地代と土地所有

現実の都市における土地所有は、必ずしも資本と対抗するような形では存在しておらず、多くの場合土地は、資本自体の所有物となっています。資本と土地所有が対抗しており、資本相互の間に競争が展開するような状況のもとでは地代の上昇が起こります。しかし、資本がそれぞれの土地を独占的に所有している場合には、地代論がいうところの過程をとおって地価が上昇するとは限りません。独占地代論は、特殊な場所、東京でいえば銀座四丁目や丸の内といったところを所有している場合、それが他の仕置でもって代えることができないことによって、独占的な地代を形成すると説明してきました。しかし、都市における土地利用資本自体による土地所有は、追加投資が進行する過程においても必ずしも地代の上昇を招きません。その場合追加投資によって生じる超過利潤は、すべて資本のとり分となります。地下鉄をはじめとする各種交通機関の整備、マンモスビルの誕生といった都市開発が進行する一方で、都心部の地価上昇の停滞が伝えられるのはこのような事情が作用しているように思われます。それは、資本の土地所有によって発生する新しい型の独占地代というべきであり、その帰属は、土地所有ではなく、資本であるところに特徴があります。

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土地

地代と土地所有の関係については従来から次のように考えられてきました。差額地代の場合には、土地所有は債極的に地代の創造には関係せず、起過利潤を地代に転化する役割を果たすにすぎません。しかし絶対地代、独占地代は、土地所有そのものが地代の創造に関与します。したがって、資本主義的土地所有が廃絶されるならば、独占地代、絶対地代は消減し、差額地代のみが残ります。
不動産売買に当たって、土地の価格決定は相対のものであり、売り急ぐ場合は安くなり、どうしても欲しいときは高くなるといわれます。これは、地価形成が土地所有者と土地利用者の間の対抗関係によって大きく左右されることを示しています。つまり地価は、土地所有者側の条件、土地需要者側の条件に作用されます。
土地所有者の側に生活的、経済的基盤があり、土地を売り急ぐ必然性がない場合、将来の地価上昇分の先どりを見込んだ高い地価を要求します。そして、買い手が現われるまでその土地は放置され、土地の利用、発展はとまります。都市の内部や郊外で大資本あるいは不動産企業が所有する土地、大規模農業地主などもこの場合で、土地所有者が土地を売る必要が生じるまて土地はそのまま放置されます。都市内部のいわゆる空閑地、郊外の市街化地域内にとり残された空洞地といわれるものはこれです。土地所有者に生活基盤がない場合、それとは反対に、土地所有者の生活基盤が弱体の場合は、土地需要の出現をむしろ歓辺することになります。土地を売ることによって生活資料購入の一助とするわけで、安く買い叩かれても売らざるをえません。この場合、一般に地価は他の商品と同様に需給均衡点で決まると考えるべきです。不動産取引において売り急ぐ場合の地価が安くならざるをえないのは、同様の理由からです。食っていけない農民の土地が安いといわれる事情もここにあると考えるべきです。

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