不動産取引の状態

不動産取引の状態を数量的に観察するために、住宅統計調査規則によって調査された資料の中から、4大都市圏における取得の相手方および仲介の有無に関する資料を摘録してみると次のとおりです。また、この資料によって、不動産業者が取扱った住宅数およびその給数に対する割合をみると、東京および大阪近郊の11市について、昭和42年度における宅地取引実態を調査した建設省の資料によると、不動産業者による仲介件数は44.45%で、宅地建物取引業者のシェアの地域差を堆測することができます。現在の不動産市場は住宅需要に支えられて活況を呈していますが、昭和36年頃までのような投機目的で買う気狂じみた買人気の時代は過ぎました。大手不動産会社や、電鉄会社などの宅地分譲には申込者が殺到して売出初日に売り切れたという例もありますが、駅から遠いとか、造成工事が不完全な分譲宅地や、悪い敷地に建てた建売住宅などは、1年も2年も売れ残るものもあります。

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土地

一般の宅地、建物は、景気変動に対する政策調整が早いので、法外な高値を唱えるもののない反面、投物と称する格安物件もみられなくなりました。また、生産コストが用地選定の大前提になる工業用地の取得は、工場が来ると税収入が増加するということなどから公共機関の斡旋によるものが多く、不動産業者の手にかかるのは小面積のものが多く、これに反して、商業地の取引は市街地で物色されるのが大部分であるため不動産業者の斡旋が多くなります。繁華街や新興商店街などの立地柔件の良いものは不況下においても取引がみられます。その反面、神武景気を謳歌した当時のような採算を度外視した価格は姿を消しました。これを要するに最近の不動産取引は、値上り利益を目的とした投機売買は減少し、なんらかの用途に利用するために買収する実需取引になったということです。
不動産市場の主流として、マンション、コーポラス、レジデンスといった名で親しまれている鉄筋コンクリート造りの高層住宅の分譲が、東京はじめ大阪、名古屋などの大都市で主流になっています。この高層分議住宅が日本にはじめて出現したのは、昭和30年代で、東京の信販コーポラスなどがつくりはじめた頃は珍しさも手伝って飛ぶように売れたものです。そして、この分譲アパートの創成期はデラックスなものが表看板で、39年の東京オリンピック当時には最高2,000万円以上といったデラックスなものもできていました。そして、そのアパートに住む人びとも、デラックスムードにふさわしい大会社役員が30%余、同じく部課長クラスが25%、女性職業人が6%余といった具合に、大会社の重役かマダムクラスの収入がないと入れないというのが常識でした。このマンションブームが頭打ちになったのが昭和40年から41年にかけての不況期ですが、東京都内の場合、40年当時は34棟から35棟に、41年には28棟から29棟と建設戸数も滅少したうえ、建ててから1年以上たっても満室にならないといった現象を呈したものです。こうした動きに対処して、高層住宅業界では、賃貸マンションに切り換える向きもみられましたが、同時にそれまでの一部の特権階級や、マダムを相手にしたデラックスアパートを断念して、国の住宅政策に順応した一般の国民が買えるようなものに設計やデザイン、面積などを工去するとともに、銀行ローンを利用する販売方法が講じられて、昭和42年には最高のマンションブームが到来しました。そして、このブームは大阪、名古屋方画に波及するとともに、東京においては山手線の内側に建てられていたものが、都心部から離れた近郊地域に建てられている現状でした。便利なマンションか健康的な郊外の1戸建住宅かは、好みと職業によって異なりますが、家族は都会の騒音を避けて郊外ハウスに住まわせ、マンションはセカンドハウスとして夜遅くなったときに気軽に宿泊し、昼間は事務所の代用として利用するといった、ビジネスとレクリエーションを一緒にする生活をはじめた人々もいます。

土地
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