大都市問題と地価

地価上昇率が利子率水準に下がるということは、一方では土地供給の制限の基本条件が取除かれることを意味すると同時に、他方では需要者が土地を取得しても、その後に地価上昇で資産価値を増大することも、転売によって投機的利潤を獲得することも不可能になることを意味し、土地需要を抑制します。スプロール発生の原因は現在の需給条件にあるのために、需給条件が逆転すれば、スプロールにも終止符が打たれます。かくて、外側への乱雑で急激な都市化の拡大は止み、コンパクトで緩慢な拡大になるはずです。

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土地

スプロールの発生が止む場合には、利用率の悪い公共公益施設を多量に建設する必要はなくなり、人口一人当りのこれら施設費負担は激減し、公益事業の採算は好転します。また、新たに公共公益施設を建設する場合にも用地の取得は容易になり、費用の減少ばかりでなく建設速度が早められます。特に、区画整理については詳述した通りです。つまり、都市計画、都市機能計画の実現に対して不可欠な前提条件が与えられることになります。かくて、大都市の安全、健康、機能の実現を阻止する条件の大きなものが取除かれます。しかし、自動車の排気ガスや発電所の廃煙のようなものは、地価以外の要因の方がより強く作用しているので、別に考えなければならないことはいうまでもありません。
もう一つの側面である自償的でなければならないという点については、第一に、土地投機を絶滅することが基本です。土地所有者や不動産業者はもちろん、企業も個人も土地を所有する者は、すべて地価上昇により巨大な資産価値上昇の利益を受けています。この源泉が絶たれます。しかし、そのうちの農家は貸家営業者として再生させ、正常な利潤取得者に変質させなければなりません。
第二には、固定資産税と都市計画税の増税によって区画整理財源を確立することも、土地所有者に自償を強いることになります。この増税は、現象的には、大量に土地を所有する農家などに厳しいように見えますが、結局は家賃と、つづいて家賃水準に影響することによって、大都市圏の企業と住民に対しても自償を強いることとなります。
第三には、貸家建設資金の融資ですが、この政策は一面では土地所有者を援助するように見えますが、終局的には家賃水準に影響することによって、自償の原則に合致することとなります。
現在の大都市圏の混乱の原因は、資本とくに独古資本の動向によるものであるため、攻撃目標をそこに据えるべきであるとする論者が少なくありません。我々も根本の原因については意見を等しくすることはこれまで見られる通りですが、混乱を大幅に激化する原因が土地所有の介在にあることは、これまで論証した通りです。したがって、企業の大都市圏への集中を阻止するに足る具体策を確立することが困難な現状においては、媒体をなしている土地所有に対策を集中することによって、媒体の悪影響だけは取除くべきであり、そのことは我々の政策によって、現体制の下でもぎりぎりの線として、実行可能であり、最終的には実行せざるをえない状態に追込まれるものと考えられます。
現段階では、土地所有者を圧追するという意味においてリカルド的な政策が有効であるとするのです。我々の当面の目標は土地投機の絶滅に向けられなければなりません。

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