分譲によって袋地となった者の通行権

私の家の一画は五軒が一ブロックになり、その中央に公道に通じる幅員四mの私道があります。この私道は私道をはさんだ四軒の人が各自所有地の一部を提供しているので、どういうわけか一番奥のAだけは私道ヘの提供分がありません。そこでAに対し私道の一部を負担するよう申し入れましたが道路位置指定を受けている準公道だから通行権があるといっています。人の土地を無償で使うというのはおかしいと思うのですがどうなのでしょうか。
本問の場合、Aの土地は袋地となっていると思われます。当初は一人の所有者の土地であったものが分譲された結果そのようになったのか、別個の所有者の土地であったのかによって問題は変わってきます。
五軒の家が一ブロックとたっている地域が、元来は一個の土地で、その所有者がこれを分譲したことによって、そのような状況になったものである場合、その分譲が同時に行なわれたときは、袋地所有者のAは他の四軒の囲繞地につき通行権を取得し、無償で通行することができるというのが最高裁判所の判例です。そのときは、四軒で負担しあったものにせよ、私道という通路が開設されている以上、囲繞地通行権(袋地通行権)による通行は、その私道を利用すべきであると考えるのが相隣関係に関する民法の趣旨にも合致するし、妥当なものといえましょう。
このような結論は、分譲する予定で四区画の土地の一部をもって構成された私道を開設し、これを利用することを前提として分割した土地を逐次売却した場合にも同様ですし、また、最初Aだけが旧所有者から土地の一部を買い、現在の私道部分を通行していたところ、後になって旧所有者が私道部分を含む所有地の残部を四分して四軒に売却した場合は多少議論が分かれますが、結論としては同様に考えてよいでしょう。
以上のような場合は、いずれもAは無償の通行権を取得していますので通行料を請求することはできません。

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土地

以上に反し、結果的には全部の土地が分譲され現在のような状況にはなっているが、その経過は、一区画ずつが時間をおいて、いわゆる切売りのような形で売却されて来たという場合には、無償通行権が生じないこともあります。もっとも、この場合でも通常の囲繞地通行権は生じますし、私道が開設されている以上、その私道を通行できることは前述したところと変わりなく、ただ有償か無償かという点が異なるだけです。
また私道を開設して分譲をする場合には、分譲地について、私道に対する通行地役権を設定したものとみなす考え方もありますが、この考え方をとる場合はどのような内容の地役権を設定したとみなすかその内容によって通行料がとれるかどうかきまります。
以上のとおり、分譲地では無償の囲繞地通行権が生ずることが多く、また、最近は私道について建築基準法による道路位置指定をうけていることが多いようですが、無償通行権の成立と道路位置指定とは直接には関係ありません。
道路位置指定というのは、建築基準法の関係から、一定の建築に対しこの法律の要求する道路の位置を指定し、道路として利用することを確保するもので、道路位置指定をうければその土地は道路として維持してゆかなければならず、その廃止変更には許可を要し、このかぎりでは私道といっても、これに対する所有権等の私権は法令上道路としての用に供すべき負担、制限をうけていることになります。そしてこの私道について通行権をもっている者に対しては、道路位置指定につき適法な廃止、変更があるまで道路の用に供しなければならないということの結果、道路位置指定のあるかぎり道路として使用させることを受忍しなければならないことになります。また私道の所有者、または私道を利用すべき土地の所有者が変わっても、通行の権利義務は承継され、また、この権利義務の承継は私道の所有者に当然対抗(主張)できると考えられます。このように、道路位置指定がある場合、通行権者の立場が強くなりますが、これは私道についてなんらかの通行権をもっている者について生ずることであって、道路位置指定があるからといって、何人もその私道に通行権をもつということにはなりません。また道路位置指定は通行権の有償無償ともなんの関係もありません。すなわち、通行権の発生、内容等は、その私道に関する私人間の私法上の要素からきまるのであって、道路位置指定があればその法令上の制限から結果的にすでに存している通行権が保護されることになるというだけで、道路位置指定という建築基準法上の措置は、なんらかの私法上の権利を生ぜしめる直接の原因となるわけではありません。
Aに対し私道の一部を負担させるということは、本問の場合のようにすでに私道が開設されているときは、結局私道の一部または持分をAに買い取らせるということを意味します。これは本質的には通常の土地売買と変わりませんので、土地の買取りを請求したり強制したりする権利は法律上当然にはありませんから、Aに私道負担を強制する方法はありません。負担の公平という点からはAも私道負担に応ずるのが妥当でしょうが、実際問題としては、Aとしては道義的に応ずるならば格別、私道負担に応じなくても、私道の通行は確保されているのですから、このような状況のもとで、Aに私道負担を求めることはむずかしいでしょう。

土地
昔から境界が不明/ 境界の目印/ 境界標が無くなり隣が侵入してきた/ 河川との境界/ 登記所の地図は必ずしも現実の境界とは一致しない/ 買った土地の境界が違っていて家が建てられない/ 同じ買主から買ったのに隣りが登記面積より広い/ 分譲地の私道負担が多すぎて家が建たない/ 越境している隣家をそのままにしておくと時効で隣人の所有になる/ 隣りが境界線をこえて増築している/ 隣りのエアコン室外機が越境している/ 隣りの庭木が越境しているとき/ 借地の境界がはっきりしないとき/ 隣りとの塀は共同の費用でつくることができる/ 塀について隣人と意見があわないとき/ 共同の塀の修繕費用は平等に負担する/ 高い塀のために日当りが悪くなった/ 塀が壊れて通行人がケガをしたとき/ 土留めの石垣費用は崖の斜面の所有者が負担する/ 道路位置指定を受けるには/ 道路位置指定を受ける前に分譲業者が倒産したとき/ 道路にはり出して建物を建てているとき/ 私道確保の方法/ 通行地役権の時効取得/ 袋地の通行権を妨害されたとき/ 土地の一部を買って袋地となったとき/ 建築基準法に適合する道路分だけの袋地通行権/ 地主が借地人の私道を借地人の一人に貸してしまった/ 地主が借地人のために私道を売ってしまった/ 分譲によって袋地となった者の通行権/ 私道負担付の土地の譲受人の通行権/ 私道を勝手に閉鎖することはできない/ 私道への駐車は許されない/ 借地人のための私道への車の通行禁止/ 道路位置指定のある私道は権利者だけの同意だけでは廃止できない/ 整然とした道路を造るには/

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