土地区画整理事業と借地権者

土地区画整理事業においては、土地の区画形質の変更が行なわれ、宅地について所有権およびその他の権利を有する者は、その権利義務に大きな影響をうけることになります。借地権者は所有権者とともに、個人施行の土地区画整理事業の施行者となることができます。また、土地区画整理組合が施行者となる場合、借地権者は、所有権者とともにその設立に参加でき、その組合員となります。組合設立の認可申請には、施行区域内の所有権者および借地権者のそれぞれの三分の二以上の同意が必要です。この場合に未登記の借地権者は、施行地区となるべき区域の公告があった日から一ヶ月以内に借地権の種類、内容を申告しなければなりません。この申告をしない借地権者は同意権を行使できず、また、組合員となることもできません。ただし未登記借地権者は、換地拠分が行なわれる以前であればいつでも、この申告をすることができ、これによって借地権者は組合員となります。組合の総会の議事は、出席した所有権および借地権を有する組合員のそれぞれの三分の二以上で決します。

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地方公共団体、行政庁、日本住宅公団が事業を行なう場合、権利者の意思を事業に反映させ、事業の公正かつ能率的な実施をはかるために、事業毎に土地区画整理審議会が設置されます。この審議会の委員は、所有権者および借地権者のグループから、各別に所有権者および借地権者が行なう選挙によって選ばれ、その際に未登記未申告の借地権者は、借地権について、権利を有しないものとみなされます。借地権者は、借地権について登記していないのが普通ですが、以上に述べたように、それを申告しさえすれば、一応所有権者と対等に事業に関わることができます。しかし、施行区域の公告に気づかなかったり、申告制度があることを知らなかったりした借地権者の意思が無視されてしまう結果になることは、実際には少なからずみられます。また、所有権者と借地権者とが各別に三分の二以上の意思の一致を求められる場合も、所有権者は諸種の方策を講じることによって、借地権者の意思決定に大きな影響を与えることができます。これらのことを考慮したとき、借地権者は、所有権者と文字通り対等に事業施行の過程にその意思を反映させることができるなどとは、にわかに言えません。
個人施行者以外の施行者は、未登記未申告の借地権について、これを存しないものとみなして、換地計画、仮換地の指定、換地処分、清算金、滅価補償金等の手続を行なうことができます。つまり施行者は、申告がないかぎり借地権を無視することができます。このような法の仕組みは、もっぱら事業の円滑、迅速、画一的な施行を重視したものであるといえますが、結局は借地権者の立場を弱める役割を果たすことになっていることは否めません。しかし、以上のことは、実体法上の借地権まで消滅させることを意味するわけではありません。したがって借地権者は、換地処分後でも、義務者である土地所有権者に借地権の確認や換地の明渡を求めることができると解されています。
借地権者が換地上に建物を移転する場合、従前の建物と同一性を有する建物を建てれば従前の借地権はそのまま存続します。しかし、老朽家屋で同一性を維持して移転できなく、やむなく新たな建物を新築すれば、借地法七条が適用されます。また、減歩された換地の地価が従前の宅地のそれより上昇した場合、借地人は地主から地代増額請求をうけることがあります。これらのことから、借地権者は、建物移転に際して諸種の困難に遭遇することがあることに注意しなければなりません。
借家権者の場合、借地権者に保障されているほどに事業に関わる権利の保障は存在しません。土地区画整理法には、わずかに事業計画に対する意見書提出権が定められているのみです。したがって、事業施行の過程において、借家権者がその意思を事業に反映させる機会はほとんど保障されていないと同然です。また、未登記の借家権も申告をしないかぎり施行者によって無視されることは、借地権におけると同じですが、未登記未申告借家権であっても、実体法上の権利が消滅するわげでないことは借地権の場合と同様です。さらに、換地処分が行なわれた後、借家権者が引き続き借家を使用できるためには、建物が移築されなければなりません。家主が換地上に建物を移築しなかったり、建物の同一性が失われた建物を建築した場合に、借家権は消滅されてしまいます。家主に対して換地不指定処分が行なわれた場合、あるいは、滅歩のため宅地面積が大幅に滅少し建物の同一性を維持して移築できなくなった場合などは、家主の責任によらずに借家権が消滅する例です。また、債家の建物面積が縮小しても宅地利用の増進を理由に、家賃増額が求められることもあります。

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