宅地の使用価値と交換価値

公共団体による分譲宅地の画地別申込倍率にはいくつかの共通した傾向がみられ、第1は、面積の小さい画地ほど申込者の数が多い。第2に、店舗用地への転用可能性や転売時のことを考えに入れた、土地のもつ不動産としての価値の高い幹線道路沿い、あるいは角地にある画地の倍率が高い。第3に、住宅地としての利用価値の高い南面道路画地、特に日照条件のよい東南角地は圧倒的に高い倍率を示します。例えば、交通事故、騷音、排気ガスなどの心配の少ない環境的に優れた条件をもつものとして意識的に設計された袋路の画地には、申込みが少ないのです。これらのことは、宅地の価値判断がたんに利用価値からのみでなく、交換価値の立場から行なわれていることを示しています。公共分譲宅地は、一般に2年から10年の間の転用、転売制限がつけられていますが、それでもこのような結果を示しています。

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土地

宅地の地価は当然ながらこうした価値判断によって形成されます。民間企業による分譲宅地にあっては、交換価値の高い土地には高い地価がつけられます。いわゆる不動産の鑑定評価や固定資産評価、土地区画整埋における換地設計のための地価評価は、こうした土地のもつ交換価値、資産価値を基準として行なわれています。これも、地価が実際の利用価値、ないしは地代形成とは関係のないところで形成される有力な根拠です。
しかも、その土地の価値が使用価値から判断されるか、不動産としての価値から判断されるか、あるいは需要側の条件によって判断されるかは、全く偶発的であるあるため、地価の形成もまた個別的にならざるをえません。土地が商品として存在する土地私有判度を放任しては、地価を合理的に規定しようとするあらゆる努力が破綻せざるをえない必然性がここにあります。土地が商品として市場に現われる際は、その交換価値を客観的に規定する必要に追られます。しかしその場合、客観的価値、一般価格を発見することは不可能なのです。これについてはさらに次の意見があります。
土地の価格は時、所、形、利用方法等種々な諸要素の複雑な関係の中に現象し、一要素の変化は同時に他の要素の変化を招くが故に、復雑な相関関係の中から単一の価格を抽出することは、少なくとも論理的には不可能です。従ってそれの論述の過程において行詰ったり、または径しげな渡橋工作が行なわれたりするように見受けられます。土地の評価は共土地の利用価値の判断であり、利用価値は普通にはその収益性に依存するが故に、収益を根幹として資本に還元する方法が一見正当に考えられます。ところが実際には尚此外に其土地の代替性と発展性が其価格決定に重要な役割を演じています。何時でも売れる土地は然らざる土地より価格は高いが、収益には変化はありません。又都市計画其他の理由で将来発展を約束された土地は、地代に先立って高騰します。更に早害、水害の危険ある農耕地、家賃及び地代等の支払能力の薄弱な組民地は、現実の収益に対して地価が相対的に低下しています。故に現実の収益はそのまま還元の根茎として採上げることは出来ません。正常の完買実例が豊富に整備して居れば許価の客観的基礎付けは困難ではありませんが、文字通りの不動産なる土地の性質として、評価地附近に恰好の実例のあることは稀で、在っても特殊事情に基く特殊価格が多い。したがって評価当事者は是等特殊価格から其特殊性を捨象して、目的地に適当すべき価格を抽象換算せなければなりません。所で之が計数的に若しくは論埋的に可能かどうか。一般に土地評価書及び鑑定書の説明には必ず、本件土地の仕置、環境、利用価値等を参酌考慮の云々の文句を附けて判断の径路を示していますが、之だけでは説明になりません。説明に要求されるのは、之等諸要素が如何なる根拠によって、如何なる程度に影響しているかの具体的明示です。そして実際問題として之等の影響率は一般的に現定できません。それゆえ、計数的若しくは論理的説明を以て評価の客観的基礎付けを行うことは到底越え難い関にぶつかります。そしてこの難関を切抜ける為には不本意ながらも無根の証拠勧進帳を読まねばなりません。富樫ならぬ一般の人々も其目的に感激して手段の少過は黙過するという具合です。斯くて評価価格を決定するものは論理的客観的手段ではなく、結局は個人の経験的主観であるという結論に達します。客観的な地価の成立は、絶対的な土地利用規制が前提であるといえます。

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