市街地の地価

資本主義社会においては土地は私的に所有されています。したがって、利潤追求の活動を行なうために土地を利用する場合も、これを住宅地として利用する場合も、地主に対し地代を払って土地を借りるか、地価を払って土地を購入するかのどちらかをしなければなりません。それでは、地代や地価はどのようにして決まるのでしょうか。その論理は、商業地、住宅地と基本的に同じです。さて土地は労働の生産物ではないため土地そのものは価値をもちません。しかし、資本と労働がそこに働きかけることによって、農産物や工業製品の生産、商品販売による利潤の取得などの活動に寄与することになります。資本主義社会における利潤追求の活動は、土地と資本と労働の三者を基本的要素として成立していますが労働者の作り山した価値を、資本は利潤、土地は地代、労働は賃金という形でわけあいます。人間労働によって作り出された価値がこのような形で分配されるのは、生産手段である資本と土地が私的に所有されているからです。地価形成は地代形成を出発点としているため、まず地代論を検討しなければなりません。

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土地

従来の地代論は、地代に三つの形態があると説いてきました。それらを簡単に紹介すると次のようなものです。同じ資本と労働力を投入しても、土地の肥沃度や位置的便利さによって、作り出される価値は違います。すべてのものが商品として生産される社会では、最も悪い条件の土地でも平均的利潤をあげるのでなければ利用されません。したがって、それよりも条件の優れた土地の利用は超過利潤を取得します。この超過利潤は、資本力や労働力に関係なく、土地の優位性によってのみ上み出されるものであるため、そのような土地を借りて生産活動、商業活動を行なおうとするものは、これを地代として土地所有者に支払うことになります。これが差額地代の第一形態といわれるものです。
同じ土地であっても、例えば耕地整理などの土地改良投資を行なえば、その土地からは新たな超過利潤をあげることができます。この超過利潤は、資本の側の投資によって生み出されたものではありますが、やがて地代、地価の上昇として土地所有者のふところに入ってしまいます。これが差額地代の第二形態です。
以上の差額地代の形成過程では、最劣等地の土地所有者は地代を全く受け取らないことになっていますが、土地が私的に所有されている場合には、最劣等地といえども、ただでは土地を貸しません。つまり、最も条件の悪い土地でも地代を発生させます。この範囲での地代が絶対地代です。農地、商業地、工業地を問わず、特に有利な場所、その場所でしかつくれないような農産物のできる土地は、そこでつくられた商品に独占的な価格をつけることができます。それから発生する超過利潤は、土地に転化して独占地代となります。以上が、これまでの地代論が明らかにしてきた地代形成過程の要約であり、地代を平均利子率で除して資本還元したものが原初的な意味での地価となります。
地価の解明は、その基礎となる地代、さらに地代の源泉である超過利潤の形成過程を追求することが第一です。そこでまず商業地を対象に、地代およびその源泉である超過利潤の発生過程をみてみると、商業地の地代は、その場所で商売をすることによって得られる利潤から、投下資本の償却、利子、店員の給料、平均的な利潤などを差し引いたものでつくられます。人通りの多い駅前と人通りの少ない路地奥の二つの喫茶店を考えると、一般に駅前の契茶店のほうが売上げも利益も多い。その場合、路地奥の契茶店でも、平均的な利潤が得られるのでなければ経営されないわけであるため、それより場所のよい駅前の契茶店はより大きな利潤、超過利潤をあげることができます。この超過利澗は、資本と労働のいずれの力にもよるのでなく、全くその土地に固有の仕置的優位性によって生じたものです。したがって地主は、この土地を人に貸すとき、路地奥の土地よりも高い地代を要求することができます。土地が借地であれば契約更改時に、所有地であれば売買の際に、資本活動に対して保障する平均利潤以上の超遇利潤は土地所有者のとり分となります。土地の借り手や買い手は、それだけの地代を支払ってもなお超過利潤が得られると考えた場合には、これを取得するわけです。このように土地は、それを利用することにより、利潤追求の手段となり、場所により超過利潤の大小が生まれます。したがって土地は商品として交換価値をもつことになります。しかし、その価値は、あくまでも潜在的な価値、一種の擬制資本です。地代の源となる商業地の超過利潤は、人通り、購買圏域、利益率の大小などに支配されます。業種が同じであれば位置の差によって、同じ位置では業種によって超過利潤は変わります。したがって商業地の地代は、いかなる業種が立地するかが決まらなければ決められません。都市が全体として発展している時代には、土地利用を契機とする超過利潤は大きくなり、宅地の取得競争が生じます。この競争は、最初に異種企業間に現われます。その結果、最も高い地代を支払いうります。その場所に最も適した業種が成立します。その次には、同種企業間に競争が現われます。一般に、資本力の大きい大企業が競争に勝ち、弱小企業を駆逐します。これは、大規模投資の地代負担能力の大きさが原因です。

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