地上権と借地権の関係

日本では、旧来、他人の所有する土地を利用する権利は、ひとしく借地権とよばれていたが、民法においては物権として工作物や竹木を所有するための地上権、耕作や牧畜のための永小作権、債権として無償である使用借権と有償である賃借権、四種の権利として構成されました。立法者は、それぞれの土地利用の目的や当事者間の事情によって、その四種のうち最適なものが選択されるものと考えていたようです。しかし、土地所有者が債権より強力な物権を利用者に与えることを好まないことから、長期の安定的利用を必要とする建物所有の場合でさえ、賃借権を設定することがほとんどです。その一困は、日本の法制において、土地の定着物を、地上権のみならず賃借権を権原としても、土地から独立して所有できることにあります。日本の大都市における土地、住宅の需要は、日露戦争後の工業の発展に伴って増大しました。それ以前に賃貸されていた土地において、賃貸人が賃料値上げの方法で地価上昇分を利得 しようとしても限度があるために、賃借人が対抗できなくなる土地売却によって、一挙に更地価格獲得することが多くなりました。このような建物の存立地盤を失わせる土地売買の流行は、多数の建物を倒壊させるという意味で、地震売買とよばれるほどの社会問題になり、国民経済の立場から、直接的には建物保存のために、建物保護に関する法律が制定されました。

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土地

同法の主な適用対象は建物所有を目的とする土地賃借権ですが、登記請求権のある地上権にも、登記に必要な土地所有権者の協力が得られず、また、訴訟を起こすこともなく未登記のまま放置してあるものが多いことから、賃借権と同様に、第三者への対抗力のないことが間題になるものもあり、そのような地上権にも同法が適用されます。つまり同法一条によって、未登記の地上権も土地賃借権も、その土地に登記した建物を有するとき、第三者への対抗力を持つものとされました。
さらに、建物所有目的の地上権と土地賃借権は、大正一○年に制定された借地法によって、一括して借地権とよばれ、その存続期間が長期化されるなど、賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡、転貸できないこと以外の点では、ほとんど取扱上の差異がなくなりました。また、地上権が借地権として一段と強化されている点も見落してはなりません。
地上権とは、他人の土地において工作物または竹木を所有する目的のために、全面的支配権である所有権の権能中、土地を使用収益する権能を分難して設定される制限物権です。
地上権に関する法律は、同法施行前から工作物や竹木の所有のために他人の土地を利用していた権利を、物権として保護する目的で、地上権と推定しました。しかし同法施行前に善意で土地を取得した者に対してこの推定地上権を主張できず、この地上権を同法施行日から一年内に登記しておかないと、その後に土地を取得する者に対抗できません。このほかに、法定地上権、つまり同一人に帰属していた土地とその地上建物が、その一方または双方に設定されていた抵当権によって競売され、別々の所有者に分かれた場合に、民法上当然に成立したとみなされる地上権があります。その他の地上権の発生原因としては、遺言によって、土地所有者がその親族や縁故者などに与えることがありうるほか、それが時効取得されることもあります。地上権の時効取得について判例は、その土地利用の態様が客観的に地上権行使の意思にもとづくものと認定できることと、地役権の場合と同様に継続表現のものであることをあげています。
地上権者には登記請求権があり、土地所有権者が登記手続に協力しないときでも、訴訟によってその手続を達成できます。賃借権は、民法上は、賃貸人の協力を得て登記した場合にのみ、対抗力を取得します。
地上権の存続期間は、設定契約によって自由に定めることができ、通説や判例は永久の地上権の約定を認めています。約定期間や慣習がないときは、地上権者は一年の予告期間をおくか、または一年分の地代を払って何時でも権利を放棄できますが、地上権の消滅を欲する土地所有者としては、裁判所に諸般の事情を考慮して二〇年から五〇年の範囲内で期間を定めてもらうことになります。賃借権は、二〇年をこえる約定ができないし、期間の定めがない場合には、一定の猶予期間をおいて当事者双方がいつでも解約できます。したがって、長期の約定があるものは地上権であり、短期のほうは賃借権であることが多いといえます。しかし、地上権といえども短期の約定が一般的に禁じられているわけではなく、また借地法において両者はまとめて長期化されているために、約定期間の長短も決定的基準ではありません。
地代なら地上権、賃料や借賃なら賃貸借、というように、対価の呼称も一応の判定材料になります。しかし、地上権とか借地権という用語でさえ一般には混同されるほどであるため、対価の名称も決め手にはなりません。地上権の対価の形態は、地上権の買上げとして一括払いをすることもあり、権利金と地代を併用するもの、地代だけのもの、あるいは無償のものもあります。それに比べて、賃貸借における借賃の支払いは不可欠であり一回分の不払いでも解約されうる地上権の場合は、引き続き二年分以上を滞納したときに、土地所有者からの消滅請求の対象とななります。無償の土地利用権は、その性質が明確でないときは、一般に使用賃借と判定されます。
賃貸借においては、目的物を使用収益に適するよう保つために、賃貸人に修繕義務を負わせていますが、強力で安定的な利用権として保障されている地上権においては、賃借権のような貸主に使用させるよう請求する権利でなく、直接土地を支配する権利であり、地上権者の責任において使用を継続すべきだという考え方から、特約がないかぎり、土地所有者は地上権者の土地利用を認容すればよいと解され、修繕義務を負いません。
前述の通り賃借権には譲渡性が認められていませんが、地上権は、永小作権の場合とも異なり、譲渡禁止の特約をしても、その特約を登記する方法がないことから、第三者に対抗できません。
普通の地上権の効力は、所有権と同様に地表とその上下に及びます。ただし、区分地上権が併存している場合には、その区分地上権の対象になっている部分は除かれます。地上権は一筆の土地毎にしか登記できないために、一筆の一部に分筆しないままで地上権を設定したときは、建物保護法一条の対抗要件をそなえた場合でなければ、第三者に対抗できません。工作物や竹木の所有に必要な範囲であれば、工作物や竹木の周辺の空地も地上権の対象に含まれます。

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