少ない範囲に限られると解されています。また、地役権は要役地の所有権とともに移転するのが原則ですので、本問の売主と隣人(承役地所有者)との間ですでに地役権設定契約が結ばれていたとすれば、土地、建物の所有権とともに地役権を主張しうることとなるわけです。
このように、買主が隣地を通って公道に出られると思っていたのに、隣地が他人の所有地であるため予想がはずれて損害を受けたとか、買った土地の現状では契約の目的を達することができないというような場合、買主は売主に対してどんな責任を問うことができるでしょうか。まず、売主が契約の際に、指定した隣地部分を通行できることをはっきりと保証したということてあれば、契約違反として、通常の債務不履行の責任を追及することができるでしょう。しかし、売主のこのような指定が特に保証したものとはいえない場合にも、売主の責任を追及できます。
民法の規定で本問に関係するものをあげますと、五六六条二項で、売買の目的となった土地のために付随しているといわれた地役権が実は存在しなかった場合、買主は契約解除か損害賠償を請求できることとなっています。しかし、本問では隣地を通って公道へ出られるという売主の指定の内容が不明ですが、このような揚合には、完全であると予定された土地の欠点として、民法五七〇条によって処理することができましょう。五六六条も五七〇条も売主の責任の内容は同じですから、結果的には異なりません。ただ、担保責任の場合、買主の責任追及期間が一年という短期の制限をうけていることに注意する必要があります。

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