地価の商業コストへの影響

商業のコストと利潤が物価に影響することは、小売価格と卸売価格の差によって現象的に示されています。ここでの問題は、そのコストのなかに地価の要素が含まれるがどうかだけです。さらに、土地は償却資産ではないために、借入金で商業用地を取得する場合の用地費の金利だけを問題にすればよく、一面では、借入金の金利は年々現実に支払いを要するわけであるため、その企業として見れば必然的にコストの一部と見なさざるをえないように見えます。しかし、理論的には、ある地点の地価高は限界地に対する地価高であり、限界地においては地価は商業コストを増大する要素たりえないことは明らかです。そして、優良地の地価高は限界地に対する売上額の期待増によって形成されるのであって、利潤の大きさを反映し、その土地に対する分け前の資本還元です。つまり、限界地に対し企業利潤を均等化させるための相殺要素です。全利の支払いを要しますが、それはコストではなく、利潤の一部です。しかし、この理論には一つの前提条件があります。つまり限界地と優良地には一物一価の関係が成り立つと仮定しています。優良地だがら特別に高く売ることができるわけではなく、安ければ限界地に需要が移ると仮定しているのです。そうすると、限界地の商業コストに地価の要素が含まれなければ、優良地の場合も含むはずはなく、ただ売上額が大きいために一定面積の土地に対する利潤が大きいことが、その地代の源泉であり、それを反映して地価は高くなるとされるのです。

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土地

現実には限界地のような需要の総量の少ない地域で取扱われるのは日常消費品に限定され、少し高い商品は販売されません。その販売はもっぱら最優良地たる都心に集中します。優良地での商品価格を人為的に高めたからといって、限界地では需要が少ないためにそれらの商品を扱う商店は成立せず、限界地は競争に参加しえません。このような地域独占によって特に価格が高められるならば、それは都心での売上額の期待を特に高める要因となり、地価を高める要因となるはずです。このような場合に借入金で用地を買取するならば、その金利のうちには、この独占地代部分を含むことになります。地価の要素は小売価格の上昇要因としなければなりません。
しかし、このような地域独占の形成を妨げる条件があります。それは新旧資本の競争です。その地域へ新規に参入する企業は、まだ地価の安かった時に立地した企業や償却の完了してしまっている古い企業と競争しなければなりません。しかも、その競争はきわめて熾烈です。古い企業は、このような独占地代を無視して、価格を下げて販売シェアを維持拡張しょうとするに違い有りません。新企業は利潤を引き下げたり、あるいは建物の高層化によって、旧企業に対抗せざるをえません。こうして、独占地代の実現は阻止されます。独占地代によって物価が高められることも、地価が特に高められることも、地価の状況の下では考えられません。
地価高は売上額の期待を反映するにすぎませんが、新規開店あるいは売場面積の平面的拡大に要する資金量を増大させることによって、商業の発展を阻害します。しかし、現実には、都心のターミナル付近の状況に見るように、新規開店や売場面積の拡張は盛んです。このことは、一面では需要の増大、他面では企業間競争の激しさを反映しているのであって、独占地代によって物価が高められるためと見ることはできないのです。

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