土地登記簿の記載の信頼性

土地登記簿の記載が信頼できるか、という問題には、土地登記簿の記載が実際の通りになっているかという問題と、仮に土地登記簿の記載が実際に符合しなかった場合に、土地登記簿の記載を信頼して取引した者は法的に保護されるのか、という問題とがあります。前者は土地取引の調査資料としての土地登記簿の問題であり、後者は、対抗力および公信力の問題であるということができます。
表示の登記に関しては、権利の登記と違って、登記申請は公法的義務であり、登記官は職権調査権限を有しているために、その信頼度は高いのではないか、と思われがちですが、土地面積など登記簿上の記載については、戦前から実際とのくい違いが多いことが指摘されてきました。とりわけ山林はその傾向が著しく、実際の山林面積が登記簿上の面積の十数倍といった例も珍しくないといわれています。したがって、土地取引にあたっては、登記簿上の記載をうのみにするのではなく、取引対象の土地を実測してみることが必要です。

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土地

公法上の土地利用制限は今日一般化しており、土地取引においても重要な役割を果たしています。例えば森林法上の土地利用、処分制限、都市計画法上の用途区域の制限、道路、公園などの公共施設予定地の建築制限などはその代表的なものです。また、土地区画整理事業の行なわれる区域では、従来の権利関係が整理されたり、目的土地が変更されたりします。土地登記簿の表題部では、地目は明示されますが、以上のような公法的制限については表示されません。
日本の登記制度は形式審査であり、しかも契約による権利変動に関して登記原因を証する書面として公正証書にすることが要求されていないために、登記簿上の権利関係は実際と異なっている場合があります。したがって、権利の登記に関しても、登記簿上の記載を手ばなしで信頼することはできません。ただ、登記の連続の原則が厳格に守られていることによって、登記簿面の現在の権利関係の記載は、大部分が実際の権利関係と一致していると思われるので、裁判では登記簿面の権利関係が真正であるという事実上の推定をうけ、登記簿上と異なった権利関係を主張する者が立証責任を負うこれを登記の推定力といいます。
権利の登記は登記強制されないために、実際には存在する権利が登記簿上表示されないことがあることは、制度的にむしろ予定されているといえます。しかし、民法一七七条は公示の原則を規定しているために、土地上のある権利が土地登記簿に記載されていなければ、土地取引者はその権利を不存在とみなして取引をすることができます。歴史的には、この登記の対抗力は、相争う権利承継人相互間における権利の所在の優先性を登記を基準とする制度として、相手方の登記の欠陥を主張する者の善意、悪意を問わない制度として理解されてきました。しかし、近年の判例、学説によれば、登記簿上の記載のない権利の存在を知りながら、もとの権利者と土地取引をした者は、その権利者の登記の欠陥を主張できず、法律上保護されない場合があるこの傾向の背後には、登記簿に対する信頼こそが公示の原則によって保護されるぺきであって、民法一七七条は登記簿上の権利の登記の不存在に対する第三者の信頼を保護しているという考え方の強まりがあります。
民法一七七条の適用は、その後の特別法によって修正されていることがあります。建物保護に関する法律、一条は、借地権者、地上権者がその土地上に登記した建物を所有するときは、土地登記簿に賃借権、地上権の登記がなくても、第三者に対抗できると規定しています。また建物の賃借人の場合は、借家法一条によって、賃借権の登記がなくても、建物の引渡をうけていれば、その建物に関してその後物権を取得した第三者に対抗できます。さら、農地法一八条は、農地または採草放牧地の賃借権者は、その登記がなくても土地の引渡をうけていれば、その土地に関してその後物権を取得した第三者に対抗できると規定しています。

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土地所有権の変動/ 登記名義人と所有者の不一致/ 第三者が占有している土地の明渡/ 地下埋蔵物の所有権/ 分譲宅地の守るべき法律上の義務/ 袋地所有者の通行権/ 土地取引の安全と公示制度/ 土地登記簿/ 土地登記簿の記載の信頼性/ 土地所有権の仮登記と本登記/ 土地の買主と相続人の関係/ 地上権と借地権の関係/ 空中と地下の地上権/ 地役権の意義/ 無償で貸した土地の取戻し/ 借地上の建物の保護/ 借地権価格と底値価格/ 土地を目的とする担保/ 土地の権利移転型担保/ 土地売買契約における買戻特約/ 譲渡担保と売渡担保/ 土地・建物の一方の抵当権の実行/ 抵当権の土地に対する拘束力/

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