宅地地代の源泉

住宅地代は、住宅地としての効用価値が基礎となってつくられます。住宅地は、持家として利用されている場合は、それによって直接利潤を生み出さないため地代を生まないようにみえますが、借家経営や建売住宅、宅地分譲など土地が営利事業に利用される場合を考えると、住宅地価の形成動機ははっきりしてきます。住宅地の効用価値は、大きくわけると、職場への時間距離。日常生活の利便性。自然環境、土地の風格などが中心となって形成されています。これらの要素が優れている住宅地は、それの劣る住宅地に比べて通勤通学に便利であったり、買物など日常生活が便利であったり、日照、眺望がよく環境が静かであったりするので、住宅地として快適です。一方で住宅需要者の側には様々の所得階層があり、地代負担能力に差が生まれます。そこで、地代負担能力の大きいものは、住宅地としての快適さの差をお金を出して買おうとします。つまり、その都市の最も条件の悪い住宅地と優れた住宅地との効用価値の差が貨幣価値に換算されて、住宅地代形成の源泉となります。したがって宅地地代の解明には、居住者の住宅地の効用価値に対する価値観を明らかにすることが必要となります。

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東京都市圏における各私鉄沿線の都心までの時間距離と住宅地価の関係をみると、都心に近づくほど地価は高くなっていきます。資本主義都市の都心とは、地理的な都市の中心を意味するのではなく、職場が集中した地域という意味です。このことは、住宅地の効用価値の大きな比重が職場への時間距離におかれていることを示しています。これはまた、都市労働者の住居の場所選択における1次的要求が労働の場所への接近性にあることを意味しています。人間が生きていくためには働くことが必要であり、労働力を再生産するためには栄養の補給と十分の体養が必要ですが、住居は疲労を回復し休養を確保するための場として最も重要な要素です。それには、住宅は職場に近いほどよく、都市の発展過程において、住宅地が都心からはじまるのはこの理由からであり、宅地化が次第に外局に拡がってゆくのは、労働人口が増加して、全体として職場付近の居住可能地域が飽和状態に達するからです。
資本主義社会の発展とともに工場や事務所は、集債効果を求めて無政府的に都市中心部へ集中します。住宅はその都心を起点としながら、住宅適地を求めて郊外へ延びていきます。鉄道が発達し,新しく開発された住宅地から労働者が通勤できるような措置がとられます。その場合でも、住宅は職場に近いほどよいことは同じであるため、宅地化の傾向は、都心への最短距離の地域を求めて、鉄道線に沿ってヒトデ状にのびていきます。都心への工場、オフィスの集積が強まるほど、このヒトデは外延へ先端を伸ばしていきます。こうして都市の区域が拡がっていくのです。その際このヒトデの形は、そのまま等地価論郭線となります。
このような輪郭線の形はまた、通勤手段が鉄道によっていることの結果でもあります。郊外電鉄から少し離れた場所であっても、バス交通の発達によって都心への通勤可能圏域にくみこまれてくれば、ヒトデの形はふくらみを増します。さらに、通勤手段がマイカーによるようになれば、住宅地価の分布はまた違ったものとなるはずです。
このような住宅地の形成過程において、地代負担能力の大きいものは、都心に近い場所に住居を持つことができますが、その能力の低いものは、生産労働による疲労のうえに、さらに通勤労働という肉体的、精神的、経済的、時間的儀牲を払って都心から離れた遠方の住宅地を選ぶか、あるいは過密居住など居住条件を質的に低下させるかのどちらかを選ぶことになります。
都心に近くなるほど高密度のあるいは階数の高い住宅形式を成立させているのも、基本的に労働者が職場への接近性を求めることによっています。職場と住居との関係のありかたについて種々の議論がありますが現実の住宅地代発生のこのような事情は、より価値の高いものをより高い代価を支払って購入するという、商品社会における住宅地の効用価値の経済的表現としてうけることができます。
職場と住居の接近、通勤労働の軽滅は、人間社会の本質的な発展に結びついていると考えなければなりません。

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