貸家・貸間

持家よりも貸家、それも、民間貸家を大量に建設すべきであるという提案に対して、現在中間地帯に拡がっている劣悪な木賃アパートの密集が、むやみに拡がるだげだとの批判が有り得ます。また、土地所有者に貸家建設資金を融資する以上、その資金で建てられた貸家、アパートの家賃その他の契約条件には当然制限が加えられるべきであるとの主張も考えられます。これらの問題に関して最も重要なことは、住宅問題をめぐる前提案件の改善なしに、居住条件や契約内客の改善はありえないということです。具体的にいえば、供給側では建築費と金利が高いこと、需要側では、所得の低い階層が大都市に集中し続けていること、このような貸家の需給条件の下では、たとえ法律によって居住条件や契約内容を規定しようとしても、できることではありません。現在の建築基準法に違反する建築物の多さなどの借家法に明らかに違反する契約の横行などを見れば、需給関係を無視した法律論がいかに無意味かがわかるはずです。まず、なされなければならないのは貸家の大量供給であり、それが行なわれて貸家の需給が改善されれば、一般所得水準の上昇に伴って貸家の居住条件はおのずと改善の方向に向かうはずです。

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土地

居住水準に関しては、イギリスの住宅法、オランダの住居法、ILO勧など、ヨーロッパを中心としていくつかの基準があり、また、日本でも、戦前に建築学会が庶民住宅基準をまとめたことがあります。しかし、これらの基準は、日本の特に大都市における居住水準の現状とはあまりにかけはなれており、法律によってこの基準を強制しようとしても、守られるはずのないことは明らかです。特に一人あたりの床面積や、夫婦と12歳以上の子供の男女別の寝室の確保などの項目は、日本の現状では実現が難しい。しかし、貸家、貸間は一種の商品で、それも人間生活にとって不可欠の商品であるため、入居者がそれをどう使うかを規制することはできないにしても、商品としての一定の基準を法律によって要求することは正当です。その場合の基準には、少なくとも災害に対する安全性、契約単位毎の独立性、日照、通風などが含まれなければなりません。部屋数や居住密度を法律で規制することは現状では難しく、一般的所得水準の上昇と、貸家、アパートの大量供給による需給関係の緩和を待つほかはありません。
家賃の絶対額を法律で規制しょうとするのは、土地の取引価格を法律で規制しょうとすると同様に、技術的に無埋があります。また、技術的なことが解決されたとしても、無理な規制を加えようとすれば、ヤミが発生したり、あるいは家主が維持管理の手を抜くようになります。家賃の絶対額は市場メカニズムにまかせるべきです。また、貸借契約期間の最低限度、契約更新時における契約内容の変更および契約更新の拒否の制限など、現在では借家法に含まれている諸規定についても、借家人の権利擁護を強調するだけではなく、家主にも安心して貸家経営ができるように、現状にあわせて修正を行なうべきです。例えば、契約期間満了時に家主が契約を更新することのできる条件として、家主または公共団体による家屋の建替えおよび家主側に正当な理由のある賃貸の増額請求などを明記することなどです。
以上の措置がすべてとられたとしても、周辺部における最大の地主である農家に勝手に貸家をつくらせたのでは、どんな家ができるか安心できないというのであれば、区画整理事業が行なわれる地区内の土地所有者に貸家組合を組織させ、その組合に自治体と金融機関が指導と助言とを与えながら、良質な貸家の大量かつ計画的な供給をはかればよい。しかし、その場合の貸家の形式を一戸建にするが、共同住宅にするが、あるいはそれらをどう組合わせるかの判断は、組合毎の決定にまがせるべきです。
金融機関と自治体および国は、単に貸家組合に指導と助言を与えるだけではなく、建築業者に対しても積極的な働きかけを行なうべきです。貸家の家賃は主として建築コストと金利コストによって構成され、優良地においても地代部分は小さい。貸家の大量供給政策がとられれば地代部分はさらに縮小します。したがって、住宅の大量生産による建築コストの引き下げが重要な意味を持つのです。

土地
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