袋地所有者の通行権

ある土地が他の土地に囲繞されて公路に通じないとき、この土地を袋地とよび、また周辺土地を囲繞地とよびます。民法は、この袋地の所有者に対して囲繞地を通行する権利を認めています。またある土地が池沼、河渠もしくは海洋によるのでなければ他所に行くことができないか、または、崖岸があってその土地と公路とが著しい高低をなすときは、公路にいたるために同じく隣地の通行権を、当該の土地の所有者に対して認めます。公路とは、私道に対する公道をさすのが本来の意味ですが判例は、公衆が自由に通行しうる道路であれば足り、私道も含むとしています。

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土地

相隣関係の特質についてその内容は、地役権によく似ていますが、相隣関係は、所有権内容の当然の拡張、制限であるのに対して、地役権は、所有者間の契約によって生じる所有権の拡張、制限である点に、両者の差異が認められます。相隣関係の主体は、明文上は所有者にかぎられますが、この関係は地上権に準用されています。しかし相隣関係は、所有の調節をはかる制度ではなく、利用の調節をはかる制度であるために、地上権に準用される根本の理由もここに存すると考えられるぺきであるため、地役権同様土地利用を目的とする永小作権また土地賃借権についても必要な範囲で準用されるべきと考えられます。この点判例は、通行権に関するものをあげれば、賃借人も対抗力を取得していれば隣接地通行権者たりうることを認め、学説では、一歩すすめて対抗力がなくとも賃借人に通行権を認めようとするものが多くなっています。囲繞地通行権はこの相隣関係の一つを構成するものであることはいうまでもありません。
囲繞地通行権が相隣関係の一つを構成するということの具体的内容は、一方当事者に通行権を付与することによって生じる他方当事者の負担を償金を支払うことによって解決するという相隣者双方の権利関係、利益調整関係にもあらわれています。民法二一二条は、このことを規定しています。償金の性質は、通路開設によって隣地所有者に加える損害の補填と考えられます。また通路開設後通行によって加える損害は、これと加個に一年毎に支払うことができるとされています。もっともこれら償金を支払うことは通行権成立の要件とされるわけではないために、償金を支払わない場合に、隣地所有者が通行権を拒否できると解することは適当ではありません。民法二一一条は、囲繞地通行権は袋地、準袋地の有効な利用をはかるため必要なかぎりで、また、囲繞地所有者のために損害が最も少ない場所や方法において行使されなければならないとしますが、相隣関係の目的からしても当然のことです。しかし、このような限定は袋地所有者およびその利用権者の具体的生活態様も考慮され、具体的個別ケース毎に決定されていくほかありません。判例では畔道が狭く肥料その他収穫物の運搬に支障をきたす場合土地から公道まで急坂があって石材の運搬に支障をきたす場合につき二一○条後段の準袋地の拡張解釈を認めた等の事例があります。また特に最近では、自動車による通行や停車も通行権の内容となるか争われることが多く、判例の解釈はこの点についても分かれています。さらに、袋地所有者が営利事業のために通路の拡大を認めたのに対して、これを否定した事例もあります。この事例ではまた、建築基準法四三条や、建築安全条例が規定する通路の幅員と既存の囲繞地通行権との関係が争われています。これら建築基準法令に違反せずに新築なり、増築を行なうにはすでに存在する通路の幅員を拡張しなげればならない場合も生じるからですが、判例は、二一○条による通行権をそのために拡張することについて否定的です。もっとも下級審判例には肯定説もみられます。これらの点は、民法の範囲をこえ、国の都市政策、土地攻策の貧困に原因する問題を含んでいるといえます。

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土地所有権の変動/ 登記名義人と所有者の不一致/ 第三者が占有している土地の明渡/ 地下埋蔵物の所有権/ 分譲宅地の守るべき法律上の義務/ 袋地所有者の通行権/ 土地取引の安全と公示制度/ 土地登記簿/ 土地登記簿の記載の信頼性/ 土地所有権の仮登記と本登記/ 土地の買主と相続人の関係/ 地上権と借地権の関係/ 空中と地下の地上権/ 地役権の意義/ 無償で貸した土地の取戻し/ 借地上の建物の保護/ 借地権価格と底値価格/ 土地を目的とする担保/ 土地の権利移転型担保/ 土地売買契約における買戻特約/ 譲渡担保と売渡担保/ 土地・建物の一方の抵当権の実行/ 抵当権の土地に対する拘束力/

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