土地所有権の仮登記と本登記

登記の本来的な機能である対抗力を発生させる本登記に対し、仮登記は、後日なされる予定の本登記の順位をあらかじめ保全することのみを目的としています。本登記は、登記のなされるべき権利変動の効力がすでに生じ、かつ登記の申請に必要な手続的要件が具備されているときにかぎって行なうことができます。仮登記のなしうる場合は、これに対応して次の二つの場合があります。第一に、本登記のための実体的条件は備わっているが、登記の申請に必要なる手続き上の条件が具備せさるときです。これを一号仮登記といいます。第二に、権利変動はいまだ発生せず、不登法一条に掲げた権利の設定、移転変更又は消滅の請求権を保全せんとするとき、および以上の請求権か始期附又は停止条件附なるとき其他将来に於て確定すべきものなるときです。これを二号仮登記といいます。本登記には、新たな登記原因により新たに登記簿に記入する記入登記、すでになされた登記の一部を変更する変更登記、一たん消滅したもとの登記を回復するための回復登記、一たんなされた登記を抹消するための抹消登記があります。

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一号仮登記 一号仮登記の手続上の条件の不備とはどのような場合か。当事者の不出頭、登録税の不足、印鑑証明書提出不能などは、ここにいう手続上の不備にはなりません。例えば当事者の不出頭については、仮登記といえども両当事者出頭主義がとられているために、実体的要件が具備していて、登記義務者が本登記に協力せず、仮登記のみに協力するということは、何か特殊の考慮、例えば登録税の免脱などの意図が払われている蓋然性が強いためです。
二号仮登記 貸金債権の担保のための代物弁済予約や売買予約などの仮登記は、この二号仮登記によって行なわれます。ここにいわゆる将来に於て確定すべき請求権とは、其不動産に付き請求権の発生すべき基本関係ありて、之に将来或法定案件の加わるに依りて請求権の発生すべき場合を謂ふとされています。
仮登記も、本登記と同様、仮登記権利者と義務者との共同申請によるのを原則としますが、仮登記の特質ゆえに、若干の特則が認められています。
仮登記義務者の承諾があるときは、仮登記権利者は、申請書にその承諾書を添えて単独で申請できます。しかし、その承諾書に用いる印鑑については、偽造を防ぐため、印鑑証明を要するとされているなど本登記手続とくらべてそれほど簡易ではありません。
仮登記義務者の協力ないし承諾が得られないときは、仮登記権利者は、判決により申請できるほか、より簡易に仮処分命令を得ることにより申請できます。仮登記権利者が目的不動産の所在地を管轄する地方裁判所に対し仮登記原因を疎明すれば、裁判所は仮登記仮処分命令を発しなければなりません。
仮登記には対抗力がなく、後日なされる本登記の順位保全の効力のみをもつ仮登記がなされても、その義務者を起点として、その本登記と矛盾する権利の登記を次々に行なうことができます。しかし、後日本登記がなされると、仮登記以後それまでの中間処分は、本登記に抵触するかぎりで効力を失い、無効にならない中間処分は本登記より後順位となります。それでは、無効になった中間処分によって中間処分の権利者が取得した果実は誰に帰属するかでは、仮登記の順位保全効の解釈として、本登記の対抗力が仮登記の時まで遡及すると解すべきか否かが争われている問題です。順位保全効、対抗力遡及説によれば、中間処分の失効の効果も仮登記の時まで遡及するので、中間処分の権利者の果実取得はその時点で法的根拠を失い、本登記権利者に賠償義務ないし不当利得返還義務が生じるとされます。これに対し、順位保全効、対抗力不遡及説によれば、中間処分権利者の果実取得はその時点で合法であるからこの間題は起こらないことになります。近時の学説は不遡及説が有力となり、判例においてもかつての遡及説的構成が影をひそめるようになっています。
昭和三五年改正後の不登法一〇五条は、所有権に関する仮登記にもとづいて本登記を申請する場合、その本登記について登記上利害関係を有する第三者がある場合、申請書にそれらの者の承諾書または承諾を命じる裁判の謄本を添付しなければ、本登記申請は受理されず添付されていれば、第三者の登記は、登記官により職権で抹消されることとしています。この場合、本登記をなしうる実体関係が備われぱ、仮登記権利者は仮登記のままで、中間処分権利者に対して、本登記の承諾を求めうることが前提とされています。

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