土地登記簿

土地登記簿は、土地に関する私的な権利関係を公示するものです。したがって、国家が市民社会のルールに内在的に関与しないという市民法のもとでは、土地に関するある権利を公示するか否かは、その権利者の自由に属する問題であって、その者が公示しないからといって、私法的な義務が加えられることはあっても、公法的な義務をうけることはありません。登記は権利者の申請がなければなされず、登記官は登記簿と現実とのくい違いをなくすために、みずからおもむいて現実の権利関係を調査することはしません。これに対して、地租(固定資産税)の課税の基礎台帳である土地台帳は、国家の税務当局の資料であるために、国民の立場からは納税義務の問題に属します。これは、所有者の希望の有無にかかわらず、土地の現状(形状や権利関係)を正しく反映しなければなりません。税に関係する権利関係の変動があれば届け出ることは義務であり、これを怠った者には公法的義務が加えられ、さらに税務当局の独自の職権による調査が伴います。昭和三五年改正により、この登記簿と土地台帳が一元化し、従来の登記簿の表題部に徒来の台帳が組み入れられることとなりました。この登記制度の改革は、登記簿の基本性格に影響を及ぽさざるをえないものとなりました。例えば所有者の申請義務が課され不動産の現状に関する職権調査が現定されました。

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土地

登記事務を担当するのは、不動産の所在地を管轄する法務局もしくは地方法務局、またはその支局もしくは出張所になります。登記用紙は、表題部・甲区・乙区の三つの部分からなるそれぞれ別葉となっており、またそれぞれについて登記をなすべき余白がなくなったときはその用紙を迫加編綴するために、一登記用紙が数葉にわたることがしばしばあります。もっとも、権利に関する登記の申請は当事者の自由であるために、甲区乙区について、記截すべき事項がなければ、これを設けなくてもよいことになっています。
表題部 土地の表示に関する事項を記載する。従来は、甲区以下の登記用紙のいわば本体部に対する文字通りの表題部という意味しかありませんでしたが、昭和三五年改正後は独自の意味をもつようになっています。つまり罰則の伴う届出義務と登記官の職権調査権限によって、常に土地の現状が登記簿上の表示と一致するようになりました。表題部には、土地の物理的な形状、位置およびその変化を表示するもののほか、特に権利に関する登記、端的には甲区になされるべき所有権の登記がいまだになされていない土地において、その所有者を示す記載がなされています。
甲区 所有権に関する事項を記載する。乙区と同様に、事項欄と順位番号欄があり、各事項の順位が明示されます。
乙区 所有権以外の権利に関する事項、つまり用益物権、担保物権、賃借権などを記載します。
共同人名票 同一の登記について、権利者であれ義務者であれ、登記名義を有する者が多数のときは、登記簿上の記載を複雑にしないように、登記用紙には、登記申請書に掲載された筆頭の者のみを記載し、全員の氏名、住所、持分等は別途共同人名票に記載し、登記用紙の末尾に追加編綴することが認められています。
土地に関する権利関係の公示手段としての登記は、民事実体法に規定されながら、独自の手続法的構造をもって、実体法を逆現定しています。
申請主義 権利の登記に関しては、当事者の自由な意思にもとづき申請を待ってはじめて登記手続が開始します。
共同申請の原則 登記の申請は、登記権利者つまり当該登記によって記載の上で直接利益をうける者と登記義務者つまり登記によって直接に不利益をうける当事者とが共同で申請しなければなりません。この登記義務者は、常に既存の登記簿上に当該処分可能な権利が記載されている名義人である必要があります日本の登記制度は、当該土地の現在の権利開係の表示という資料的性格を強くもっており、そのため、不動産取引の全経路を記録することが要請され、登記官の審査権根に見合った手続法的帰結として、登記の形式的連続が要求されるのです。登記義務者が共同申請に応じない場合、登記権利者は登記義務者に対して登記手続に協力するように請求できます。判決による登記の場合は、登記権利者が単独で申請できます。しかし、これは、共同申請義務ある者が、共同申請に応じない場合の、その者に対する代替執行であるために、共同申請原則の例外とはいえません。また、相続取得による登記に関しても、登記権利者の単独申請は、この場合、登記義務者に該当する者が存在せず、かつ相続人が被相続人の一切の権利義務を承継する関係にあるためであり、これも原則の例外というにはあたりません。
登記官の形式審査 登記申請に対する登記官の審査権限の範囲については、実質的審査主義と形式的審査主義の二つの立法主義があるといわれます。実質的審査主義とは、登記申請が単に登記手続上の要件をみたしているか否かだけではなく、実際の権利関係に適合するか否かまで審査する権限を登記官に与える主義をいいます。これに対し、形式的審査主義とは、単に登記申請が登記手続上の要件をみたしているか否かのみ審査する権限を登記官に与えるものをいいます。実質的審査主義は、登記簿と実際の権利関係との不一致を最小限にとどめるという意味で優れた立法主義だという評価がありました。しかし、近代的市民法においては、契約の真正さを公証する役割と公示を担う役割とは分裂しており、公示手段たる土地登記簿が内容上の真正を強く求められる場合でも、公示手続きが公証機能になり代わるわけではなく、例えば登記手続上の要件として公正証書を要するという形をとるのが一般的です。
登記官の審査権限は、当事者間の私的権利関係そのものに対応するものではなく、当事者の公法的な登記申請権に対応するものであり、私人の公権に対応する国家の公役務の内容に私的権利関係を含ませないという意味で、近代的登記制度が形式的審査主義を基礎とするのはむしろ当然といえます。登記の申請を受理した登記官は、四九条各号に定められた一一の場合のどれかに該当する場合にかぎって、その理由を明示して申請を却下します。その一一の場合とは、表示の登記に関するものを除くと、管轄違、当事者の不出頭、申請書の方式違、登記簿上の権利関係との不連続、登記義務者の表示と登記簿との不一致、登記原因を証する書面申請書に記載された原因との不一致、書類の不備、登録免許税未納、登記済証滅失の場合における定められた期間の不遵守、および事件か登記すべきもの非ざるときです。最後のものは、例えば、入会権・留置権の登記や同一不動産に関する二重の保存登記など登記法上登記が許されない事項を目的とする場合と、利息制限法違反の利息を定める抵当権設定登記、共有物の五年をこえる不分割契約の登記など申請自体実体法上無効であることが明らかな場合を含みます。
登記制度の主要な目的は、不動産に関する権利関係を公示し、不動産取引の資料とすることにあるために、登記に関する帳簿の公開はその中心的な機能です。その具体的方法として、閲覧、登記簿の謄抄本または地図の写しの交付、記載事項の証明が規定されています。
審査請求 どのようなものであれ、登記官の処分を不当とする者は、当該処分をなした登記官を監督する法務局または地方法務局の長に対して、当該処分の審査を請求できます。

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