地役権の意義

地役権とは、ある土地の便益のために近隣の土地を役立てることを内容とする権利です。その対象である近隣地は、他の土地の利用拡大のための負担をうけるという意味で承役地とよばれ、承役地を便益に供することによって利用価値の高まる土地を要役地といいます。承役地が供せられる便益の内容や形態は、相隣関係における最小限の利用調整として法定されたものを否定する内容でないかぎり、その設定契約において自由に定めることができ、地上権や永小作権におけるような使用目的上の制限がありません。
地役権の内容として承役地にまで利用を拡大する要役地の方の権利は、民法二八○条の自己の土地の便益という文言から解釈すると所有権にかぎられることになりますが、民法二六七条の類推によって、地上権、永小作権、対抗要件をそなえた賃借権のためにも、地役権を設定できるものと解釈されています。

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地役権は要役地を利用するための権利であり、要役地利用者の個人的便益のために設定できるものでないため、承役地を客体とする地役権を要役地の権利から分離して譲渡することはできません。また、対抗要 件をそなえてない賃借権は、まだ対人権から対物権に転化してないため、人役権的なものを認めない趣旨からも、地役権を設定できないことになります。従来の判例は、建物所有のための土地賃借権についても、建物保護法一条による対抗力の有無を審理することなく、賃借権者が地役権を時効取得することを否定してきましたが、最高裁昭和三六年三月二四日判決は、囲繞地である賃借小作地の引渡をうけた者と土地の所有者との間に、民法二一三条の袋地通行権の規定を準用しています。地役権の内容は、承役地に対する共同利用的便益であるため、通行地役権などのように、同一承役地に複数併存しうるものが多い。賃借権を設定して専用通路を開設するよりも、非排他的利用権としての対価も経済的です。
地役権を約定地役権とよび、相隣関係における最小限の利用調整の規定を法定地上権とよぶことも講学上は可能です。例えば袋地の隣地通行権の範囲が必要最小限の幅員でしかないことから、自動車の出入できる幅員を確保したり、袋地ではないけれど、直接大通や駅前へ通行する便益を得たいと思うときには、それに必要な部分について、土地の所有者に地役権を設定してもらえばよい。このようにみてくると、地役権は、近隣関係として法定された最小限の隣地利用権能を拡大させる方向のものであって、その最小根のものさえ剥奪する内容のものであってはなりません。
地役権の内容である便益には、地役権者が承役地に対して所定の作為をすることが許されるものと、要役地の利用価値を増大させるような承役地に対する権利行使の制限とがあります。通行や引水などの便益を得るものが作為地役権とよばれる前者の例であり、要役地の日照や眺望を確保するための承役地における建築制限などは、後者つまり不作為地役権です。不作為地役権の時効取得の可否について直接の規定はありませんが、所有権を行使しなくとも時効消滅するものでないため、ある土地の不使用によってもたらさせる隣接地の便益を地役権として時効取得するのは不合理で、それが不表現のものである点でも、時効取得になじまない便益にあたります。
地役権の行使が間断なく続いているかどうかによって、継続地役権と不継続地役権に分けられます。通路や送電線の施設がもうけられるものなどが前者にあたり、通路を開設することなくしばしば通行する程度なら後者です。後者は時効取得の対象になりません。判例では、通行地役権を時効取得するための要件としての継続は、承役地に要役地所有者によって通路が開設されたものでなければならないとしています。したがって既設の私道を通行し続けてきただけでは、通行地役権を時効取得できないことになります。
地役権の内容が外観上認識可能なものであるかどうかによって、表現地役権と不表現地役権に分けられます。地中に送水管を埋めてあるといったような不表現のものは、不継続の場合と同様に、時効取得の対象から除外されます。

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