塀が壊れて通行人がケガをしたとき

突然Aさんの家のブロック塀が倒れ、通行していた主人がケガをしてしまいました。調べてみると、工事人の手抜きで、そのブロック塀には鉄筋が入っていなかったために倒壊したとのことです。Aさんは工事人の責任だからといって損害を賠償してくれませんが、工事人に請求すべきでしょうか。
たしかに、Aさんのいうとおり、ブロック塀が倒れた原因は工事人の手抜きですから、民法では、請負工事の施工にともない第三者に与えた損害は原則として請負人が賠償する責任を負い、特に注文者に注文または指図について過失があった場合だけ注文者が負うことになっていますので、Aさんが工事に際して、鉄筋を入れなくてもよいと指示したのでもないかぎり、Aさんには責任はないようにも思えます。しかし、また民法は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があるために他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者(事実上支配する借家人など)か所有者が損害賠償の責任を負わなければならないと定めています。

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土地

土地の工作物とは、道路のように土地自体に人工を加えてつくったもののほか、地上および地下に人工的に設備された各種のものを広く合んでおり、建物、テレビ塔、井戸、水道設備、電柱などをあげることができます。石垣、石塀、板塀やブロック塀も当然これに入るわけです。瑕疵というのは、その物が本来備えていなければならない性質または設備に欠けていることで、このような瑕疵が、工作物の築造当初から存在する場合を設置の瑕疵、その後の維持管理されている間に生じた場合を保存の瑕疵といいます。ブロック塀には補強のため適宜鉄筋を入れるのが通常であり、本問の場合のように、鉄筋を入れないでつくられている場合はまさに設置に瑕疵があるといえましょう。
前の所有者が九mあまりの崖にコンクリートの擁壁をつくった土地を譲り受けた者に、その擁壁が壊れて下の家屋が破壊した責任を負わせた判例があります。
このように、前の所有者がつくったものを譲り受けた者にも工作物責任が認められているのですから、ブロック塀を注文してつくらせた現在の所有者であるAさんが、損害賠償責任を負うのは当然といわなければなりません。
もっとも、ここでは、Aさんをブロック塀の所有者として考えましたが、仮に、Aさんが借家人であり、その家主が塀をつくらせたとすれば家主が所有者であるわけです。その場合でも、占有者であるAさんが責任を免れるためには、損害の発生を防止するに必要な注意をなしたことを立証しなければならず、このような立証はかなりむずかしいと思われます。Aさんが免責された場合には所有者である家主が無過失責任を負うことになります。
理論的には、工作物責任の提言には、被害者が瑕疵のあることを立証しなければなりませんが、実際には、加害者が瑕疵のなかったことを立証しないかぎり責任を免れないというように取り扱われています。本問の場合、鉄筋を入れていなかったことはすぐわかるのですからこの点では問題ないでしょう。請求できる範囲は、ケガによって支出した治療費、ケガにより仕事を休んだため得られたはずの報酬が得られなくなったとしたらその損害(休業補償)、けがが重く全治しても以前の仕事ができないようでしたら将来の減収分、精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料で特別の場合以外はごく少額しか認められません)などです。
また、工事人にも責任追及はでき、Aさんと工事人の双方を相手として、または、そのどちらか一方を選んでそれぞれ全額を請求することができます。

土地
昔から境界が不明/ 境界の目印/ 境界標が無くなり隣が侵入してきた/ 河川との境界/ 登記所の地図は必ずしも現実の境界とは一致しない/ 買った土地の境界が違っていて家が建てられない/ 同じ買主から買ったのに隣りが登記面積より広い/ 分譲地の私道負担が多すぎて家が建たない/ 越境している隣家をそのままにしておくと時効で隣人の所有になる/ 隣りが境界線をこえて増築している/ 隣りのエアコン室外機が越境している/ 隣りの庭木が越境しているとき/ 借地の境界がはっきりしないとき/ 隣りとの塀は共同の費用でつくることができる/ 塀について隣人と意見があわないとき/ 共同の塀の修繕費用は平等に負担する/ 高い塀のために日当りが悪くなった/ 塀が壊れて通行人がケガをしたとき/ 土留めの石垣費用は崖の斜面の所有者が負担する/ 道路位置指定を受けるには/ 道路位置指定を受ける前に分譲業者が倒産したとき/ 道路にはり出して建物を建てているとき/ 私道確保の方法/ 通行地役権の時効取得/ 袋地の通行権を妨害されたとき/ 土地の一部を買って袋地となったとき/ 建築基準法に適合する道路分だけの袋地通行権/ 地主が借地人の私道を借地人の一人に貸してしまった/ 地主が借地人のために私道を売ってしまった/ 分譲によって袋地となった者の通行権/ 私道負担付の土地の譲受人の通行権/ 私道を勝手に閉鎖することはできない/ 私道への駐車は許されない/ 借地人のための私道への車の通行禁止/ 道路位置指定のある私道は権利者だけの同意だけでは廃止できない/ 整然とした道路を造るには/

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