土地贈課税制度

西欧の諸国において、19世紀末から現在にいたるまで、宅地政策として、よく実施された土地増加税制度は、マクロ的地価増加に対する税体系であり、開発負担金制度はミクロ的地価増加に対する税体系です。そして、空閑地税制度は、土地増加税と開発負担金の両制度を補完する税制度と考えられます。しかし、これらの制度は、それぞれの国の近代化の度合によって、時代とともに改廃されてきたもので、これらが宅地政策の根本だとはいいきれません。例えばドイツに例をとると、20世紀の初頭に盛んに行なわれた土地増加税は、すでに付加税的なものになり、1960年の連邦建築法の制定によって登場した空閑地税も、住宅問題の解決をほとんど遂行した現在のドイツでは緊急な必要性がなくなり、課税計算がしにくいという政治的理由によって、1964年の改正で廃止されるにいたり、今では開発負担金制度だけが、ひとりドイツの宅地政策の有力な武器になっています。しかし、一方で西ドイツほど近代化の進んでいないイタリアにおいては、1963年、土地増加税法を制定し、この法律に基づいて、新たに土地増加税と特別開発負担金の制度を創設して、強力な地価対策を打ち出しています。イギリスではレヴィの判度があり、開発区域内で農地を宅地にしたために増加した土地の価値の40%が土地所有権の移転の際賦課されます。これは、かなり強い農地転用税ともいうべき土地増加税です。フランスやアメリカでは、受益者負担金制度がかなり徹底して行なわれています。

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土地

土地増加税は、マクロ的な地価増加に対する課税体系であって、この税に対する考え方は、ロンドン生れのジョン・スチュアート・ミルによって提起されたといわれています。彼は、土地所有者の寄与によらずして、人口と富に伴って上昇する土地の剰余価値を不労増加といい、この不労増加に課税すべきことを1871年に起草された土地改革者綱領の中で述べています。その後1877年にドイツのアドルフ・ワグナ一は、社会政策協会の講演で同じことを述ベ、ワーグナーの提案は、1893年のミチル地方税法によって、市町村は、はじめて増加税を徴収することとなりました。1904年にはフランクフルト・アム・マイン市が実施し、その後次第にふえて、1910年には、ベルリン市をはじめとする430都市および13郡がこれを実施しました。1911年には、この税を施行している地方公共団体は652に達していました。ところが、この頃、ワーグナーは、不労増加は、個々の都市の所産ではなく、それは全ドイツの発展の所産であり、元来、市町村から生じるものではなく、国から生じるものであると主張し、増加税は、例えば国が1/3、州が1/3、市町村が1/3のような関係にあるものだと説明しました。彼のこの考えは帝国増加税法として、1911年4月1日から施行され、その税収は、国が50%,州が10%,市町村が40%に分配されましたが、1913年に改正され、国はこの税の収入に与らないこととなり、増加税は、再び各州、各市町村に帰属することとなりました。その後、1944年の租税単純化令により、増加税は、土地取得税に対する付加税にかえられたので、これまでのように地価対策と直接関係することが少なくなりました。1950〜60年の連邦建築法の審議期間中にも、土地増加税を採用する意見も出ましたが、入れられませんでした。
空閑地税という名称は、日本でいわれている俗称です。公共施設の整備された建築可能な成熱地であるのに、地価の値上りを待って空地のままでおいておくのは、宅地難のおりから社会正義に反するため、これに累進課税をかけて、宅地の利用を促進しようというのが、この課税概念です。土地増加税のところでふれたように、土地の所有権移転の際、土地取得税の付加税を課する場合に、建物が建っている場合よりも、空地の場合の方が、高い税率を課せられることになっていますが、これも一種の空閑地税といえます。しかし、一般に私達が空閑地税と呼んでいるのは、1960年のドイツの連邦建築法の制定によって、その第172条で土地税法の一部が改正され、未建築の建築成熟地に対する税率を累進的に引き上げる措置をとりましたが、この税のことを指しています。ドイツでは、この税のことを建築用地税、または地租Cと呼んで、いろいろ話題をよんだ税でした。この税は、空閑地の判定が困難なこと、貧しい人びとの所有している農園や果樹園などから徴税するにしのびないことなどの理由により、政治問題となり、1964年10月10日土地税法の規定に関する法律によって廃止されました。廃止のもう一つの大きな理由は、ドイツの住宅問題が1963年頃までにほとんど解決し、住宅建設は量から質の問題に移っていたという社会的背景です。日本のように、都市化が激しく、住宅や宅地の問題が、これからますます激化しようとしている社会的条件の場合は、ドイツとかなり異なります。

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