不動産の鑑定評価の基本

不動産の鑑定評価に当たって、まず第一に行なわなければならないことは、対象不動産の確認です。鑑定評価で対象とする不動産は特定の不動産であるため、どのような不動産にかかわる、どのような権利、利益であるかをまず明確にしておかなければなりません。不動産の価格は、一般的要因と個別的要因とによって多次元的に形成されるものであるため、これら諸要因の相違によっては不動産の価格も異なってきます。そこでまず、対象不動産の所在地、数量、種別等の物的な確認を行なうことが、鑑定評価をなす場合の基本となるのです。また、不動産の価格は、結局は権利、利益の価格といわれています。したがって、不動産の鑑定評価も単に物的な不動産の経済価値の判新というよりは、権利、利益の価値に関する判断であるといえます。そこで、不動産の物的確認だけに止まらず、この不動産に関する、どのような権利、利益が対象となるものであるか、その内容はどのようであるか等を明確にする必要があります。このように、鑑定評価に当たっては、物的と権利、利益の両面からなる対象不動産の確認を行なうことがスタートとなるのです。

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鑑定評価においては、何時現在の価格であるかという価格を決定した日、つまり、価格時点を明確にすべきです。不動産の価格は、通常過去と将来とにわたる長期的な考慮のもとに形成されます。今日の価格は昨日の展開であり、明日を反映するものであって、常に変化の過程にあります。また不動産の効用も、その内部的要因及び外部的要困の変化に伴って、常に変動し推移するものです。したがって、不動産の価格は、不動産自体の効用の変化並びに社会的、経済的及び行政的な要因の変化に伴って絶えず変動し推移すると基準では述べています。不動産の値格に対する一つの判断である鑑定評価額は、その決定の基準となった時点においてのみ適合する時点的な価格であるといってよいため、価格時点を決めずに行なう鑑定評価などは、全く無意味であり、無用の混乱を招来するのみです。さらに、不動産の価格は評価すべき条件によって変わるものです。したがって、鑑定評価に当たっては、評価の条件を明確にしておかなければなりません。実際の鑑定評価においては、現況は住宅敷地でありながら、評価上では、地上に住宅のないものとしての土地、つまり、更地として評価する場合が生じます。住宅敷地を対象とする場合と更地を対象とする場合とでは、評価上大きな相違を生じることが多く、このような評価条件は、一面において対象不動産の価格形成要因に対する条件とも考えられるので、前述の不動産の確認との関連において明確にしておかなければならない事項でもあります。
このように、不動産の鑑定評価額は、時により条件により異なるものであるため、鑑定評価に当たっては、まずこれらの与件を確定しておく必要があります。これを怠ると適正な評価額を求めることはできなくなることはもちろんのこと、関係者の間に混乱を引きおこし、ひいては、鑑定評価に対する一般社会の信用をも失墜することにもなりかねません。
不動産の鑑定評価額は、不動産鑑定士等の判断であり、意見であるといわれていますが、それは決して、単なる独断的、主観的なものであってはなりません。その意見は、それが公正妥当なものとして、何人をも説得し、満足せしめる客観性、理論性を有していなければなりません。不動産鑑監定士等の判断は、もとをただせば主観的なものですが、この主観的な考えを、だれが判断してもかくあらねばならないという客観的な判断に至らしめるためには、必要にして十分な資料に依存しなければなりません。このように鑑定評価に関する資料は、鑑定評価における判断に合理性と理論性を与え、これを客観的ならしめるための重要な基礎となるものであり、その意義はまことに重要といわなければなりません。鑑定評価に当たって収集、整理しておくべき資料としては、不動産の価格は一般的要因と個別的要因とによって形成される多次元的なものであることから、一般的要因に係る一般資料と個別的要因に照応する個別資料との二者に大別されています。
一般資料は、人口動態統計、家計調査、標準地調査等のごとく一般的要因に照応する資料であり、これらは常日頃から一定の計画に従って綿密に根気よく収集し、よく整理保管のうえ、十分な活用をはかるべきです。個別資料は、個別的要困に照応するものですが、対象不動産が所在する近隣の性格によって、収集すべき資料の重点が異なるものです。
取集、整理された資料をいかに活用し客観的な判断に至らしめるかということが、鑑定評価の手順といえます。鑑定評価は、鑑定評価額を求める具体的な作業です。この作業は、一定の計画的で秩序正しい手順をふむものでなければなりません。合理的で秩序立った手順で作業を行なうことは、鑑定評価額決定の経緯を理論的に説明することともなり、ひいては鑑定評価額に信頼性を付与することともなるのです。

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