不動産鑑定評価と主体

鑑定とは、良し悪しを目ききすることであり、評価とは、物の値ぶみを することであるといわれています。この意味からすると、物の真実のあり方、実熊を把握して、これに基づいて、物の値ぶみを行なう行為が鑑定評価ということになります。したがって、鑑定は評価の前提となるものであり、評価は鑑定に基づく結果であるといえるのであって、概念的には一応区別が可能であっても、実際上は明確な区別はできないのであって、両者は一連のつながりにあるもの、一体不可分の関係にあるものと考えらます。基準では、不動産の鑑定評価とは、土地若しくは、建物又はこれ等に関する、所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価格に表示すること、あるいは、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することであるとされています。

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アメリカにおける鑑定評価に対する一般的な見解は、次のようです。鑑定評価とは判断であり、一つの意見である。それは正確である場合も、そうでない場合もあります。鑑定評価の正確さは、鑑定人の能力と誠実さ、さらに鑑定人が資料を処理する際の堅実と練達度のいかんにかかっています。またその価値は、関連資料の利用度のいかんによって影響されます。
前述のとおり、不動産はその性格上、適正な市場価値を形成する市場をもたず、一般商品のように一つの商品に一つの価格が成立するという一物一価の法則が適用されないのです。そこで、不動産の価格は、個々の取引の必要に応じて、具体的に適正な価格を決定しなければなりません。ここにおいて、どうしても鑑定評価活動に依存しなげればならないことになります。したがって、鑑定評価とは、現実には存在しない合理的な不動産市場になり代わって、不動産の適正な価格を指摘する作業であるといえます。つまり、不動産の鑑定評価とは、合理的な市場があったならば、そこで形成されるであろう正常な市場価値を表示する価格を、鑑定評価の主体が、的確に把握することを中心とする作業であり、また鑑定評価は対象不動産に及ぼす社会的、経済的、行政的な諸力の影響を分析し解釈して不動産のあり方を担握し、これを通じて、鑑定評価の主体が適正な価格を指摘する作業でもあるため、鑑定評価の主体は、非常に広汎な、しかも、高度な知識と、同時に豊富な経験と適格な判断力を備えていることを要請されます。よって、不動産の鑑定評価はまた、これは練達堪能な専門家によって、はじめて可能な仕事であるため、この意味において、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であるといってよいことになります。そして、この不動産鑑定評価によって、この社会における一連の価格秩序のなかで不動産の価格の占める適正なあり方を指摘することになるため、鑑定評価の主体は、不動産のあり方、ひいては、社会の成長発展と福祉を左右する重要な役割を果たすことになります。その社会的、公共的意義はきわめて重大といえます。
また、鑑定評価における主体の判断の当否は鑑定評価主体の能力いかん及びその能力の行使の誠実さいかんにかかるものであり、また、必要な関係諸資料の収集、整理の適否及ぴこれら資料の分析、解釈の練達の程度に依存するものであるといえるため、鑑定評価の主体に対しては厳重な倫理的要請がなされるのです。これについて、不動産の鑑定評価に関する法律は、不動産鑑定士に対し、不動産鑑定業務に対する独占的地位を与えていると同時に、その行動について、良心に従い、誠実に不動産の鑑定評価を行なうとともに、不動産鑑定士及び不動産鑑定士補の信用を傷つけるような行為をしてはならない。正当な理由がなく、その業務上取扱ったことについて知り得た秘密を他に瀬らしてはならないことを要請しています。しかし、これらの法律上の義務は、いわば不動産鑑定士等が業務を遂行するうえにおいて、一般的に必要とされる最小限のものを規定したものであって、これで十分といえるものではありません。そこで、自律的な行動基準として倫理要綱が必要とされてきますが、基準では、断片的な知識と無秩序な経験とは、不動産の鑑定評価には無用であって、高度の知識と経験と判断力とが渾然とした有機的統一体を形成してこそ、的確な鑑定評価が可能となるのであるため、不断の勉強と鍛錬とによってこれを体得し、もって鑑定評価の進歩改善に努力すること。関係人および社会一般に対して、実践活動をもって不動産の鑑定評価およびその制度に関する理解を深め、信頼を高めるよう努力を重ね、もって不動産の適正な価格の形成に資するべく努めること。不動産の鑑定評価に当たっては、自己または関係人の利害の有無その他いかなる理由にかかわらず、公平妥当な態度を保持すること。不動産の鑑定評価に当たっては、専門職業家としての注意を払わなければならないこと。自己の能力の限度を越えていると思われる不動産の鑑定評価を引き受け、または、縁故もしくは特別の利害関係を有する場合等、公正な鑑定評価を害するおそれのあるときは、原則として,不動産の鑑定評価を引き受けてはならないこと。の五つを挙げて、常に遵守しなければならないものとしています。
以上のごとき、鑑定評価の客体である不動産と、その主体である不動産鑑定士等に対する認識と自覚とを通じてはじめて、鑑定評価において求める価格が、専門家の意見として社会的に認められ尊重されることになるのです。かくて、不動産鑑定評価は、地価の混乱を防止し、合理的な不動産の価格形成に資する制度として、しかも、これが諸宅地対策の前提案件としての制度として、その機能を果たすことが可能となるのです。

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