土地の利用面積と宅地

住宅問題は宅地問題であるといわれるほど、住宅建設における宅地の比重は増大してきています。つまり、一般物価にくらべて地価が著しく上昇したため、住宅建設費のなかで、土地費の占める割合が増大して、建築費の割合が相対的に滅少してきています。昭和30年3月から42年3月までの12年間に全国の市街地価格指数は、日銀卸売物価指数の約8倍になっているのに、木造建築費指数は日銀卸売物値指数の約2倍にしかなっていません。つまり土地費は建築費の4倍上昇したことになります。また、地価の国際的な比較を仮定してみると、日本の市街地と類似な地域で、アメリカとイギリスは日本の地価の20%から30%ぐらいで、フランスやドイツは日本の地価の40%から60%ぐらいと考えられます。いずれにしても、戦後の日本における地価の上昇は、経済の高度成長以上に世界にその比をみないものであるということがいえます。

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土地

このような高い地価が発生し、日本の宅地事情が世界中でもっとも逼迫するに至った原因は、国土面積約37万km2という比較的小さい日本列島に人口1億2千万人が生活し,世界にまれにみる経済の高度成長をした高密度、高エネルギーの国であるがための必然の結果です。土地は商品ではないとか、土地は輸入も輸出もできないということがよくいわれていますが、宅地問題というのは、経済学的にどのように分析すべき問題なのでしょうか。
日本統計年鑑により、国土地理院、総理府統計局が共同で調査した日本の国土の地形別面積を分類すると、日本の国土は、丘陵を平野に入れて計算しても、全体の面積のおよそ2/3は、山地だということであり、国土が狭小であるうえに、山ばかりで、人間が生活し、生産活動することができる面積は、極めて少ないことになります。ドイツやイギリスは、日本より国土面積は小さいのですが、おおむね山地が1/3で平地が2/3であるため、人間活動に必要な利用面積は、日本より大分多いことになります。
次に、37万km2弱の日本の国土を、国有地、民有地、公有地、その他の用地に分けて、その利用状況を調べてみると、まず、国有地は、国有財産として管理されているもので、現在9万2068km2となっています。しかし、この国有財産の大都分を占めているのは農林省林野庁所管の国有林です。国有林の面積は,現在7万5580km2であるため、国有林以外は1万6488km2しかないことになります。しかしいずれにしても、国有林を含めると、日本の国土面積の約1/4が国有地であるため、山林を中心として、日本上の25%前後がすでに国有化されていることになります。
宅地問題の焦点となるのは民有地です。民有地は、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、塩田などによって構成されており、私達のもっとも注目しなければならない宅地は、市部に38万9965ha、郡部に28万7444haで、全国の宅地総面積は67万7409ha存在することになっています。これは国土面積のたった1.85%に過ぎません。統計上の誤差や繩延びを考慮に入れても、宅地と名のつく民有地は、日本の国土面積からすれば、ほんの一握りの部分でしかありません。ところが、土地間題として問題になるのは、広大な山 林原野や田畑ではなくして、この一握りの宅地なのです。さらに、これらの宅地の中で、地価問題として大きな世論を起こしているのは、国土面積の中のわずか1%を占めるに過ぎない市部における宅地に関してです。これに関連して考えなければならないのは、これらの市部の宅地に接触しているところの民有の田、畑、山林、原野です。この部分が急激な都市化による悪性スプロールによって、地価を不合理に上昇させる温床となっているのです。いずれにしても、国土的な土地面積の視野からすれば、ほんの数5%に過ぎない分野において、現代の土地問題が集約されているといっても過言ではありません。このことは、とりもなおさず、現代の土地問題は、宅地問題であるといい切っても差支えないゆえんです。別の表現をすれば、都市とその周辺の一握りの宅地のために、国土全体が振り回されているようなものです。宅地面積67万7409haのなかの10%強の7万2274haが工場用地です。したがって宅地のほとんどは住宅用地で、業務用地その他は比率にすると極めて少なく、日本は、人口の割に国土が狭く、かつ山岳地帯が多いといわれていますが、統計上から考えればまだまだ無限といってよいほどの山林原野があるので、科学の力によって新しい開発を行なう余地はいくらでもあるわけです。
民有地は、課税対象以外の山林がかなりの面債があるほか、防風林とか防備林などの保安林になっているものがあります。林野庁の調査結果によると昭和41年度の保安林の総面積409万9094haのうち、民有保安林は212万6777ha存在することになっています。また、森林計画集計数値などより類推すると、課税対象外の民有山林は、民有保安林以外に、なお449万1766haぐらい存在することになっているため、課税対象の山林とこの面積とを合計すると、民有山林の面積は、1206万6223haということになります。
公有地については、都道府県、市町村、鉄道、公庫、公団などの所有地がこれに該当するわけです。この中でもっとも大きいものは、やはり公有林です。森林計画集計数値によると、公有林の面積は284万4000haとなっています。次に道路面積については、自治省財政課の調査では、幅員1.5m以上の市町村道が27万4240haとなっており、これに国道、都道府県道および日本道路公団のものを加えると約35万5502ha程度になります。学校用地面積については、昭和40年度で、小学校が2万5599ha、中学校が1万8208ha、高等学校が2万1456haであるため、これらの合計は6万5263haとなりますが、このほかに公立の専門学校、大学、各種学校などを含めれば、約8万803haとみられます。
最後に、はっきりした統計がなく、推計することが困難なものをその他の用地として分類しなければなりませんが、この中には、河川、墓地、神社、寺院、地方公共団体の所有する公共建築物用地、公庫や公団の所有する公共建築物用地などが含まれます。
国土の利用面債を推計する作業は、統計資料の不備のためにはなはだ乱暴なことですが、日本の土地問題を論じるにあたって、超巨視的視野に立った国土の土地利用の状態を頭に入れておかないと、現在も将来も住宅や都市問題の中心課題になる宅地というものについて、木を見て森を見ずのたぐいの議論になるおそれがあるため、あえて以上の推計を試みたわけです。

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