借地人のための私道への車の通行禁止

以前から二五人の人に土地を貸しており、その貸地の中央には両端が公道に通じる幅四mの私道があります。この道は駅にいく近道でもあるために、借地人以外の人や自動車が頻繁に通るのですが、借地人の一人がここで幼稚園を経営しており、この私道を園児が通園しますので、自動車の通行を禁止しようと思いますが差支えないでしょうか。
一口に私道といっても、法律的な性格、これに対する通行権の法律的内容等には様々のものがあります。本問の場合、あなた一人の所有の土地につき二五人の借他人がいるということは、同一所有者の土地の借地人が、借地部分を利用しうるようにするため、所有者(貸主)が自らの土地の一部に私道を開設したものと考えられます。そうすると、私道とこれを利用すべき土地(貸地部分)とは同一所有者に属しているので、所有者の異なる二個の土地の間に生ずる地役権や囲繞地通行権(袋地通行権)は発生しません。各借地人がこの私道を通行する権利は、結局土地の賃貸借契約にもとづき、その土地を利用させる義務を負っていた地主が、その義務履行の一つの方法として公道に通ずる私道を開設して借地人にこれを利用させるようにした結果生じたもので、いわば、土地賃貸借契約の一部ないしはこれと一体となる付随の契約にもとづく通行権で、借地権の一内容をなすものと考えられます。

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土地

本問のような場合、通行権を持つ者は借地人であることは当然です。ただ例外的に、地目を「公衆用道路」として一般公共のための通路とする場合があり、この場合には土地所有者は単に借地人が通行することを受忍するだけでなく、一般公衆の通行についても受忍しなくてはなりません。この場合には、固定資産税が免税になるなどの利点もありますが、例としては数が少なく、一般的には宅地の一部につき、前述のように借地人に対し土地賃貸借契約に付随して通行権を与えたものと考えてよいでしょう。
所有者といえども、私道について他人に通行権を設定した以上、たとえそれが契約にもとづくものであっても、通行権者の通常の通行方法を制限し、あるいは禁止することはできません。そして現在においては、自動車による通行は通常の通行方法とみるべきですから、通行権者による自動車の通行を禁止することはできないと考えるべきでしょう。
しかしながら、本問の場合には、私道に対して通行権を持つ者は借地人ですから、通行権者である借地人の自動車による通行を禁止することはできなくても、借地人以外の者の通行までを受忍しなければならない義務はなく、その通行を制限したり禁止したりすることはもちろん可能だということになります。ただ人の歩行を禁ずることは事実上もなかなかむずかしいでしょうし、また私道とはいえ、道路が開設されている場所について人の通行までを禁止することは、場合によれば、権利濫用といわれないともかぎりません。しかし、借地人以外の自動車通行の禁止ということは、本問の場合のように幼稚園児の通回路で危険防止という意味があり、また自動車の通行は道路の損傷を招くことにもなりますから、これを禁止しても権利の濫用とはなりません。むしろ借地人のため借地の円滑な利用を確保するという点から考えれば、借地人とは無関係な人の自動車による通行を禁止することは、貸主として当然の義務とさえいえましょう。

土地
昔から境界が不明/ 境界の目印/ 境界標が無くなり隣が侵入してきた/ 河川との境界/ 登記所の地図は必ずしも現実の境界とは一致しない/ 買った土地の境界が違っていて家が建てられない/ 同じ買主から買ったのに隣りが登記面積より広い/ 分譲地の私道負担が多すぎて家が建たない/ 越境している隣家をそのままにしておくと時効で隣人の所有になる/ 隣りが境界線をこえて増築している/ 隣りのエアコン室外機が越境している/ 隣りの庭木が越境しているとき/ 借地の境界がはっきりしないとき/ 隣りとの塀は共同の費用でつくることができる/ 塀について隣人と意見があわないとき/ 共同の塀の修繕費用は平等に負担する/ 高い塀のために日当りが悪くなった/ 塀が壊れて通行人がケガをしたとき/ 土留めの石垣費用は崖の斜面の所有者が負担する/ 道路位置指定を受けるには/ 道路位置指定を受ける前に分譲業者が倒産したとき/ 道路にはり出して建物を建てているとき/ 私道確保の方法/ 通行地役権の時効取得/ 袋地の通行権を妨害されたとき/ 土地の一部を買って袋地となったとき/ 建築基準法に適合する道路分だけの袋地通行権/ 地主が借地人の私道を借地人の一人に貸してしまった/ 地主が借地人のために私道を売ってしまった/ 分譲によって袋地となった者の通行権/ 私道負担付の土地の譲受人の通行権/ 私道を勝手に閉鎖することはできない/ 私道への駐車は許されない/ 借地人のための私道への車の通行禁止/ 道路位置指定のある私道は権利者だけの同意だけでは廃止できない/ 整然とした道路を造るには/

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