土地収用における事業認定

土地収用法三条は、土地を収用し、または使用することができる公共事業を列記しています。同条が収用対象事業を制限列記している結果、そこに担げる事業に該当するかぎり、その事業に必要な土地を収用することが認められます。反対に、公共性が強いようにみえる事業であっても、同条に掲げられていなければ、土地収用の方法をあきらめざるをえないのです。しかし、同条に掲げられている事業であるからといって、ただちに、収用が認められるわけではなく、土地収用が土地の利用をめぐって、財産権者の意思をかえりみずに、事業の公共性を優先させようとするものである以上、事業のために具体的に土地を収用するだけの必要性があるかどうかについて公的に判断がされなければならないのです。事業認定とは、三条各号に列記されている事業について、個別具体的に事業者、事業地、事業計画を確定して、その事業が土地を収用し、または使用することができるだけの公益性があるかどうか、事業計画による土地利用が収用を是認できるだけの土地の適正かつ合理的な利用に寄与するかどうかを判断したうえで、事業者に収用権を与える処分です。

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事業認定を行なう機関は、事業主体、事業の種類、事業を施行する区域によって、国土交通大巨と都道府県知事に分かれています。この場合の都道府県知事は、国の機関としての立場で認定機関になります。
事業認定の要件については、収用法二○条が定めています。
第一の要件は、その事業が収用法三条各号に掲げられていることです。形式的要件で、前述のとおり制限列記主義をとることによって、画一的な処理を図っています。第二に、事業主体が事業を遂行することについて十分な意思と能力を有することが求められています。ここにいう意思とは、具体的な事業計画を作成しているかどうかということです。特に事業の開始、完成時期については、事業認定の有効期間が通常一年とされており、また用地を取得しても、工事に着手せずに事業認定後一○年を経過した場合には、旧土地所有者に買受権が発生するので、問題となります。また能力とは、事業を遂行するために必要な財政上の裏づけの在否です。第三に、事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであることが求められます。収用対象地は、事業の遂行にとって欠くことができないという意味において、代替性のあるものであってはなりません。したがって、事業地の選定が、地形、地質、土地の利用状況、権利者数、経費等の諸点からみて適正かつ合理的であるという理由づけをもって特定されなければなりません。第四の要件は、土地を収用し、または使用する公益上の必要性の有無についてです。事業を実施することによる社会的、経済的効用等が検討されます。
事業認定がされると起業地が確定し、財産権者にとっては収用が運命づけられ、事業認定の告示があった日から種々の効果が生じることになります。その主なものは、次のとおりです。
権利者に義務を課し、あるいは権利に制約を加えるものに土地の保全義務があります。事業認定の告示があったのちは、何人も都道府県知事の許可をうけなければ、起業地について、明らかに事業の遂行に支障を及ぼすような形質を変更することが禁止されます。土地等の価格固定が行なわれます。従来は土地等に対する補償金の算定基準時は裁決時とされていました。昭和四二年の法改正によって、事業認定時主義が新たに挟用されることになりました。これにより、取用する土地等の補償金の算定基準時は、原則的に、事業認定の告示の時とされ、その時の相当な価格に権利取得裁決時までの物価の変動に応じる修正率を乗じた額が土地の補償金とされています。事業認定時主義とされたことにより、従来個別の土地ごとに、それぞれ裁決時の価格によっていたものが、同一の事業認定にかかる土地全体について、同一基準時の価格によって算定されることとなり、いわゆる同一事業同一価格の原則が貫かれることになりました。補償の体系化、客観化の方向がみられます。裁決時主義を事業認定時主義に変えることは、私有財産権保障に大きな影響を与えるので、その合憲性について論議がありましたが、判例においても、合憲性が認められています。損失補償の制限で、事業認定によって土地所有者等には事業実施について受忍の義務が課せられることになるので、その後に土地の形質を変更し、工作物を新築したようなときは、あらかじめ都道府県知事の承認をうけなければ、これに対する損失補償を請求することができません。関係人の範囲の制限で、事業認定の結果土地が公共事業の用に供されることが確定されたのちに、その土地にあらたな権利を設定した者を保護する必要は認められず、かえって手続の複雑化を招くだけであるため、事業認定の告示後に新たに権利を取得した者は、既存の権利を承継した者を除き、関係人とは認めず、補償をうける地位を否定しています。
また権利者には、事業認定の効果として、収用手続の進行について、一定の手続的権利が与えられます。従来は、収用手続の進行はすべて起業者の主導、その一方的な情勢判断に委ねられていました。しかし、被収用財産権者の保護という観点からみれば、単に完全な補償がされることによって公的負担の前の平等が、確保されればよいというものではなく、収用手続においてどのように手続上の補償がされているかという問題に対しても、十分な配慮が求められなければならないのです。とくに、土地の補償について事業認定時主義がとられているので、起業者の主導で手続進行が遅延するょうなことがあれば、実体的な財産権保障が侵害されることにもなりかねません。そこで裁決申請請求権が土地所有者等に認められ、自己の権利にかかわる土地について、起業者に裁決申請すべきことを請求することができるようになりました。事業認定時主義がとられたことに対応して、補償金の支払請求権が設けられています。これらの手続的権利の行使を保障するために、起業者は、事業認定の公告があったときは、起業地表示図を長期縦覧し、補償等の周知措置をとることが義務づけられています。

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