公共用地

道路、鉄道、港湾、飛行場、上水道、下水道などの公共地設は、大都市圏の産業と居住の配置と関連して設置されなければならない骨格であることはいうまでもありません。この骨格に対して、個々の企業や個々の住人はいわば個々の臓器や小さくは個々の細胞のようなもので、全体として有機体を構成するもののように見られています。そして、企業の活動上と住民の生活上の諸機能を促進するように、骨格としての公共施設の配置を決定し、整備してゆくことが都市計画であると考えられてきたといえます。企業と住居の配置は地価との関係で歪められるために、公共施設と企業と住居の関係は相互の機能だけを考えて計画できるようなものではないことがわかりました。もちろん、鉄道や道路に沿って都市圏が拡大するという意味では、大きく公共施設が企業と住居の配置を規定しているといってよいかも知れません。また、公共施設計画に当って全業活動を重視し、住民の生活を軽視した日本の保守政権の都市問題に対する対処の仕方を無視することもできません。しかし、道路や鉄道などを十分に配置できたとしても、現在見るような激しい企業と人口の大都市圏集中を前提して、これだけで大規模なスプロール現象や職住のひどい分離を阻止することができないことも、すでに明らかです。

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土地

公共施設の骨格と臓器や細胞をなす企業や住人の間に、企業や住人が活動し生活する基盤としての土地が介在し、土地が単なる自然物としてではなく、経済価値として価格を待ち、骨格と臓器や紬胞とが機能面だけで単純に結合できないように阻害するからである。それどころではなく、骨格たる公共施設そのものが、土地の経済価値に阻害されて、整備がおくれ、配置が歪められます。
道路や鉄道は運輸の需要に対応するものであるため、原則として需要の最も大きい位置が、近い将来に需要の最も大きくなると見込まれる位置、あるいは二つ以上の需要地を結ぶ位置に、線状に計画されなければなりません。これが主条件となります。次には、主条件を歪めない範囲で、用地費を含む工事費の安い路線が選ばれます。この路線の位置は上の二条件で厳しく規定されているために、一度決定したらはとんど他に選択の余地がありません。用地の売買は決定的な売手独占となります。用地を取得しなければ道路や鉄道は設置できないのに、路線位置にあたる特定の地主から買う外はないからです。
自由契約を前提とすれば、売手独占の地価は買手の期待採算の上限まで上昇する必然性があります。ところが財政支出で設置される道路の場合には、計算上は経済効果をはじき出すことができないわけではありませんが、はっきりと期待採算で上限が定められる性質のものではありません。有料道路や鉄道の場合でも、料金の水準で当面の上限は割されていて、まったく自由に変更できるわけではありませんが、工事費が上がれば料金の水準もしたがって上げうる性質のものです。これらの場合の用地地価は上限がない売手独占であるといえます。独占による地価上昇は、いうまでもなく料金を支払う需要者や納税者の負担を増大し、限られた用地提供者にのみ利益を独占させることになります。政府はこの独占を排除するために強権を発動せざるをえません。終局には総資本の利益に奉仕することになるのですが、強権によって地主の要求を抑えます。しかし、強権によるとしても、資本制社会では所有権そのものを無視することはできないために、原別的に、無制限にどこまでも抑制することができるわけではありません。下限を想定して、そこまで引き下げるという考え方です。下限の考え方には二つ有り得ます。
第一は、この公共施設の影響の存在しない状態における時価で買取するという考え方です。つまり、普通の売買同様、時価で買うのであるといって、あたかも需給によるがごとき偽装を押しつける。現在の買収方式は、完全にとはいきませんが、この考え方に依存しています。最近の土地取用法改正によって事業認定時価格を収用裁決時との間の物価変動でステイドした価格で買取するように定められたのは、売手の側の抵抗によって、この考え方の原別が崩れている現実を、原則の線に戻し近づけるための措置でした。
第二は、施設の妥当投資額を、用地費を除く工事費と用地の第一の考え方による時価によって比例配分し、配分額に相当する価格で用地を買収するという考え方です。つまり、その公共施設利用者の得ると期待される利益と同等の利益を用地提供者にも与えることが、公平の原則に適合するという考え方です。用地提供者を事業へのいわば参加者と認めるといってもよいのですが、この考え方は採用されていません。その理由は、表面的には、公共事業の場合、取益が明らかでないということでしょうが、実際は公衆の利益という旗印を押立てての強権が、土地所有者の抵抗に打勝っているということです。

土地
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