隣りが境界線をこえて増築している

隣りが境界線をこえて台所を増築していますがいくら抗議してもどんどん工事を進めています。何かよい方法はないでしょうか。
本問の場合、隣家の完成前に越境建築であることに気づかれた点に特微があります。たとえ越境建物であろうと、それがひとたび完成してしまいますと、その除去は困難ですが、この点、まだ完成前ですと、対処のしかたもより積極的なものが考えられます。
まず考えられますのは、裁判所に建築工事中止の仮処分を申請する方法です。この仮処分命令が出されますと、隣人は工事を中止しなければなりません。このようにして、ひとまず工事の完成をおさえておくことは大事なことです。

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土地

次に、建築中の隣人に対して所有権にもとづく妨害排除の請求をする方法が考えられます。この妨害排除の請求というのは、所有権の行使が妨げられている者が侵害者に対してその妨害の除去を求めることです。あなたは現に、あなたの土地に越境して建築中の隣人に対して建物の越境部分の除去を請求できるわけです。他方、一般に越境建築に対してつねに妨害排除の請求が認められるとはかぎりません。たとえ所有権にもとづく妨害排除の請求であっても、それが権利の濫用となる場合には認められません。越境部分の除去によって被る建築主の損失にくらべて妨害された土地所有者の損失がはるかに小さな場合には、妨害排除の請求は権利の濫用となります。もっとも、本問のケースは隣家の増築工事がまだ完了しているわけではありませんので、あなたの請求に応じて越境部分の除去をしても隣人の被る損失はそれほど大きなものとはならないでしょう。それにあなたの場合、隣人がうっかりして越境建築を進めてしまったというよりも、越境していることを承知で工事を進めていることがあなたの再三の抗議を無視していることでもわかります。このような相手に対しては、越境部分の除去によって被る損失を顧慮する必要はないといえましょう。したがって、あなたの妨害排除の請求は権利の濫用とはいえません。
この場合、もう一つだけ考えあわせたほうがよい点は、建物は境界線から五〇cm以上離さなければならないという民法の規定でしょう。この規定は、境界線附近の空間を確保しようとする意図を持つものであってけっして越境建築の規制を意図するものではないのですが、同条二項の趣旨を越境建築の場合に応適用できましょう。同項によれば、建築工事着手のときから一年を経過していたり、建築の竣成している場合には、その廃止または変更を求めることはできないこととなっています。同項を越境建築にも類推適用しますと、越境建築に借手してから一年過ぎてしまったり、竣成してしまうと侵害された側は建物の廃止、変更を請求できないこととなります。しかし、本問の場合、台所の増築ですので、工事に着手してから竣成まで一年以上かかることはまず考えられません。したがって、民法二三四条二項を類推適用したとしましても、妨害排除の請求は妥当なものといえます。
他方、建物を増築するのに境界線から五〇cm以上の距離を保たねばならない地域に増築中の隣家がある場合は、隣人に対してこのような距離保持を求めることもできます。
このような民法上の保護のほかに刑法上の保護をもあわせ考えることができます。隣人はあなたの制止にもかかわらず越境建築を進めているわけですから、不動産侵奪罪が成立しますので、罰してもらうこともできます。
またこんな場合、その増築が建築基準法違反の建築であるということも少なくありません。その場合には建物の除去や是正を命じてもらえますので、一応、市町村役場の建築課に相談してみるのも一つの方法です。

土地
昔から境界が不明/ 境界の目印/ 境界標が無くなり隣が侵入してきた/ 河川との境界/ 登記所の地図は必ずしも現実の境界とは一致しない/ 買った土地の境界が違っていて家が建てられない/ 同じ買主から買ったのに隣りが登記面積より広い/ 分譲地の私道負担が多すぎて家が建たない/ 越境している隣家をそのままにしておくと時効で隣人の所有になる/ 隣りが境界線をこえて増築している/ 隣りのエアコン室外機が越境している/ 隣りの庭木が越境しているとき/ 借地の境界がはっきりしないとき/ 隣りとの塀は共同の費用でつくることができる/ 塀について隣人と意見があわないとき/ 共同の塀の修繕費用は平等に負担する/ 高い塀のために日当りが悪くなった/ 塀が壊れて通行人がケガをしたとき/ 土留めの石垣費用は崖の斜面の所有者が負担する/ 道路位置指定を受けるには/ 道路位置指定を受ける前に分譲業者が倒産したとき/ 道路にはり出して建物を建てているとき/ 私道確保の方法/ 通行地役権の時効取得/ 袋地の通行権を妨害されたとき/ 土地の一部を買って袋地となったとき/ 建築基準法に適合する道路分だけの袋地通行権/ 地主が借地人の私道を借地人の一人に貸してしまった/ 地主が借地人のために私道を売ってしまった/ 分譲によって袋地となった者の通行権/ 私道負担付の土地の譲受人の通行権/ 私道を勝手に閉鎖することはできない/ 私道への駐車は許されない/ 借地人のための私道への車の通行禁止/ 道路位置指定のある私道は権利者だけの同意だけでは廃止できない/ 整然とした道路を造るには/

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