土地売買契約における買戻特約

民法では、不動産売買にあたり不動産の売主が、売買契約と同時に為したる買戻の特約により、買主が払いたる代金及び契約の費用を返還して、その売買の解除をなしうることを認めています。これを買戻といい、この特約によって留保した権利を買戻権といいます。このような民法上の不動産の買戻しにかぎらず、広く、売主が一旦売却した目的物につき代価相当の金額を買主に払い戻してこれを取り戻す法的手段は、ほかにも考えられます。売買にあたって将来再び目的物を買い取ることのできる予約をしておく方法、再売買の予約、売主が買主から代金相当の金銭を借りて後日これを弁済して所有権を返還してもらう契約をしておく方法、売渡担保、譲渡担保、、売買にあたり約定解除権を留保したり解除条件をつける方法、解除権留保付売買、解除条件付売買などがこれになります。民法は買戻権について売買の項に詳細な規定を設けたのかは、他の方法は必ずしも強力な買戻の効果が保障されず、第三者に対する対抗力もないので、これを確保するため、不動産を売買の目的物にした場合につき、対抗力ある強力な買戻権を認めたのです。他と区別するため狭義の買戻といえます。

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土地

売主が将来土地を再び自分の手に取り戻すという権能を留保する売買は、目的物を一定期間だけ買主に譲渡することになるので、土地の永代売買が禁止されていた時代にも許されていたものであって、不動産の利用形態として特殊な、特に担保の手段として広く利用されていたようです。ここに、いわゆる所有権移転型式による担保制度の日本における原型をみるのですが、民法では、約定の物的担保権として制限物権設定方式による質権と抵当権を規定するだけで、所有権移転型の担保権を正面からは認めませんでした。民法は、買戻を一種特別の売買として売買契約の項に位置づけたのです。しかも、民法は、買戻を規定するにあたって、目的物を不動産にかぎり買戻期間を制限し買戻権の対抗要件として登記を要するなど、厳重な要件を定めたので、その本来の機能は危機的状態にあったといえます。
一方で、所有権移転型式による担保手段は、民法上の質権、抵当権の規定だけでは実際金融取引上の経済的要請に応じきれない状況から、今日おおいにかえりみられ、利用の度合いが多くなる傾向を示しています。このような事情の下において、民法上の買戻は、その厳重な制限の故に、実際取引の要請にこたえられず、これに代って再売買の予約の法的手段が用いられている現状です。
再売買の予約は、売買にあたり、売主が将来一定の価格または時価で買い戻すことを予約しておくもので、売買一方の予約をするものが多く、この場合には予約完結権を仮登記して保全する途を講じられるので、その効用は大きい。
民法上の買戻と法的内容の差異として、買戻は解除による原状回復を原則として代金と契約費用を提供すればよいのに対し、再売買の予約では代金は当事者が任意に定められること、買戻は不動産の売買と同時になすことを要しますが、再売買の予約は不動産にかぎられず、また売買契約と同時になす必要はないこと、買戻は期間が限定されていますが再売買の予約には期間の制限はないことなどです。
以上のように、買戻と再売買の予約とは、権利移転型式の担保手段として法規上の根拠をもち、担保機能を営むものですが、いずれかというと、買戻については前述のような厳重な制約が付されているのに対して、再売買の予約は当事者が自由に条件を定めることができ買戻の要件をみたさないものでも再売買の予約としては有効であるとされるので実際には再売買の予約が担保形式として広く利用されているのです。このように、買戻の要件が再売買の予約によって緩和され、それがもっぱら権利移転型式の担保目的ということになると、その目的のための制度、売渡担保、譲渡担保に純化され、独自の法律構成を形成し確立するようになります。

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