造成地と擁壁

 最近は、田畑や池を埋めたてて宅地にしたり、山をけずりとってヒナ壇状の宅地にするのが多い。限られた国土の土地は人工製造できない以上、山を切り開く土地造成が盛んです。
 農民の貧しさを表現した「耕やして天に至る」という言葉は日本の宅地造りにあてはめると「土地造り、まさに天に至る」ということになります。
 山を切り開いて宅地を造成するには、宅地造成等規制法という法律に基き、工事を実施します。
 同時に地方自治体は一定規模以上の宅地造成をする業者に「宅地開発指導要綱」を課し、公共施設の先行整備と開発負担金の拠出を決めています。
 これは、住宅地の乱開発に悲鳴を上げた兵庫県川西市が1967年にスタートさせて以来、各自治体が導入したもので、いまでは全国の自治体が制定しています。すなわち、開発事業によって一団の土地内に幹線道路や公園を作らせたり、小学校用地を現物で提供させたり、そうでない場合は公共建築物負担金を業者にもたせる方式です。
 思うに指導要綱というものは法律ではないから、強制力をもちません。

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 指導要綱は、あくまでも行政指導の一環であり、その指導に従わなかったからといって、業者が罪になるわけではありません。しかし、各自治体は生活の源泉となる給水権をもっているから「指導に従わない業者には給水をしない」とかの引換え条件を行政側がちらつかせるものだから、たいがいの業者はこれに従って宅地造成を行なっています。
 それだけ造成費が高くつくわけで、終局的には、宅地を購入する一般市民にそのツケが回ってきます。これでは、公共施設の負担金を市民がもつことになり、税金の二重払いになるのではないかとの意見も聞きます。現実には住宅が増すことによって自治体側は税金が入るけれども、それ以上の水道施設の拡充、小学校の新設・増築の費用負担となってはね返るから、財政事情の悪い今日では「宅地開発指導要綱は全面的に禁止すべきである」といえない苦しい側面をもっています。水道施設や小学校の新設等は、ほんらい国がなすべき仕事で、自治体がやりくり算段をして国の仕事を代行する以上は、指導要綱行政に依存せざるをえないのです。
 とにかく、こういう大規模の造成地は,目をむくほど高い。その代り、ガス・電気・水道・下水道等が完備されているから,即生活するには便利であり、かつ衛生的です。
 いくら安い田んぼの中の土地を買っても、地上げをし、その土地まで道路を引きこまないことには家は建たない、さらにその土地まで水道・ガス・電気を引っぱってくるとなると、その費用は驚くほど高くつく、すべて個人負担だから、安く買った土地がべらぼうに高い値段になります。大局的にみると,造成地は高いようでも安くつきます。このように考えると、分譲地の価格は,周辺の山林の素地価格の3倍はするでしょう。
  土地は、借院をもった一品生産のシロモノだけに、簡単に安い高いは比べられません。だから、同じ土地でも、Aさんは気にいったが、Bさんは気にいらない、となります。生活環境が異なる人間が、未知の土地で新しい生活を始めようとする基盤を先取り買いするのだから、AさんBさんのように評価が異なるのは当然です。
 人間は、長年ある場所に住みつくと、移動するのがおっくうになります。とくに老人には、この影響が強い「住めば都」とはよくいったもので、こういう筆者も生まれ育った家より枝分かれして別居し始めてより、3たび他市を転てんとして,現住地(もとの生まれ育った地)に戻ってきました。どうしても最後は生まれ育った大地に住みたかったのです。だから、わたしの親友のCさんに対して「この土地はいい所ですよ、住みよい所ですよ」とはいえません。Cさんにとっては,未知の土地には不案内の要素が多いだけに「いくら安くても住むのはいや」ということになります。
 ところで造成地の大切な所は宅地の土がくずれ落ちないように石垣やコンクリート擁壁が強固であり、かつ安全な構造となっていることです。その盛土は、高い所をけずり低い所へ土を盛る形式ゆえ、半分は堅い地盤ですが、半分は柔かい地盤になります。盛土が深いと自然に沈下現象を起こして沈みます。こういう敷地は、2〜3年のあいだ敷地を野ざらしにしておき全休の土地が沈み終って安定した頃に、建築工事を始めるのがよい、世の中には、年月という自然の長さが必要です。スピードの世の中の反動として「じっと我慢して待つ」ということは、大切なことです。

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