無償で貸した土地の取戻し

無償で土地を貸借する法律関係には、使用貸借と無償の地上権がありえます。その使用目的が地上権にあてはまる工作物または竹木を所有するためのものであっても、地上権という強力な権利を無償のものとして設定することはきわめてまれであるために、地上権である旨の意思表示があるか、あるいは地上権であるといえるだけの特別な事情がないかぎり、使用借権が設定されたものと解すべきです。

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賃借期間満了までに返還すべきことは、使用借主の基本的義務です。したがって、貸主は、約定の期間が満了すれば、借主がまだ使用を終えていなくとも、目的物の返還を請求することができます。
期間の定めのない使用賃借でも、予定された使用収益が終了しているときは返還請求できます。また、使用収益をするに足りる相当な期間を経過したときは、たとえ使用収益上の目的を達していなくとも、貸主は目的物の返還を請求することができます。このように考察してくると、たとえ返還期限がまだ到来し ていなくとも、すでに使用目的を達成し終えているとき、あるいは、その目的に使用することが不能または不必要となっている場合に、目的物を借用し続ける意味がないため、期限未到来を理由にした返還の拒絶は、契約上の形式的合法性があるにせよ、期限の利益の濫用といわざるをえません。例えば判例が、他に適当な家屋をみつけるまでしばらくの間の住居とする目的の使用貸借の事例について、家屋深しに必要と思われる期間を経過したときには、貸主は告知することができるものと判示しているのも、借主は無償の恩義に報いる意味でも、早期返還の努力をすべきであるということです。
貸主のほうから解約できる借主側の義務違反としては、借主が契約または目的物の性質によって限定されている使用収益の方法に違反した場合と、借主が貸主の承諾を得ずに目的物を第三者に使用収益させたときとがあります。
通常の使用収益に伴う目的物の毀損についての責任は、賃貸借の場合なら、賃借料のなかにその修繕費などが算入されているとみていいために、特約なきかぎり、賃借人がそれを別途に負担するには及びませんが、使用貸借においては、民法五九五条一項で通常の必要費を借主が負担すべきものとしているため、目的物の寿命を大幅に延ばすものでない日常的な修繕の費用も、使用収益にとって通常必要なものとして借主の負担となります。しかも、使用貸借が無償であることが強調され、忘恩行為などの前近代的契約要素も解約事由として問題になるぐらいであるため、修繕費の分担や用方違反の有無の認定についても、挙証責任と免貴範囲において借主にとって厳しい扱いになります。
賃貸借においては、対価と引き換えに得られた財産権といえる性格を帯びることから、特に不動産賃借権について譲渡性が認められる傾向があり、無断譲渡等を解除権発生事由とする民法六一二条二項の明文の規定があるにもかかわらず、判例における解釈は背信行為にならない特別な事情があれば解除を認めていません。それに比べ使用貸借は、無償の借主として、善良な管理者の注意をもって目的物を保管すべき立場にあることはもちろん、対価を得て転貸するなどはいうに及ばず、たとえ緊急の必要がある第三者に無償で転貸することも、場合によっては解約事由にあたる背信行為といえます。背信にならない転貸としては、せいぜい、時間的余裕がないために貸主の意向を聞けませんが、間い合わせができたとしても、貸主は快諾するであろうと推察できる事情があるときとか、あるいは、転貸するとはいっても、目的物を第三者に引き渡してしまうのではなく、借主自身の管理のもとで、第三者に使用収益を許した場合ぐらいです。
借主の貸主に対する忘恩行為が解除権の発生原因になるとする規定はありませんが、土地ほどの重要な財産の無償使用を許すような累密な関係が破壊されたときは、貸主のほうから解約できるかどうかが問題になります。そこで、借主が土地に投下した資本を回収するための費用償還などは別に考えるとして、貸主の主張する背信性が借主を従属関係におくことを前提としたものでないなら、取引関係である賃貸借において解約事由になる程度の強い背信性がなくとも、解約が認められることになります。

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