敷地の良否

 近年の都市は目まぐるしく変転していきます。数年間いかなかった町を再訪すると、その町の面影がころっと変わっていたり、古い建物が新しいビルに建て変わっていたり、狭い道路が広い道路になり、なつかしい建物が消失していたりして驚くことがあります。町は息づき、絶えず動いているのです。
 狭い国土に多くの人がうずまき、都会を目指して人が爆発的に集まるから、宅地の狭小化かますます進行していきます。それにつれて建物の規模も質も変化します。ある町の高級住宅地に静座していた大邸宅が、こつ然と消えて、そのあとに中居の白亜のマンションが建っているのを見ると、いくら建築基準法に適合しているとはいえ、その地域にそぐわない建物の出現が怨めしくなります。
 建物はやはりその地域の環境にマッチするものでないと、おかしいし、敷地に余裕をもって建てないと,どんなにいい建物でも露出過多となって死んでしまいます。こういう点ては,建ぺい率は確実に守りたいものです。とくに住宅では、心のやすらぎが必要なので敷地に空地がないと、住む人は息がつまりそうになります。空地があってこそ住宅は生きていけます。

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 過小宅地の分譲地に、初めポツンと一軒いい家が建ったものの次つぎと周辺の宅地に家が建ち出すと,安物の建売住宅のような建物に変化し、数年たって群立した中のかつてのいい家は、見るもあわれな見すぼらしい姿となり果てます。これは、住宅は周囲の環境によって、よくも見え、悪くも見えるということです。
 宅地を買うことは、同時に周囲の環境も買うことです。環境まで余裕をもてない人は、せめて住宅を建てるのに安全な敷地だけは確保したいものです。建築基準法にいう「安全で衛生的な敷地」とはどんなものをいうのでしょうか。
 土地を見にいくときは、地図と磁石と巻尺を持参し、北の方位と概略の大きさは確認しておきたい。さらにカメラを持参して境界杭、側溝、境界線、道路と敷地との接合状態を撮影しておくと、何か不測の事態が起こったときには役たちます。
 不動産業者の仲介で土地を購入する場合は、現地を見ると同時に「宅地建物物件説明書」を見せてもらい、じゅうぶんに納得のいく説明を聞きます。不動産に掘り出し物は無いというのが、不動産業界での鉄則です。
 また業者はお客さんを逃がすまいと、いい事ばかり並べるから、それをうのみにしてはいけません。逆に欠点を探し出して質問をする、質問の答えが、スラスラと出ないようでは、危なっかしい。さらに念を入れて,物件の土地所在地の法務局の出張所を尋ね、土地登記簿を閲覧し「土地の所有者名、地目、面積、金融機関に対する担保の有無」等を調べます。一世一代の大買物です。庶民にとっては、まさに清水の舞台から飛び降りる気持ちです。慎重に事を運んでも、慎重しすぎるということはありません。万一の被害を考えると、どんなに親切な業者に対しても,気をゆるめないことです。また口八丁手八丁の業者の口車に乗らないことです。世の中に口約束ほど頼りにならないものはないのだから、一度の土地の見聞だけでは納得できない人は,雨上がりのあと再度その土地を訪問してみましょう。仏心を出して三度いくのが理想的です。
 排水が悪くて、水たまりが敷地一面に残っていたり,ごみ集積場の埋め土の場合は雨で土がしまり、土地の一部が陥没していたりします。ついでに主な駅、停留所より、ゆっくり歩いて何分かかるかを計測してみます。
 車をいつでも誰でもが利用できるとは限りません。日常の通勤、通学、買物には足を使うのが主であることを思い出しましょう。荷物をもてば速度がにぶり、勤め先の帰りは、疲れて歩く速度が落ちること,雨降りの日は道路がぬかるまないか、真冬の寒さ、真夏の暑さの中で,自分が、家族が、どのように活動していけるだろうか、と未来の生活を描いてみましょう。「マイホームをこの土地に建てたときの生活のリズム」を想像するのは、無駄なことではありません。
 ついでに、土地周辺の環境を探索します。近くに社寺、川原、緑、公園などがあると、生活にうるおいをもたらしてくれます。緑の多い点景と小鳥の鳴き声が、心をはずましてくれます。

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