不動産の鑑定評価で求める価格

不動産鑑定評価で求める価格については、種々論議されているところですが、鑑定評価の果たす社会公共的意義から考えて、この要請を満足させるのは、過正な価格をおいて他にはありえません。適正な価格とは、合理性、客観性のある価格、つまり世間一般を十分に納得せしめ、不動産市場における価格形成の指標として十分に役立つ価格をいいます。現実の不動産価格は、その市場が不完全であるため、呼び値等による不合理な価格形成がなされ、また、取引の特殊事情にも左右されがちなものですが、このような現実の不合理な価格といえども、この適正な価格を目安として形成さるべきであることは容易に想像されるところです。したがって、不動産の鑑定評価においては、求めるべき価格としての正常価格とは、不動産が一般の自由市場に相当期間存在しており、売り手と買い手とが十分に市場の事情に通じ、しかも特別の動機をもたない場合において成立するとみられる適正な価格をいうものとされています。正常価格としての要件としては、一般の自由市場に相当期間存在すること。売り手と買い手とが十分に市場の事情に通じていること。売り手も買い手も特別な動機をもたないことの三つです。

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第一の要件は、完全自由競争における一般公開市場で、かつその不動産の実態を十分に把握するにたる十分な時間的余裕の下に形成される価格を意味しています。第二の要件は、売り手、買い手が市場の情報に通じており、代替不動産の所在とか量とかについての知識をもっていることを意味しています。第三は、売り急ぎ、買い急ぎなどの事情が売り手、買い手のいずれにも存在しないことです。正常価格は、これら三要件を満たしてはじめて成立する価格であり、これは、主観的、特殊的な価値ではなくて、合理的な市場のフィルターを通過した、客観的、不偏的価値を表わすものといえます。この正常価格の性格に関連して、正常価格一元論と多元論の両説が主張されています。一元論とは、正常価格は用途や評価目的にかかわりなく、ただ一つしか存在しないとする説であり、多元論は、不動産の用途や評価目的が異なると、資料の選定、収集が異なり鑑定評価方式が異なるため、求められる結論価格は違ったものになるとして、評価目的にしたがって正常価格があるとする説です。
これらの意見に対しては、鑑定評価が、合理的な市場があったならばそこで形成されるであろうところの価格を求める作業であって、市場概念が前提にあることと、市場と対象となった不動産との関係、性格、鑑定評価上考慮され、設定されるであろうところの条件等から考えれば、一元論が妥当ではなかろうかと思われます。
不動産の価格は、効用、相対的稀少性、有効需要の三者の相関結合によって成立するものですが、この三者は、基本的には社会的、経済的、行政的な諸力の相互作用によって左右されます。さらに、不動産の価格は、間口、形状といった不動産自体を構成する個別的な要因によっても形成されています。このように、不動産の価格は社会的、経済的、行政的な一般的価格形成要困と個別的価格形成要因とによって多次元的に形成されているものといえます。したがって、鑑定評価に当たっては、まず対象不動産に関するこれら要因を的確に把握し、これを分析し、究明していく必要が生じます。価格形成要因の的確な把握と、これに基づく判断とは、適正な価格を求める前提となるものであり、評価額に理論性と合理性とを付与するものです。
一般的要因は、価格形成に対し外部から働きかける要因とも考えられ、個別的要因は、価格を個別的に形成させる要因と考えられるものです。不動産の価格は、このような広範多岐にわたる要因の複雑なからみ合いによって形成されるものですが、この形成過程については、より一層深く究明する必要があります。
鑑定評価を手順からみると、対象の的確な認識の上に、必要とする一般的および個別的な関連資料を十分に収集して、これを整理し、不動産の価格を形成する一般的な要因および不動産の価格に関する諸原則についての十分な理解のもとに、すでに一般に経験的に採用されている鑑定評価の諸方式を駆使して、その間に、すでに収集し、整理されている関連諸資料を具体的に分析して、その対象に及ぼす社会的、経済的および行政的な諸力の影響を解釈し、判断し、その不動産の価値に関する最終判断に到達し、これを貨幣額をもって表示するものであるといえますが、この過程を通じて適正な価格を求めるためには、これら要困が、どのように作用しているかを究明しなければなりません。この要因の作用については、一つの法則性が認められます。価格は一つの経済現象であるため、この過程における法則性もその多くは経済法則的なものであるといえますが、この法則性を理解することにより、ある要因が存在し、作用することによって、どのような結果が生じるかということを予測することができ、適正な価格を求める場合の確固たる根拠とすることが可能となります。つまり、これらの法則は、価格形成の過程を合理的に分析するうえでの一つの拠り所となるのです。また、この法則は単に理論的なものというのではなく、鑑定評価という行為の一つの拠り所となるもので、この十分な理解と活用とによって、はじめて適正な価格を求めることが可能となり、実践的な行為基準というべきものであり、同時に評価額に客観性、合理性を付与する一つの源となるのです

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