公共施設の地価への影響

鉄道の新設あるいは既設の鉄道での特急の新設などで一挙に通勤圏が拡大したとすると、新たな通勤限界地は一挙に持家限界地地価に高まります。前の通勤限界地との中間はそれ以上に上昇します。前の限界地以内の土地も同様な影響を受けるわけですから、その地価上昇も激しくなります。ところが、前の限界地は、地価の激しい上昇と、新たな限界地へ需要を奪われることによって、需要量は減少します。需要量の滅少による地価に対する抑制作用と、限界地の急激かつ大幅の移動に伴う地価に対する促進作用とは、当然矛盾します。この矛盾の解決として、地価は後者の作用によって一度は上昇しますが、その後、前者の作用の影響が現われて地価の上昇率は低下するという形をとることとなります。しかし、地価の水準は新たな限界地との相対関係で決まるために、上昇した地価が低落に転ずるということはないわけです。

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土地

道路の場合は通勤の主要手段ではなく、個々の道路の整備は通勤限界地を大幅に拡大することはほとんどないわけだから、上述のような影響は少なくなります。しかし、大都市圏全体としての通勤圏外までの道路網の整備は通勤圏の範囲を拡大するわけだから、鉄道ほどでなくても、上述のような影響を及ぼしていると考えられます。
次に商業地では、商業地の地価は売上額に比例する性質があり、かつ、同一の地点では住宅地の地価より高いという性質をももっています。鉄道の新設による住宅地の拡大に伴って商業地の範囲も拡大するわけですが、大都市圏の住宅需要量を与件とすれば、限界地の内側の地点では商品の需要量の増加率は低くなり、商業地の地価上昇率も低下するはずです。ところが、住宅地の地価は鉄道の新設によって一時は大幅に上昇するわけですから、商業地の地価が住宅地より高くなければならないという原則と結びつき、都心と限界地の中間地域の商業の発展を阻害することとなります。
以上では大都市圏での住宅需要量を与件にしましたが、現実には鉄道や道路の整備が住宅需要量に影響することはいうまでもありません。現状では、大都市圏だから有料道路の料金が特に高いということもなく、鉄道料金も同様で、これらのために大都市住民が特別に高い税を支払っているということもないために、大都市圏に対して鉄道網や鉄道網の整備を特に強化すれば、これらへの投資の増大の影響を考慮に入れなくても、交通条件が改善されるに伴って企業の大都市圏への集中の傾向は強化されます。企業に伴って人口の集中も促進されます。結果として住宅需要も商品需要も鉄道や道路の整備が促進されるに伴って、その増大率は高まります。前述のように、鉄道や道路の整備に伴う住宅限界地の拡大、この拡大に伴う都心と限界地との中間地域の住宅需要と商品需要の抑制は、中間地域の地価上昇率を一定期間経過後に低下させるわけですが、上述の一般的な増大率の上昇によってその上昇率低下傾向は緩和されます。工業の場合は、工場は住宅限界地の範囲内には普通新設されません。したがって、鉄道や道路によって住宅限界地が拡大すると、工場立地の可能な範囲は外側へ後退します。
住宅限界地外での鉄道や道路の整備は工場立地の範囲を広げることによって、その内側の工場用地地価を高めます。

土地
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