越境している隣家をそのままにしておくと時効で隣人の所有になる

五年ほど前に隣人が家を新築しましたが、完成後その家が約五〇cmほど私の敷地内に入っていることがわかり、今度新築、改築するときはこれを取り除く旨の念書をもらっています。このままにしておくと、越境部分の土地は時効で隣人のものになってしまうと聞きましたが本当でしょうか。
境界線はつねに明確であるとはかぎりません。最近ふつうに行なわれているように石材の界標が設置されているのならばともかく、本位などの比較的に滅失しやすい材料をもって界標としていたり、さらには、相隣者間の黙示の約束の中で境界線を認識していたりする場合には、ともすると越境建築がなされることとなってしまいます。そして、越境した者もされた者もそれに気づかずにいる場合が生じうるのです。本問の場合も、隣人はもちろんのこと、あなた自身も隣人の越境建築について、それが完成するまで気がつかなかったことになります。
民法は、一定期間継続して他人の土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に占有する者に、その土地の所有権を取得しうる途を与えています。その際、この一定期間を時効期間として、二〇年と一〇年という二極の期間が定められています。この二極の期間は、土地を占有(事実上支配)する状態の差異に応じて定められています。すなわち、他人の土地を占有する際に、その土地が他人の土地であることを知っていたり、知ってはいないが知り得べきであった場合には二〇年となり、他方、占有している他人の土地を自分の土地と信じ、また、そう信ずることがもっともである場合には一〇年となります。時効制度は、一定の事実状態がこのような一定の期間継続した場合に、その事実状態に対応する法的効果を生じさせようとするものです。権利の上に眠る者を法的に保護する必要のないことはもちろんのことですが、さらに、一定期間継続してきた事実状態を覆すことによって生ずる社会秩序の動揺を回避しようとするところに、時効制度の積極的な意義があるのです。

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土地

本問の場合、隣人が建築工事に着手した当時は、隣人は越境部分の土地を自分の土地と信じ、また、そう信ずることがもっともだったと思われます。しかも、その土地を所有の意思をもって占有していたことも明らかですので、一〇年の時効が進行しはじめていたといえましょう。しかし、この場合、隣人の越境建築に気づかれて以後、隣人より次回の新築に際しては越境部分を除く旨の念書をもらっています。このことは、隣人が、越境部分の土地はあなたのものであることを承認し、後日これを返還する義務を負っていることを示したことになります。ですから、そのとき、隣人との間に以後無償で越境部分を使ってよいという使用賃借が成立したこととなりましょう。また、もしあなたが越境部分の使用について隣人より地代相当分の金銭を受ける約束をしていれば、隣人との間に賃貸借が成立したとも考えられます。いずれにしましても、隣人が越境部分の土地を所有の意思をもって占有しているのではないこととなります。つまり、隣人の占有は取得時効の要件を充たすものとはいえないのです。ですから、越境部分の土地が隣人のものになってしまうことはありません。なお、念書はふつう一通だけ作成されるようですが、もしそれを紛失でもしたら将来における大事な証拠を失うことになりますから、写しをとっておきましょう。

土地
昔から境界が不明/ 境界の目印/ 境界標が無くなり隣が侵入してきた/ 河川との境界/ 登記所の地図は必ずしも現実の境界とは一致しない/ 買った土地の境界が違っていて家が建てられない/ 同じ買主から買ったのに隣りが登記面積より広い/ 分譲地の私道負担が多すぎて家が建たない/ 越境している隣家をそのままにしておくと時効で隣人の所有になる/ 隣りが境界線をこえて増築している/ 隣りのエアコン室外機が越境している/ 隣りの庭木が越境しているとき/ 借地の境界がはっきりしないとき/ 隣りとの塀は共同の費用でつくることができる/ 塀について隣人と意見があわないとき/ 共同の塀の修繕費用は平等に負担する/ 高い塀のために日当りが悪くなった/ 塀が壊れて通行人がケガをしたとき/ 土留めの石垣費用は崖の斜面の所有者が負担する/ 道路位置指定を受けるには/ 道路位置指定を受ける前に分譲業者が倒産したとき/ 道路にはり出して建物を建てているとき/ 私道確保の方法/ 通行地役権の時効取得/ 袋地の通行権を妨害されたとき/ 土地の一部を買って袋地となったとき/ 建築基準法に適合する道路分だけの袋地通行権/ 地主が借地人の私道を借地人の一人に貸してしまった/ 地主が借地人のために私道を売ってしまった/ 分譲によって袋地となった者の通行権/ 私道負担付の土地の譲受人の通行権/ 私道を勝手に閉鎖することはできない/ 私道への駐車は許されない/ 借地人のための私道への車の通行禁止/ 道路位置指定のある私道は権利者だけの同意だけでは廃止できない/ 整然とした道路を造るには/

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