開発負担金

開発負担金制度というのは、都市計画上の受益者負担の制度を組織化して、地価対策と結びつけたものです。新しい公共投資によって、いままで山林原野であったところが都市的に開発された場合、その一帯の土地の利用価値の増大が、土地利用計画に基づく公共投資に起因するものについては、土地利用計画による利用の度合に応じて、これを開発利益として、土地所有者から汲み取らなければなりません。なぜならば、これを汲み取らなければ、地主は公共投資という天の恵みによって、二束三文の山林原野の地価が一挙に何万円にもなって、まるもうけをするからです。これは完全な不労所得です。しかも、この次にその近辺で公共事業を起こす場合は、不労所得によってハネ上がった上昇地価を基準に地主達はゴネ得とかゴテ得を図り、ますます、地価は上昇します。このように、開発によって局部的に地価が高騰する現象を、地価のマクロ的上昇に対して、地価のミクロ的上昇ですが、土地増加税が地価のマクロ的上昇に対する課税と考えれば、開発負担金制度は、地価のミクロ的上昇を抑制するための地価対策ということができます。したがって、この制度はある限定された区域に適用されるミクロ的対策であるため、これによって徴収された金は、当該企業体が次の開発事業に充当するのが筋です。つまり、目的税的に考えるのがこの制度の性格といえます。この制度は、いわば、普通の税制度とガスや電気のような公益事業の使用料徴収制度とのあいの子のようなものです。したがって下水道事業については、ドイツではむしろ後者の性格をもたせ、開発負担金の徴収権は認めていませんが、日本の場合は、逆に下水道事業だけが都市計画法の受益者負担金の規定に基づいて、この制度が採用されています。

スポンサーリンク
土地

ドイツの連邦建築法の規定による開発負担金制度のあらましを紹介すると、開発負担金の徴収は市町村が行ない、負担金を徴収できる開発施設は、国道1級および2級州道のような広域交通に関係しない集合道路、近隣道路、細街路、地域内公園および緑地などです。徴収する額は、開発施設の事業費の9/10で、残りの1/10は市町村の負担となっています。開発経費の9/10を土地所有者に割り掛けて分担してもらうわけですが、その割掛基準は、次の事項を相互に組み合わせることによって市町村が規則で定めます。(1)用途地域制、容積地域制、建ぺい率などの詳細な土地利用の種類および利用率。(2)当該敷地の面積。(3)当該開発施設に沿っている敷地の幅。負担金は、公課として土地所有者または地上権者から徴収しますが、1960年の連邦建築法によって、従来から市町村で行なわれていた開発負担金の徴収期日を変更したことが、地価対策ひいては宅地政策として極めて大きな意義を有するにいたったといわれています。つまり、開発負担金を徴収する時期には、開発施設が完成した時にとるか、または、完成後その沿道の敷地に建築物が建築された時にとるかの二つがあります。ドイツでは、以前は後者を採用していたのを1960年から前者に切りかえたのです。開発施設の完成と同時に負担金を徴収されると、それを支払うために、治道の敷地に自分で建築物を建てて利益を産み出すか、さもなければ他の建築希望者にその敷地を売るより仕方がないわけです。したがって、土地市場は売手市場から買手市場に風向きが変わってくるというわけです。地主は開発後の地価の値上がりを待って、じっと宅地を利用しないまま温めておくことができなくなります。さらに、この制度の長所は、目的税であるため、市町村は徴収した金はどんどん次の開発事業に充当できるので、地方財政としても有利です。実際に徴収されている負担金の額は、沿道の建物評価額の5%から10%、徴収期日の改正によって、更地からとる場合は、法定の土地利用計画で定められている想定建築費の5%から8%に相当する程度の額に基準をおいているようです。いずれにしても、この制度は、欧米諸国のように都市計画上の土地利用計画というものが、合理的に、かつ、詳細に定められているということが前提です。ドイツの場合は、道路や公園などの開発施設を新しく造る場合は、都市計画上の詳細な建築計画を作成することが前提条件となっています。
イタリアでも、この制度は以前から存在していましたが、1963年の土地増加税法の中で特別開発負担金として新しく改正されたものです。イタリアの場合もドイツの制度と趣旨は同じですが、負担金の額の決定などについて差異があります。イタリアの場合は、公共事業等の施行後の不動産の時値と、それらの事業決定のあった年の前年1月1目現在における当該不動産の時価との差額に対して決定されます。負担額の決定は、増加額の33%を限度として、主務行政機関が定めます。

土地
土地の利用面積と宅地/ 住宅需要の増大/ 悪性スプロール/ 宅地基準/ 宅地政策/ 諸外国の宅地政策/ 土地贈課税制度/ 開発負担金/ 先買権と土地収用/ 市街地の地価/ 都市の人口規模と地価/ 超過利潤の地代への転化/ 宅地地代の源泉/ 宅地と生活利便性/ 住宅需要の増大と地代騰貴/ 地代と地価/ 地価の波及現象/ 宅地の使用価値と交換価値/ 地代と土地所有/ 土地需要者側の条件/ 土地の利用価値判定/ 一般市場と不動産市場/ 不動産市場の客体/ 不動産市場の主体/ 不動産業界の展望/ 不動産取引の状態/ 一般的な土地価格の動向/ 地価高騰の原因/ 不動産鑑定評価基準/ 鑑定評価の対象の不動産/ 不動産の価格と特徴/ 不動産鑑定評価と主体/ 不動産の鑑定評価で求める価格/ 不動産の鑑定評価の基本/ 不動産鑑定評価の方式/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー