土地取引の安全と公示制度

近代的公示制度は、抵当制度の発達とともに発展してきました。近代的な抵当権は、抽象的で目にみえない特定の物の交換価値のみを純粋に把握します。権利の目的となる物は債務者ないし物上保証人の占有のもとにとどまるために、権利の所在を可視的なものにすることが必要となります。したがって、近代的抵当権にとって、公示制度は不可欠の前提となります。不動産について、全般的な公示制度をもたなかったフランス民法典も、無償譲渡である贈与のほか、先取特権、抵当権について公示制度を設けていました。

スポンサーリンク
土地

不動産信用が盛んになればなるほど、与信者の取引の安全のために、公示制度が整備される必要が増大します。例えば抵当に取った土地が、実はすでに第三者に譲渡されている土地であったり、すでに他物権が付着していては、抵当権の目的が全部または一部達成できないことになります。こうして不動産信用の発達は、抵当権のみならず、抵当権と接触する可能性のあるすべての土地上の物権の公示を要求するにいたります。さらに、土地の賃貸借は、債権と構成されていても、公示の観点からは登記されることが望ましく、債権は物権と違って、人と人との関係として法律的に観念されているので、賃借権者は、たとえば設定者たる所有者が交代すると、当然には新所有者に対して目的物の使用収益権を主張できないとされています。しかし、土地の用益権保護の要請からは、土地の賃借権は、他物権と同様に、設定後移転された所有権や設定された他物権に対抗されうるべきであり、同一土地上のそれらの物権と対抗され衝突するならば、公示の観点からは、公示制度によって権利関係を調節することが望ましいのです。
その他、土地取引の安全のために、買戻の特約のような債権関係も公示される必要があります。また、裁判などで土地取引の無効が争われているときは、その警告が公衆になされていることが望ましいと考えられます。
以上のように、不動産信用の発達と土地取引の増大に伴って、公示手段としての土地登記簿の役割は大きなものとなります。それにつれて、契約ないし権利の発生、移転、消滅の対第三者効という法的機能にとどまらない機能が土地登記簿に求められるようになりました。土地取引の安全のためには登記簿の表示が真正なものであることが望ましく、そこで、土地登記簿は各土地毎に対応する権利関係を表示するように編成されるようになり、不動産公示制度は、契約ないし権利変動の公示というより、現在の権利関係の公示という正確を強くしています。また、登記制度がより組織的に管理運営され、さらに登記される権利変動の原因となる契約を公正証書にすることなど変動原因の確実さが求められる傾向にあります。公権力による土地規制、私的取引への介入の増大に対応して、士地登記簿は、私的権利関係にかぎらず、土地取引にあたって当該土地に関する必要な一切の情報を供給するように工夫されています。これなどは、私的権利関係の公示をこえた公示手段への動きといえます。つまり、調査資料としての登記の機能が強化され、登記簿への信頼が一方で高められ、他方で保護される傾向にあります。

土地
土地所有権の変動/ 登記名義人と所有者の不一致/ 第三者が占有している土地の明渡/ 地下埋蔵物の所有権/ 分譲宅地の守るべき法律上の義務/ 袋地所有者の通行権/ 土地取引の安全と公示制度/ 土地登記簿/ 土地登記簿の記載の信頼性/ 土地所有権の仮登記と本登記/ 土地の買主と相続人の関係/ 地上権と借地権の関係/ 空中と地下の地上権/ 地役権の意義/ 無償で貸した土地の取戻し/ 借地上の建物の保護/ 借地権価格と底値価格/ 土地を目的とする担保/ 土地の権利移転型担保/ 土地売買契約における買戻特約/ 譲渡担保と売渡担保/ 土地・建物の一方の抵当権の実行/ 抵当権の土地に対する拘束力/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー