地価政策の目標

物的な都市機能を、安全で健康で能率的なものにする必要があり、そのためには、まず良質な住宅を大量に建設し、また、例えば道路、鉄道、河川、上下水道、公園、学校などのいわゆる公共施設を整備し、さらには、民間の土地利用に規制を加える必要があります。ところが、現在の地価は一般勤労者が住宅を建設するために取得するにはあまりに高すぎます。また、公共団体が公共施設の整備を行なおうとすると、必ず公共用地取得の問題が発生し、大都市圏ではどこでも各種の公共施設整備事業に要する用地費が年を追って大きくなるために、有限の予算内での事業が予定通り進行しません。

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土地

従来の地価政策に関する各種の提案には、以上の事実から、直ちに地価の絶対水準を引き下げる方策を求めようとするものが多く、地価の絶対水準をただ下げさえすれば、問題はすべて解決するという考え方でした。しかし、できもしない空想をやめて、現実的な大都市政策を提案しようとすれば、大都市圏における住民の生活が高くかかる必然性を是認せざるをえず、そう考えれば、直ちに地価の絶対水準を下げるまでのことを考える必要はありません。そこで、地価政策の目標を地価の上昇率を利子率の水準以下に抑えることに定めるべきであると考えられます。資本と人口の集中に伴う土地需要の強さを与件としてではありますが、持家限界地付近における住宅用地取得の困難さ、持家限界地の遠隔化とそれによる中間地帯の地価上昇、都心部分における過密と周辺部におけるスプロール、これらの好ましくない現象のすべてが、地価の絶対水準の高さによるのではなく、その上昇率の高さによって起るのです。また、公共事業用の土地を土地所有者が手放したがらないのも、土地の値上がりに対する思惑からであり、あるいは代りになる土地の習得の困難さからです。したがって、なんらかの政策によって、地価の上昇率を利子率水準以下に抑えることができれば、たとえ直ちに地価の絶対水準を下げるところまでゆかなくても、あるいは緩やかに上昇したとしてさえ、事態は一変するのです。つまり、大都市問題の解決を困難にしている土地所有者階級の行動に、必要な打撃を加えるに足るだけの対策を考えるべきであるとするのです。
具体的にどのような政策をとるべきであるのかというと、持家政策から貸家政策への転換、土地保有説の強化、法律による土地の利用制限または利用促進の政策を柱として、さらに副次的ないくつかの政策を組合わせて同時総合的に実行することが必要です。
例えば法律による土地の利用制限または利用促進政策の代表的なものが、都市計画法の改正です。新しい都市計画法は従来と違って都市計画区域をさらに市街化区域と市街化調整区域とに分け、市街化区域に関しては、道路、上下水道等の公共施設の整備を重点的に行なって積極的に都市化をすすめますが、調整区域に関しては市街化を原則として禁止するような規制を加えようとする点に最大の特色があります。
しかし、この都市計画法は地価に対する配慮を決定的に欠いているために、これだけでは所期の目的を達成できるかどうか疑わしい。それは市街化区域が限定されて、持家需要がその範囲内に集中することになれば、地価の上昇は現在よりもさらに激しくなるからです。したがって、土地所有者はますます土地を手離したがらなくなり市街化区域内の公共施設の整備はますます困難になります。公共施設の整備を集中的に行なおうとして設定する市街化区域の中で、用地費の増大と土地所有者の抵抗のために、公共施設の整備が最もやりにくいという皮肉な結果に終る可能性が強くなります。また、例えば土地税制に関しては、一般に譲渡所得税に対する高率課税を主張する人が多いのですが、これも土地所有者の売却意欲を滅殺し、地価を上昇傾向に追いやるものです。また、土地の保有税強化の主張にしても、これ単独では、土地所有者の強い抵抗にあうことは必至で、他の政策と組合わせることによって抵抗を緩和し、はじめて所期の目的を遂げることができるようになります。
このように、それ自体としてそれぞれの目的に関してかなり有効な政策であっても、それが単独で行なわれる場合には所期の効果を上げることができないばかりか、マイナスの効果を来たす場合さえあります。

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