不動産の価格と特徴

不動産の価格は、一般にその不動産に対して、私達の認める効用、その不動産の相対的稀少性及び、その不動産に対する有効需要の存在の三者の相関結合によって生じます。その不動産の経済価値を、貨幣額をもって表示したものであるといわれています。効用とは満足度であり、不動産についていえば、不動産を使用収益することによって得られる快適性なり取益性なりを意味していることになります。不動産の収益性、快適性は様々ですが、このような効用があるからといって直ちに価値は発生するものではありません。空気に対して価値が認められないのは、この例です。効用に対して稀少性があって始めて価値は発生するのです。不動産特に土地は、量的に限定されており、稀少性は高いといわなければなりませんが、この稀少性の度合いも効用との関係において大小様々です。効用と稀少性が認められる場合に価値は生じてきますが、それだけでは価格は発生しません。これに対して具体的な購買力、つまり、有効需要を伴って始めて価格は発生することになりますが、これら三者はそれぞれ単独に作用しているのではなく、相互に関連しながら作用するのです。

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一般商品の価格は、その需要と供給の相関関係によって決まり、また逆に商品の価格は需要と供給に影響するといわれていますが、このような価格の二重性は、不動産の価格の場合においても認められます。不動産の価格は効用、相対的稀少性、有効需要の三者の相関結合によって成立するものですが、これらの三者は基本的には、社会的、経済的、行政的な諸力によって左右されているといえます。つまり、不動産のあり方の根底には、これら諸力の作用が認められるのであって、そのあり方の具体的決定に当たって、指標的な役割を果たす価格についても、結局のところ、これら諸力の相互作用によって左右され、その結果、創立され、維持され、あるいは破壊されるということになります。その反面、不動産の価格は、選択の指標としてこれら諸力に影響を与えるものであるため、不動産の価格は諸力に影響を与えると同時に、これら諸力の影響を受けるという二重性格を有するということがいえます。
この不動産の価格の二重性格は、不動産鑑定評価の場合に、特に重要な意義を有することを認めなければなりません。
不動産艦定評価の目標は、適正な価格を求めることにありますが、鑑定評価によって決められた価格は、それが目安となって、私達の将来を左右すると考えられる不動産のあり方を決定することになるため、適正な価格を求めるという不動産鑑定評価が、いかに重大な社会的、公共的意義を担っているかということを、価格の二重性格ということによって認識することができるからです。
不動産、特に土地は、他の一般的な諸財と比較して著しい特性が認められます。したがって、その不動産の価格についても、他の諸財と比較して著しい特徴を認めることができます。不動産鑑定評価は、価格現象を追求するものであるため、この土地の特性に起因すると考えられる不動産の価格の特徴を把握しておく必要があります。不動産の価格の主な特徴としては、不動産の価格は、不動産の権利、利益の価格であること。不動産の価格は、長期的な考慮の下に形成されるものであるということ。不動産の価格は、通常市場価格を形成する場をもたないということ。の三点を指摘することができます。
これら価格の特徴の本源をなす土地の特性は、その自然的特性と人文的特性との二つに分けて考えることができます。その自然的特性としては、地理的位置の固定性、不動性、永続性、不増性、個別性などがあり、固定的であり、硬直的であるといえます。
人文的特性としては、用途の多様性、社会的および経済的位置の可変性などがあげられ、可変的であって伸縮的です。この自然的特性については、申すまでもないことです。人文的特性とは、土地が人間とのかかわりあいをもった場合に認められる特性であって、一つの土地が多様な用途に利用できること、これがため他の用途への転換が起こりうるということ。また、道路、交通機関等の新設によって市街地に変化が生じることなどにみられるごとく、その特性は可変的であり伸縮的であるといえます。これら両特性から派生する不動産の価格の特徴を詳述してみると、以下のようになります。
第一に、不動産の価格は、権利、利益の価格であるということです。これは土地の不動性、地理的位置の固定性から由来するものと考えられます。この特性の結果、不動産はその価値を変えないで移転することは不可能であり、移転できるのは、その不動産の利益を享受する人です。つまり、法律的な権利、利益となって不動産は移動するといえます。移転可能なものは、不動産そのものではなくて、不動産に関する所有権その他の権利、利益であるため、不動産の価格は、これら権利、利益の価格であるということになります。したがって、二つ以上の権利、利益が同一不動産の上に存在しているときは、そのそれぞれについて価格が形成されることになります。それぞれの権利、利益の総和が完全所有権の価格であるとする考え方に、権利収束説があります。この説は、不動産所有権をもって束ねられた棒にたとえるもので、束を構成する一本一本の棒を、それぞれ所有に関する権利等とみなす考え方ですが、いずれにしても、鑑定評価で対象とするのは、不動産そのものではなくて、その不動産に関する権利、利益です。したがって、不動産に関する権利、利益の価格を鑑定評価では求めるということになります。
第二に、不動産の価格は、長期的な考慮の下に形成されるものであるということです。これは主として土地の永続性と用途の多様性に由来する特徴です。基準は、この特徴について不動産のあり方が最適のものであるかどうか、仮に現在最適のものであっても、時の経過に伴って、これを持続できるかどうか、これらは常に吟味されなければなりません。したがって、不動産の価格は、通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮のもとに形成されます。今日の価格は昨日の展開であり、明日を反映するものであって、常に変化の過程にあるものであると述べています。
第三に、不動産の価格は、市場価値を形成する場をもたないということです。一般商品は、取引市場において、いわゆる相場としての値段が形成されるのですが、不動産の現実の価格は、あいまいな呼び値などによる不合理な価格形成がなされ、しかも、売り急ぎであるとか、買い進みであるとか、またはその他の特別の事情によって左右されがちであって、一定の取引市場で形成されるものではありません。これは不動産の不動性、不増性、値別性などの自然的特性に由来するものです。この特性ゆえに、不動産においては見本取引、銘柄取引が困難であり、たとえ、市場が形成されたとしても、それは局地的な極めて狭い不完全な市場であるといえます。不動産にあっては、完全な自由市場をもつことは、現実には到底望みえないことです。よって、不動産の価格については、何人も容易に適正なものとして識別できるような価格の基礎となる市場価値を形成する場をもっていないのが通常であるということになります。そこで、何人でも容易に、それが適正な市場価格であると分かるような、合理的な市場になり代わっての価格形成という作業、つまり、不動産の鑑定評価ということが必要となってきます。

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