土地政策

地価問題をも含めてすべての都市問題とよばれるものが、資本と人口の大都市圏への集中に起因するものであり、都市問題を多少なりとも解決しょうとして行なわれる大都市圏自体への社会投資が、資本と人口の大都市圏への集中をますます強めるという矛盾が生じます。我々はそのような情況の中に置かれていることを、まず認識しなければなりません。経済成長による設備投資が日本ほどに激しくなく、また農業人口の都市化過程をすでにすませてしまっている欧米諸国における都市問題に比べて、日本の都市問題が格段に難しい理由の一つがここにあります。その上、日本の大都市周辺の土地所有者の大部分は零細な農家であって、欧米におけるような地代によって生活する大地主ではありません。資本と人口の集中に対応して、零紬農家は複雑な動きを示し、都市問題の解決をますます難しくします。したがって、他国で成功した政策を単純に日本に援用しようとしても無駄です。我々は我々の政策を自分で考えなければなりません。

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このような情況の下では、大都市圏に対する一切の社会投資を放棄しようという極論も、あながち理論的には否定しにくい側面を待つのです。しかし、すでに日本の人口の大半が東京、横浜、名古屋、大阪、神戸の五大都市とその周辺に住み、例えば住宅難、通勤難、公害などのような非人間的現象によって日々の生活を破壊されているとき、大都市圏への投資をやめてしまうことはとてもできることではありません。しかも、たとえ大都市圏への社会投資を実際にやめたとしても、それによって資本と人口の大都市圏への集中が止まるわけではありません。資本と人口の大都市圏への集中は引き続き起り、大都市圏における非人間的な現象は、日々刻々に増大していくのです。
都市問題は社会体制の根本にかかわると同時に、体制の違いを越えて共通な部分をもあわせ持っています。現在の体制の中で最大限の努力をなさなければ、たとえ体制が変革されたとしても、前体制の混乱がいつまでも尾を引くことになりかねません。それどころが、現体制の中で、都市問題の具体的な解決法を提起すること自体が、体制変革に不可欠なひとつの政治的要求になると考えられます。住宅難、通勤難、公害、災害に対する恐怖、そして激しいストレスの中で拡がる人間精神の荒廃、このような状況の中で必要なことは、不毛な抽象的な体制論や支化論ではなく、具体的な解決策とその実行可能性の証明です。そして、当然、解決策は、ある階級の利益を抑制し、あるいは負担を強制することになり、さらには別の階級の利益を伸張するというように、その解決策のなかに必然的に階級的利害が内包されるのです。
現代の日本における巨大都市政策は、そこに住む大多数の勤労者の願望として、物的な意味での都市機能を、安全で、健康で、能率的な方向に向わせることでなければなりません。しかし同時に、この都市機能を確保するために必要な投資は、受益者負担の原則により自償的でなければならないと考えられます。つまり都市政策を物的な機能の面と費用の負担の面の二つに分けることによって、上述の基本的矛盾から免れようとするのです。現代の大都市圏においては安全が特に強調されるべきであると考えられます。いま関東大震災なみの地震が東京を襲うと、大量の死者が出るのは、地震それ自体よりも、その後に発生する大災のためであり、東京の密集木造住宅群の問題がまず解決されなげればならず、そのためには良質の住宅を大量に建設する必要があります。さらに狭い道路に自動車が殺到することによる交通災害、通勤鉄道災害、基地や火薬工場等に代表される危険施設と住宅との混在からくる災害、都市河川の水害など、いずれも物的な意味での都市計画の根幹をなす問題です。
健康に関しては、具体的には上下水道やゴミ処理などの公衆衛生、空気と水の汚染や騒音などの公害、居住密度や日照に代表される住宅問題が解決されなければなりません。

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