諸外国の宅地政策

アメリカの場合は、新しい郊外開発は、すべて各都市の総合的コミュニティ計画にしたがって計画されなければなりませんが、新しく開発される土地がその区域に入ってない場合は、都市計画委員会によって承認あるいは採用された近隣住区計画にしたがうことになっていますが、この場合、連邦政府は、土地分割に関する詳細計画を作成して、これを各都市に勧告しています。それによると道路および路を次のように分類して考えています。(1) 幹線道路およびハイウェイとは、主として高速または重量交通の用に供せられる道路をいう。(2)集合道路とは小道路から幹線道路およびハイウェイヘの交通を導くための道路をいい、住宅団地への主要出入道路および団地内の循環道路を含むものとする。(3)小道路とは、主として敷地への出入の用に供せられる道路をいう。(4)側接道路とは、幹線道路に接近し、これに平行で、かつ、敷地への出入のための道路で通過交通から保護するための小道路をいう。(5)路地とは、道路に接する敷地の側向および背面への主としてサービス出入口として用いられる道をいう。道路に開する上述の定義を参考にして推定すると、(1) の幹線道路はマクロ的公共投資に属し、(2)〜(5)の道路は、ミクロ的公共投資に属すると考えることができます。

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土地

ドイツの連邦建築法(都市計画基本法)においても、その第6章開発の規定およびこれに基づく開発の都市建設上の原則に関する基準という政令において、新しい開発を行なう場合は、必ず詳細な都市計画である建築計画を作成することが義務づけられています。この場合も、高速自動車道国道、1級および2級の州道、広域緑地などは、広域経済投資としてマクロ的に考え、幹線でない集合道路、近隣道路、住宅組街路、歩行者専用道路、駐車施設、近隣緑地などは、ミクロ的な地域社会に属する公共投資として考えられています。
以上述べたように、詳細な土地利用計画の裏付けに基づいて公共投資が行なわれる場合は、逆にその公共投資によって、受益する土地所有者に対する受益度の測定も、かなり明瞭になるわけで、土地所有者から増加した地価の一部を公共に還元する方法も割合に公平に考えられることになります。19世紀末から西欧諸国で考えられた宅地政策というものは、その国の政治や都市化の進行度合によって、様々な差はありますが、公共投資による開発利益をいかにして公共に還元するかということが根本命題でした。したがって、日本においても、今後、近代都市計画に基づいて開発利益の徴収が公平に行なわれるようになれば、宅地政策は急速に進歩するはずです。
19世紀の後半、アメリカの土地学者へンリー・ジョージは、カリフォルニアの土地投機の体験を書いた進歩と貧困という著書を出し、早くから日本にも紹介されましたが、その中で彼は、土地と労働と資本が生産の要素であって、生産物=地代+賃金+利子という関係式が成立するため、地代、地価というものが、いかに生産物の価格に影響するか、また、生声力が増加するにもかかわらず、賃金がやっと生きてゆくに足るだけの最小限度に近づいてゆくということの根本原因は、地代が生産力以上に上昇しようとし、しかも賃金を絶えず抑えようとする傾向が生じていることに存するといっています。しかし、この頃日本はまだ資本主義の初期にあたり、土地問題が論議されるには、あまりにも日本の都市化は進んでいませんでした。したがって、彼のような考えは紹介されたままになり、革命運動の主済はマルクス主義に移行していきました。しかし、その後非マルクス主義経済学においては、マーシャルやケインズなども経済理論の中に、土地とか土地価格というものをとりあげなくなっていきました。第2次大戦後は、大都市問題の一環として、アメリカで土地経済学を研究する派が出現してはいましたが、近代経済学としての土地問題は必ずしも進歩したとはいえません。むしろ、最近は、近代都市計画の方法論として、市街地の宅地問題が論じられるようになり、特に近代的な土地利用計画と宅地政策の関係が研究の大きなテーマとなっています。

土地
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