土地利用区分と区画整理事業

現代の大都市圏における土地利用上の最大の問題は、スプロールです。このスプロール現象のために、大都市圏における公共施設の整備が遅れ、通勤難が起きています。都市計画法では、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに分け、調整区域における市街化を強く制限し、市街化区域に対しては公共投資を充実させようとしています。スプロールを防止するためには、この種の立法が必要なことは確かです。ただ、この都市計画法だけでスプロールが防止できると考えるのは誤りです。市街化区域と調整区域との区分が、地価の上昇を加速する危険があるからです。市街化区域内の地価上昇が続けば、市街化区域内のスプロールは解消しません。市街化区域内のスプロールと地価上昇が解消されなければ、需要の強さに押されて、いずれは市街化区域の拡大指定を行なわなければならなくなり、マクロなスプロールをも発生させるからです。

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そこで、区域区分と地価との関係を考えてみると、上記二区域の境界線を都心への通勤限界地の外側に引くことは限界地の外側へのスプロールを容認することになるので、そういうことはありえません。その境界線は現在の限界地か、その範囲内のどこかに引かれるものと前提されます。
まず、境界線が現在の限界地の位置に引かれたとすると、このことは、土地に対する実需要が今後外側へ移行するのを制限することを意味します。そして、需要を現在の限界地にしばりつけることを意味するため、限界地における需要量は実際に増加します。限界地の需要量が増大するという期待は、供給側の供給制限意識を強化します。さらに、内側の土地を売って、より地価上昇率の高い外側の土地を買うという行動を、限界地の土地所有者がとらなくなることが加わり、供給をより強く制限します。需要量の増大と供給量の滅少は、現実に売れる売れないは別として、供給側のつけ値を高めます。
このつけ値の上昇に対し需要側はどのように反応するのでしょうか。限界地の地価が需要者の支払可能限度に定まるということは、手持資金量の限度に定まるということですが、つけ値の上昇によって手持資金量が不足するといって土地購入をあきらめ、需要が滅少するならば、つけ値は実現できないわけです。そうなれば地価は元の限界地地価まで低落し、上昇傾向は抑えられることになります。ところが、残念なことに需要者は、そのつけ値で土地を買ってしまうのです。土地が入手できると期待していた需要者は、つけ値が上昇したからといって、家を建てることをあきらめるでしょうか。がれらがあきらめるのは希望した面積であって、家を建てることではありません。止むを得ず狭い面積にがまんして、その狭い土地の上に家を建てることになります。かくて、居住条件を劣悪化しながら地価は上昇するのです。
市街化区域の境界線が現在の限界地の内側に引かれた場合も、ほぼ同じ現象が生じることになります。境界線が引かれない前に、それより外側の安い土地を買おうと考えていた需要者は、境界線が引かれると境界線の内側の土地を買わざるをえなくなりますが、購入面積を縮小して供給側のつけ値を甘受せざるをえません。こうして境界内の土地では以前より実需要量が増大し、これが供給側の供給制限意識を強化します。かくて、境界線の内側の地価は上昇します。限界地の地価は、需要側の手持資金量の限度と供給側の供給制限意識という条件でゆがめられてはいますが、需給均衡価格です。市街化区域の限定によって、もう一つの制限条件が加えられるのであるため、均衝価格が上昇し、居住条件が劣悪化することは当然のなりゆきです。このような制限条件のみによって地価が抑制されるはずはないのです。
以上の分析から明らかにされる結論は、市街化区域と調整区域との境界を、現在の持家限界より狭く引いてはならないこと、そして市街化調整区域の範囲は、それを飛ぴ越えてスプロールが起ることのないように思い切って広くとる必要があることです。もちろんそれだけでは十分ではありません。市街化区域に対しては、土地保有課税の強化と貸家建設資金の融資を行なって、地価上昇を抑制する必要があります。さらに市街化区域と調整区域とのそれぞれに対して、それぞれの政策を適用して、スプロールの解消をはかる。このような総合的な政策がなされたとき都市計画法の区域指定がはじめて実効のあがるものとなります。

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